2013/2/2 その1 (遠州鉄道)




なんか久々の日記である。しばらくぶりの読者もいらっしゃるでしょうから、
日記の冒頭ではまず私の近況から語らせてもらおう。

現在、私は名古屋に住んでいる。名古屋に来たのは仕事の都合とでもしておくが、
今現在、住民票もきちんと移しているので、札幌市民ではなく名古屋市民である。

しかし私は大学卒業まではずっと札幌市民だ。
それまでの間、一時的に埼玉県某所に住みついてみたり、栃木県某所で断続的に暮らしてみたりした事はあるが、基本的に札幌市民だった。

よって、愛知県に移り住んだ時、現地に知り合いはいなかった・・・かと言えばそうではなかった。

私が愛知に移り住んだのは平成22年11月30日だが、それより約半年前の平成22年6月26日に話は遡る。
実はこの日、私とネットで長い親交があった、うたまん氏の結婚パーティーを実施した日である。
その様子はこのWebサイトの日記にも掲載されているので、詳しくはそちらをご参照いただきたいが、
そこでうたまん氏が発起人の一人を務めていた社会人サークル「LED」を通じ、私は愛知県内に多くの知り合いができた。
 とは言ってもその時点では私は札幌市民であり、1ゲストに過ぎなかったため、
その後、彼らと交流する機会があるとは思っていなかったが、紆余曲折あって私も愛知県民になり、
それ以降は何度も一緒に飲み会やイベントなどでお会いしている。世の中面白いものだ。

 平成22年6月26日。
一方でこの日は、あるひと組のカップルにとっては、初めて出会った記念すべき日でもあった。
途中経過は省略するが、それから数年の期間を経て、このひと組のカップルは、今年結婚することになった。
その結婚パーティーが行われるのが、まさしく今日なのである。
そして、私は彼らから、結婚パーティーの招待を受けた・・・そんなところから今日の日記は始まるのだが、
こちらのメーンイベントはもっと後に大事に取っておいて、まずはいつものような代わり映えのない日記を書き連ねていくこととしましょう。





 本日の結婚パーティーが行われるのは愛知県岡崎市。江戸時代から東海道の宿場町として栄えた西三河の中心都市だ。
名古屋からは名鉄特急で30分と近い。既に私は名古屋市民であるため、
以前、うたまん氏の結婚パーティーに参加した時と違い、大移動は必要ない。
必要無いのだが・・・私の性分としてむしろ逆に「移動しない」と言う事がなかなかできないものである。

結婚パーティーの開始は15時30分なので、本来お昼くらいにゆっくり名古屋を出れば十分なのだが、
そんなことはせず、朝一からどこかに行ってしまうAAAクオリティ。




午前10時少し前、私は名鉄電車で岡崎を通過し、静岡県最西部の新所原駅に着いていた。
午後から予定がある以上、あまり遠くへは行けない。しかし休みを家で無為に過ごすのはいただけない。そのような思考の下、考えたのは次の二つだった。

・まだ乗った事がない遠州鉄道に乗ろう
・まだ食べた事がない浜松餃子を食べよう

遠州鉄道は浜松市の中心部から浜北区の西鹿島まで、浜松市内を縦断する鉄道路線である。
よって、この鉄道に乗るのであれば、浜松駅からか、西鹿島からか、ということになる。

私は西鹿島からの乗車を選択。
西鹿島の駅までは、新所原から出発する天竜浜名湖鉄道が運行している。


今回使うのはこのきっぷ。このきっぷを使うと、天竜浜名湖鉄道の西側と、
遠州鉄道が乗り放題になって1300円。今回の私の行程にちょうど合致したフリー切符である。
以前はこれに200円足すと、浜松から新所原までのJRにも1回だけ乗れるきっぷが売っていたのだが、いつの間にか消えてしまった。


天竜浜名湖鉄道天浜線、新所原を定刻に出発。
私が前に天竜浜名湖鉄道に乗ってのは、確か2年前の3月末。
福島第一原発が吹っ飛んだ少し後、浜岡原発を見るために御前崎へと向かった時に利用した。

その時はここ、新所原駅で名物のうなぎ弁当を買ったはず。
あれは美味しいので、今回も買おうと思ったが・・・営業時間が10時30分からなのよね。
10時24分新所原発の列車に乗った私は、残念ながら食べられない。


天竜浜名湖鉄道線、途中には「尾奈(おな)」という駅があります。
なんか看板に色々と落書きがされております。

これからどうでもいい話をします。

JRには「新井」という駅が2つあります。
一つはJR東日本信越本線の「新井(あらい)」、もう一つはJR西日本播但線の「新井(にい)」です。

さて問題。「尾奈(おな)」→「新井(にい)」という乗車券は発券できるでしょうか?

1 できる
2 できない
3 昔はできたけど今はできない




正解は3、です。昔はできたけど今はできません。

実は天竜浜名湖鉄道、1987年3月14日までは国鉄の路線でした。
この路線、昔は国鉄二俣線と呼ばれ、東海道本線が敵の攻撃で破壊される事を想定したバイパス路線でした。
しかし赤字が膨らんだ当時の国鉄は、二俣線を廃止し、自社路線から切り離しました。
1987年3月15日は第3セクター鉄道、天竜浜名湖鉄道として再出発し、今に至ります。

つまり1987年3月14日までは、尾奈駅も新井駅も同じ国鉄路線ですから、当然に乗車券を通しで買えました。
しかしそれ以降は、方やJR路線、方や3セク路線になったので、一部の例外を除いて、通しで乗車券を買えないのです。

と、鉄道ネタから無理に下ネタに持っていこうとすると、わけがわからなくなりますという事例でした。


続いて路線は三ケ日を通ります。三ケ日はみかんの名産地。車窓からもみかんが見えます。
そろそろシーズン、終わりに近いのか、収穫されても畑に放置されているみかんもあちこちの畑で散見されました。
愛知県のスーパーでは、ここ三ケ日産のみかんと、蒲郡産のみかんを良く見かけます。


浜名湖が見えてまいりました。東海道新幹線から見える浜名湖とは逆側から見る格好になります。
ここ三ケ日あたりの浜名湖畔には、旅館もいっぱいあります。ウナギとか食べれるんでしょうね。
残念ながらあまり天気が良くありません。


浜名湖上を渡る東名高速。東海道線や東海道新幹線は浜名湖の南側を通りますが、
東名高速は浜名湖の北側を通ります。新東名はさらに北を通っています。
ちなみに、この地方の事を古くは遠江(とうとうみ)と呼んでおりましたが、
これは浜名湖の事です。昔、都が京都に有る頃、大きな淡水の湖は琵琶湖と浜名湖の2カ所が認識されていました。
よって京都に近い方(琵琶湖)を近江(おうみ)、京都から遠い方(浜名湖)を遠江と呼んだそうです。



寸座駅から見える景色。
この地には寸座という地名がついていますが、これは昔坂上田村麻呂が
ここから見る景色が美しかったため、少し足を止めて座った事から
寸座と呼ばれるようになったという説もあります。

なーんて、実はこれ、車内アナウンスの受け売り。
天竜浜名湖鉄道の車内アナウンスでは、このように沿線のちょっとした観光案内をしてくれます。
2年前に乗った時は、そういうの、無かったと思う。
乗客を増やすための小さな企業努力ですね。


西気賀駅。飲食店が併設。
そういえばここ、天竜浜名湖鉄道の駅は、飲食店併設の駅が結構あるらしいです。
ソースは、日本中の全駅を乗り降りした鉄ヲタ、横見浩彦氏がそう言っていた。

本当なら途中駅で降りて、その駅の周りを歩いたり、併設のお店でなんか食べたりもしたいのですが
列車は1時間に1本程度しかないので、今回の日程だと厳しいのだ。浜松餃子を諦めればともかく。


金指駅で列車交換待ちの間に。
列車交換の間に列車から降りて駅やホームを回るのは私の旅のお約束。


金指駅の駅舎。木造駅舎は味があっていいですね。
時代の流れと共にどんどん消えている古い駅舎。大切に使いましょう。


このホームと上屋は登録有形文化財でございます。


そして列車は遠州鉄道との乗り換え駅、西鹿島へ到着。
天竜浜名湖鉄道は残念ながら乗客数は芳しくなかった。厳しいのう。


遠州鉄道との乗換通路にあるICカードリーダー。
あら?遠州鉄道はICカードが使えるのか?どうやらナイスパスというICカードが使えるらしい。

浜松に所縁のある甘えびさん(この日記の「その2」以降に登場します)によると

「まだ東京くらいしかICカード導入してなかった頃にすでに独自のICカード導入してたからね♪( ´▽`) 」

らしいが、実際の導入時期を調べてみると遠州鉄道のICカード(ナイスパス)が2004年8月。
JR西日本のICOCAが2003年11月1日、関西私鉄のPiTaPaが2004年8月1日なので
関西圏でICカードが使えるようになるのとほぼ同時期に、遠州鉄道はICカードを導入していたようだ。


西鹿島駅改札。遠州鉄道、天竜浜名湖鉄道の二社共通。
ナイスパスが使えるのは残念ながら遠州鉄道だけです。

全国の交通系ICカードを買い集めている身としては、ナイスパスを買っていこうかとも思ったが
私のコレクションの原則は「使う日に買う」こと。よって今日は、フリー切符利用につき「使わない」ので購入しません。

そういやコレクションと言えば、昔旅した時に購入した日本各地の磁気乗車カードが、
ICカード化によりどんどん利用終了になっているのは何とかならんものか。
このままだと日本全国磁気カード払戻の旅に出ないとならんぞ。



駅前に来てみる。地方都市らしいデザインの駅舎である。
この駅から飯田線の水窪駅まで行くバスが出ている。
水窪までは2時間くらい乗車して、630円という格安路線。
1日数本しかないバスだけど、乗ってみたいぞ。


浜松方面行は遠州鉄道の赤い電車。まあ、この場所も浜松市天竜区なんだけどな。
浜松民にとっては、赤い電車と言えば京急でも名鉄でもなく遠州鉄道なのだとか。


初めての乗車する路線での私のお約束、前面展望。
たまに子供たちと競合しますが、背の高さが全然違うのであまり問題になりません。


天竜浜名湖鉄道とは打って変わって、利用者数も多いですな。
一駅でこれだけの人が乗ってくる。


遠州鉄道が運営する自動車学校が沿線に。
鉄道会社系の自動車学校って、通学するための費用が含まれていたり、安くなっていたりしてお得な事が多いですね。


浜松市街を南北に貫く路線であるため、途中区間からは地平を走らず高架橋で立体交差。
高架を走ると、なんとなく都会の鉄道って気がしませんか?
まあ、井原鉄道とか、御免奈半利線とか、阿佐海岸鉄道などは
ほぼ全線高架だけど、都会の鉄道には見えませんけどね。


車内の様子。着実に浜松市民に利用されています。


終点の新浜松までは乗り通さず、途中の八幡で下車。
こちらの八幡は「はちまん」です。「やはた」じゃありません。


八幡駅は少し前に無人駅になったようです。なんかさびしい。


遠州鉄道の運賃表。近くの駅まで100円だったり、120円だったり。
初乗りで200円取られる各都市の地下鉄に比べると、なんと良心的な価格設定。

ちなみに、運転本数は日中12分ヘッド(毎時片道5本)と、各都市の地下鉄に比べれば少なめですが
時刻表を見なくても何とか使えるレベルではありますね。
(パターンダイヤだから覚えてしまえばいいですが)

あ、でも良く考えたら名古屋の地下鉄も、名城線の東側とか、鶴舞線とか
休日昼は10分に1本程度の運行本数だったような。

そう考えると結構すごいぜ遠州鉄道。





私が八幡駅で降りたのは、餃子を食べに行くからさ。
東へ向かって歩きます


お、案内看板がありました。今回行くのは福みつというお店です。
少し歩きますが、まあ駅徒歩圏内。


到着。お昼ごはんタイムですが、どうでしょう。
結構座席数が多いらしいですが、食べられるかな?
外には行列は無い模様。


って、店の中で順番待ちしてるよ。並ばないと食べられない餃子屋。
まあ、一人だからそんなに時間かからないだろ、と思ったが
この餃子店、一人で食べる用のカウンター席がない。

浜松市民にとって、餃子は家族みんなで食べるもの?

昔、栃木県を頻繁に訪れていたころ、宇都宮餃子はしょっちゅう食べていたが
一人席が無い、なんて言うことはなかったと思う。

まあ、そんな文化の差を語るにはサンプル数が足りないが、
ともあれ、少なくともこの店では一人席がないということは
つまり一人であろうと待ち行列に対して優位性がない。




まずいね、このままだと相当待つぞ。後ろの日程に間に合わなくなるぞ。
せっかく来たが、餃子食べずに立ち去るしかないか・・・。

と思って店内を見渡すと・・・メニューに餃子弁当があった。


餃子弁当ってどれくらいかかりますか?
と尋ねたら、「そんなに時間かかりません」とレジのおばちゃん。

実際、頼んでからそれほど立たぬ間に出来上がった。
なるほど、着席スペースは逼迫しているけど、餃子の作成オペレーションには余裕があるわけですね。
一人客にも優しいお店。

待っている間他のお客さんの食べる様子を見ていたけど、
え?この人数でこんな量を食べるの?っていう印象であった。
さすが、年間消費量ナンバーワンだけはある。



餃子弁当を手に、八幡駅へと戻るのであった。


浜松駅も近づいて。


終点の新浜松駅到着。JRの浜松駅とは少しだけ離れています。徒歩5分くらい。


こんな場所を通って行きまして


浜松駅到着。今からちょうど普通列車に乗っていけば、
いい時間に東岡崎に着きそうな感じです。


駅前には家康くんなるモニュメントが。
出世の街浜松、初めて聞いたぞこのフレーズは。



ちなみに、本当なら餃子の写真を是非掲載したいところではあったのですが、
実は購入した餃子弁当、輸送中の揺れと傾きで少し悲惨なことになってしまったので、掲載を差し控えました。

もっとも悲惨なことになったと言っても見た目だけのお話なので、
購入した餃子弁当は、東海道線下り普通列車の車内で美味しく頂きました。

尚、これから結婚パーティーに行くのに餃子を食べていくのはどうなの、とか、
普通列車の中で餃子食べるのはどうなの、と言う事は言っちゃいけないお約束。
前者はともかく、後者は私の車内飲食のガイドラインに反していないので、苦情は受け付けません。



ところで、結婚パーティー参加前にそんな遠くへ行っていて、
もしイレギュラーがあったらどうするの?と思われる方もいるかもしれませんが、
浜松を選んだ理由は、リカバリーのし易さも理由です。

普通列車で移動できる時間設定にしておけば、万一遅れたり、列車が止まったりしても
浜松〜豊橋間で東海道新幹線を使えば、容易に日程が回復できますからね。

東海道新幹線がダメだったら?
各列車の年間平均遅延時間が36秒(事故、自然災害も含めて)の東海道新幹線が、
自然災害も何もなしにそうなる確率を心配するくらいなら
交通事故に遭遇して行けなくなる可能性を心配したほうがいいと思うの。


なんて事で浜松プチ旅行編はこれで終了。
きむちまん&くま使い結婚パーティーin岡崎 へ続きます。


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