2008/2/8 如月八日 その1





台北駅近くのメインストリートにて。
繁体字表記の看板、そして右側通行が外国に来た事を理解させてくれる。
しかしセブンイレブンがあったり、どことなく日本に似た雰囲気もあるから不思議だ。


名古屋栄のカプセルホテルにて朝を迎えた本日、いよいよ初めての海外入りである。
国内旅行は数十回、しかし海外はゼロというアンバランスな状況も、今日で終わりだ。

中部国際空港からのフライトは午前10時発、しかし国際線は乗ったことが無いので、
少し早めに空港に行こうということで、7時台に名古屋栄を出発した。
とは言え私の旅は、7時台に宿泊施設を出るのが普通、場合によっては6時台発や5時台発もありえるのだがな。


昨日は東山線の新栄町を利用したが、今日は名城線との乗換駅である栄駅を利用しようと思う。
両駅の距離はだいたい同じくらい。太い通りをしばらく西へと歩く。

すると、どこかで見た事があるような光景が現れた。


あれ?

雰囲気が札幌の大通公園付近にそっくりなのだ。

この公園の名前は久屋大通公園と言う。そして塔の名前は名古屋テレビ塔だ。
なんと名前までそっくりである。

一部では名古屋の久屋大通公園を真似して札幌の大通公園ができたと話もあり、
私もそれを信じていたが、どうやら史実とは異なるらしい。
(時間軸を紐解くと、どうやら札幌の大通公園が先にできたらしい)


さてさてここら辺もまだ歩いたことが無いので、色々と街歩きをしてみたいが
そんな時間の余裕も無いので、今日のところはさっさと地下鉄駅へと急ぐ。
今度はトランジットのためではなく、単独で名古屋を訪れたいものだ。


この時間の栄の地下街は殆どの店が閉まっているが、通勤客が往来して結構な人の量である。


名城線で金山に出ます。通勤客多し。今度は左回りと右回り、間違えませんよ。


金山総合駅で名鉄に乗り換え。
いつもなら中部国際空港へは特急を使うのですが、
朝のこの時間帯はちょうど良い特急列車が無いので、
μチケットを購入して全車特別車の快速特急列車(ミュースカイ)を利用します。


この時間帯だと、全車特別車の快速特急ですらこの座席の埋まり具合ですからね。
しかも前に列車が詰まってるためか、あまり早くないという・・・・・・。


中部国際空港に到着、良く考えれば地元の空港以外で、朝早くに空港に行く機会ってあまりないですね。
現地滞在時間を増やす事を考えれば、朝早い便で帰るなんてありえないですから。
私自身、朝早くから空港に行って飛行機に乗ったのは、羽田と福岡が一回ずつだけ。
これがビジネス利用の人だと話は違うんでしょうけど・・・・・・。


名鉄改札を出ると、広いホールに出る。
そして旅客ターミナルビル方面への通路は二手にわかれている。
まあ、ここで国内線の方に行こうが、国際線の方に行こうが、後で一緒になるのだがな。
ただ、左側に国際線のカウンターがあって、右側に国内線のカウンターがあるので
きちんと案内に従った方が歩く距離が少しだけ短くて済む。


えーと、私が乗る便はどれかな?
JAL(日本航空)の10時の台北行のはずだが・・・・・・。あれ?
何かJALのロゴと良く似たJAA(日本アジア航空)と言うロゴがあるが、これかな?

ところで同じ時間に中華航空の台北行があるが、コードシェア(共同運航便)の表示は出ていない。
これは同じ時間に台北に出発する飛行機が2つあると考えていいのだろうか?


国際線のチェックインカウンターである。
何か日本アジア航空のカウンターは、お隣さんと比べて非常に閑散としているな。
まあ良い、これなら速やかに発券できるからな。

「台北行のマイル特典航空券、発券をお願いします」

「パスポートを提示してください」

「はい」

「全行程を印字したチケットを持っていますか?」

「いいえ、ありません」

「ではそれも発券しますのでお持ちください。台北で帰りのチケットを発券する際に必要ですので」

と言うことで、あっという間に手続き終了。


私のパスポートなどなど。
右下にあるのが、全行程を印字したなんとやらである。

初めての国際線と言うことで余裕をもって早めに来たが、
思ったより時間がかからなかったようだ。
40分ほど空港内をぶらついたのち、保安検査場へと向かう。


ずいぶんとまた行列ができているな。
こんな行列に並びたくないので、また暫く空港をうろついてから戻ってくる。



さて、国際線とは言え、手荷物検査の内容は国内線と大きく変わるわけではない。
しかし一点だけ大きく異なる点がある。
液体類の機内持込制限があることだ。

2007年3月から、国際線の飛行機内に持ち込める液体の量に制限がかかり、

全部で100ミリリットル以内。持ち込む際は透明ビニール袋にまとめて入れる。
ベビーフード、医薬品、その他医療行為に必要な液体類は事前申請が必要。

こういう決まりになったのである。
つまりペットボトル飲料などを飛行機内へと持ち込むことはできなくなったと考えていい。


未だにこの規則を知らない人が多いのか、保安検査場には大量の廃棄されたペットボトルの山があった。


保安検査場通過。上記以外の違いとしては、上着を脱げと言われる事か。
私の場合、ポケットの中身を出すのが面倒なので、普段から上着ごと検査装置にかけているので問題なし。


さて、いよいよ出国審査だ。
審査とはいえ、そんなに難しい事をするわけではなく
パスポートと航空券を提示して見せるだけだ。
偽造パスポートを使っているだとか、国内で罪を犯して逃亡を企てているだとかいう事情が無ければ
全く問題なく通過できると思う。
(今写真を見て気づいたけど、ここ撮影禁止なのね・・・・・・)

私も審査官にパスポートを見せ、まっさらな査証欄に出国のスタンプを貰う。
このスタンプは空港によって違うので、蒐集する人もいるとか・・・・・・。



出国審査を終えると、そこは日本でありながら外国と言う不思議なエリアに入る。
既に出国している為、日本領土内にありながら、一部の法令では日本国内とみなさない。
免税店が立ち並ぶのもそういう理由で、既にここは日本の税法が及ぶ範囲では無いからだ。

とは言え、このエリアで刑法犯を犯せば、日本の刑法に基づいて処罰される。
刑法が言う日本国内とは、日本の領土、日本の領海、日本国籍の航空機や船舶内などを指し、
出国しているからといって日本の刑法が適用されないという理屈にはならないのだ。

ここら辺の法律関係は非常に面白いので、
色々と書きたいことはあるのだが、それはまたの機会にしようか。


搭乗ゲート前に行くと、そこには無料で使えるPCがあったので
飛び立つ前に美櫛に一言書いていく。


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国際線搭乗ゲート前にPCがあったw 


さて、あと数時間後には南の島(?)にいるはずです。 



TWD、3.35まで円安になってるね・・・。 

ちょっと前まで3.3を切ったと喜んでいたのに。 


ではさらば。
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さて、名古屋中部発台北桃園行、まもなく出発である。
名古屋中部を10時に飛び立ち、台北桃園に12時20分に到着する、3時間20分のフライトである。
国内線である札幌から沖縄までのフライトよりも短いな。

と言うことで乗り込んだ国際線の機材ではあるが、国内線のそれと殆ど変わらんな。
違うのといえば、客室乗務員の半分くらいが中華系の人だということと、
機内のアナウンスが日本語、英語、中国語で行われるという事か。


暫くしてから窓の外を見ると、室戸岬が見える。私にとってはある意味思い出の地、室戸岬。

室戸から足摺まで、高知県を一望しながら飛行機は西へと進んでいく。
窓から見える景色も、国内線のそれと殆ど変わらない。(当たり前だ)


豊予海峡を越えるあたりで、機内食の案内がされる。
機内食か、もう10年以上前に札幌−沖縄の便に乗ったとき食べた以来だな。


客室乗務員が『海鮮』と『カレー』のどちらがいいか尋ねて回っている。
そして私のところにも中国人の客室乗務員がやってきた。

「%&&(%(’’()(’)’(&()’&&%$’&$&%#&%」

いや、実際にこんな意味不明なセリフを発したわけではない。
おそらく、中国語で同じ事を聞かれただけだ。
当然、ネイティブの中国語などわかるわけも無い私は動揺しこう答えた。

我是日本人、我不会漢語
(私は日本人です、私は中国語ができません)

一応大学1年の時に中国語の授業を履修していたので、この程度なら言えるが・・・・・・。
この言い回しは、今後の行程でも良く使うことになりそうである。

「おお、しつれいしました、かいせんとかれー、どちらがいいですか」


と言うことで海鮮を選んだ。出てきたのがこれである。
ご飯におこげが多く、あまり美味しくなかったというのが正直なところである。


しかし、何故か他の日本人旅行客には最初から日本語で話しかけたのにも関わらず、
私にだけはのっけから中国語で話すのかなあ。不思議だ。
一人だったから観光客には見えなかった?それとも顔立ちが台湾人に見えた?気になる。


阿蘇山のカルデラを眼下に見下ろしつつ九州を横切った後は、暫く海上を飛び続ける。
少し眠るか。



その後機内では、入国審査に必要な書類を渡され、到着するまでに書いておくように言われた。
名前や職業、現地での滞在場所などを書く欄がある。
ひらがなやカタカナを用いても構わないらしい。


そして飛行機は高度を下げ、いよいよ台湾が見えてきた。
空の上から見る台湾の地は、やはり日本の空港に着陸する時とは全く別物の風景を見せる。
既に電子機器の使用が禁止されているため、撮影はできなかったが。

そして飛行機は桃園国際空港に到着した。



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さて、いよいよ日本国内から脱出し、海外に到着しました。

私が海外に来たのは初めてなので、日記に海外ネタを書くのも初めてです。
そのためここでいくつか表記上の取り決めをしておきます。
(以下のことは明日以降の日記ではいちいち定義しませんが、
 もし海外に行く機会が増えたら、日記のトップにも書いておく事にします)


 その1
入国してから出国するまでの間、『時間』がでてきた場合は、全て現地時間での表記です。
台湾の時間帯はGMT+8なので、GMT+9の日本時間より1時間遅くなります。


 その2
海外なので当然外国語での会話が多くなります。
しかし私は語学堪能でないため、自分が何を言ったかや、
相手がどういうニュアンスの事を伝えたいのかは解ったとしても、
相手方が喋った外国語を正確に理解し、また表記する事ができません。
相手の英語や中国語を正確に再現する事ができない都合上
私が理解した、もしくはそういう意味だと判断した日本語で書き、
「 」の後ろの[ ]に何語で言われたかを書いておきます。

例えば

「あなたは日本人ですか?」[英語]

と言う表記は、英語でそういう質問をされたことを示します。
つまり実際には「Are you Japanese ?」とか聞かれたということですね。


 その3
価格などお金が関わる場合は、現地通貨建てにて表記します。
今回の場合、用いる通貨はTWD(台湾ドル)ですが
この通貨には『台湾ドル』以外に、『NT$』、『台湾元』などの表記法があります。
また、台湾国内においてはただ単に『ドル』といえば台湾ドルを意味します。

台湾ドルは変動相場制をとっているので、日々日本円換算の価格はかわりますが、
1台湾元=3.5日本円くらい と考えておけばOKです。
以下、いちいち日本円換算の価格を書く事はしないので、各自で補完してください。
(私が必要だと思ったときは書きますけどね)



これくらいで大丈夫でしょうか?

今回は台湾と言う島国なので、(えーと、この表現には突っ込みいれないでね)
国の中で時差があるということはないですが、今後もし別の国に行って
書式の再定義が必要ならば、そのときにまた考えます。

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さて、台湾について少しだけここでおさらいしておこう。

台湾は台湾島とその周辺諸島からなり、面積は九州と同じくらいだ。
日本の与那国島とほぼ同じくらいの緯度に位置し、気候は北部が亜熱帯、南部が熱帯に属している。
中心都市である台北は台湾島の北部にある。
南北に長い島であり、島の中心部は南北方向に高い山脈が連なる。
親日国家であり、日本とは経済的な繋がりも非常に強い。
台湾は国連に承認された正式な国家ではなく、また中国は台湾を自国領土だと主張している。
しかし実務的には多くの国が台湾を、中国とは別個独立した関係として捉えておりその立場は非常に複雑である。
(私は今回、台湾を中国とはまるっきり別物として扱うが、これは便宜上のものであり、政治的意図は無い)


さて台湾は日本と1時間の時差があるので、時計の時間を変えなければならない。
この辺が国内旅行とは違ってくるところだ。

しかしここでデジカメの内蔵時計をいじると、ファイル管理上の問題が生じかねない。
時間を1時間巻き戻すことになるため、画像ファイルのタイムスタンプで管理した際に
後から撮った写真が先に撮影された事になりかねない。

よって、手元の時計だけ1時間戻して、デジカメの内蔵時計はいじらない事に決めた。


飛行機を降りて移動する。さっそく中国語表記の登場だ。
しかし英語が併記されているので、中国語が読めなくてもそこまで困らない。

例えば『提領行李』などと書かれてもなかなか意味がわからないが、
『Baggage Claim』の併記があるので、さほど問題は無い。
頭の中では中国語を英語で理解すると言うプロセスを経るので頭が活性化し、
語学学習としては効果が高いような気がする。


さて、入国審査だ。
外国人は左側の『持非中華民國護照旅客』の列に並ぶ。
しかしこの便でやってきた旅客は殆どが日本人らしく、
こちらはこのように列ができる一方、右側のゲート(台湾人用)は非常にガラガラであった。


そういえば、入国審査カードの職業の欄、空欄にしたままだった。
どうしようどうしよう、私の職業って何だ?

えーと、「自宅警備員」と。これでいいや。
どうせこっちの入国審査官、そんなところ見ないだろし、意味が通じないだろう。

「パスポートを提示してください」[英語]

と言う入国審査官の指示に従って、パスポートを見せる。
数秒間の沈黙の後、パスポートには入国した証であるスタンプが押印された。

その後、先ほど書いた入国審査カードの控えをパスポートに貼られた。


って・・・・・・ええっ?それってパスポートに貼られるものだったの!?
おいおい、じゃあ私は台湾にいる間、ずっと職業『自宅警備員』かよ!!

ドラクエでふざけて『ああああ』なんて名前をつけた時と同じような悲哀を
まさか現実で味わう羽目になるとは・・・・・・まあ、解らないよね、多分。


無事入国を終え、機内に預けていた手荷物も受け取り、ロビーへと出る。
どこもかしこも繁体字表記であるが、空港内のアナウンスは何故か日本語でも行われた。
台湾では日本語もメジャーなんだろうか?


そうだ、日本円はこちらでは使えないから、両替しなきゃ。


空港内の銀行にあった為替レートを表示するボード。
日本円は0.2898で交換と・・・・・・解りにくいな。

日本国内だと3.35くらいだったレートがこっちに来ると0.2898になる理由、
これは日本、台湾ともに『コンチネンタル・ターム』と言う表記法を採用しているから。

『コンチネンタル・ターム』とは『自国通貨建表記』であり
「外国通貨1単位が、いくら分の自国外貨になるか」と言う表記法である。

つまり日本国内だと、1台湾ドル=○円と表すが、
台湾国内においては、1円=○台湾ドルと表すわけだ。(お互い逆数の関係にある)


もちろん逆の表記法もある。『ニューヨーク・ターム』というのだが、
「自国通貨1単位が、いくら分の外国通貨になるか」という表記法だ。

もし台湾においてニューヨーク・タームで日本円との為替レートを表記すると1NT$=3.45JPYとなる。
だいたい先ほどのレートと一緒だね。
(3.35にならないのは銀行間中値と現物の差によるものだが、そこら辺言い始めるときり無いから省略するぞ)


しかしこのボードを見ると、案外様々な通貨から直接両替できるんだなと言う事がわかる。
スウェーデンクローネとかインドルピーからダイレクトに両替できるんだ。
(通貨コードは世界共通だから覚えておくと便利だぞ、最後のVNDが解らなかったが、ベトナム・ドンだね)

ちなみにこのボートを見ると、その国における外貨の強弱関係を推し量ることができる。
売りと買いとの値段の差の割合が小さい通貨ほど取引が多いと考えられるから。

例えば美金(米ドル)は売りと買いの差が1.9%、欧元(EUユーロ)は2.7%、
日本円は1.8%、英ポンドは3.7%、オーストラリアドルは3.1%、
スウェーデンクローネは14.3%、韓国ウォンは15.5%、タイバーツは17.3%、
インドルピーは18.1%、ベトナムドンに至っては25.3%
と言うことで何だかんだ言って“強いドル”なのだ。

しかし、今日の日記は随分と解説が多い日記だな。




さて、私はここで3000円だけ台湾ドルに両替して台北の街へと向かう。
何故なら、空港の銀行で両替するよりも、台北市内の銀行で両替した方がレートがいいから。
だからとりあえず空港連絡バスに使う分などの当座の資金だけを持っていくわけだ。

後ろにいた日本人女性の集団が、
「へー、3000円だけでも両替してくれるんだ」
と言っていたが、1000円でも両替できる。

ただし注意点が2つ。
1つ目、日本円の小銭は使えない。両替してくれるのはあくまで『日本銀行券』に限るので
小銭をジャラジャラ積み上げても両替してくれない。
過去に発行されていた100円札や500円札が対応しているかは知らない。

2つ目、両替手続1回ごとに20台湾ドルが手数料として発生する。
だから少ない金額だと、相対的に手数料が割高になる。


実はこれ以外に、もう1つだけ特殊な注意点があるのだが・・・・・・。
それは多分、この日記を読んでいるとわかるでしょう。


最後に1つだけ。
台湾ドルへの両替は、絶対に台湾入国後に行った方がいいです。
何故なら、日本国内での台湾ドルへの両替レートはぼったくりだから。(確か先ほどで3.8くらい)

仮に1万円を台湾ドルに両替するとしましょうか。
今ここで両替すると2878台湾ドルが受け取れますが、日本国内だと2631台湾ドルにしかなりません。
その差肉まん12個分です。



ところで空港内でこんな案内を見つけたんだ。
日本語訳が色々とカオスで突っ込みどころ満載だ。
おそらく英語を再翻訳したんだろうな。
そうでなければ「絶対にミイスしないで下さい」なんて訳になるわけがない。



849台湾ドルを手にした私は、バス乗り場に向かい台北市内行のバスに乗る。
ここから先はもう日本語が通じない。
頑張って英語か中国語、若しくは漢字を書く事によって乗り切らなければならないのだ。

台北市街までのバス代は125ドル、高速経由で1時間くらいかかることを考えれば日本より割安だ。


そういえば台湾は右側通行、バスも右側から乗るのよね。


尚、先ほどからバス乗り場の案内係と思わしきおっさんが、罵声を飛ばしまくっている。
ただでさえ中国語が聞き取れない私なので、罵声ともなればまったく理解不能だが、
ここは外国、気にしないでさっさとバスに乗り込もう。


そして少ししてバス発車間際、向こうからバスに乗ると思わしき一人の日本人中年男性がやってきた。
「オジサンハヤク!!!」
バスの案内係のおっさんが叫んだ。

やってきた日本人、その案内係の人に何かを尋ねたらしい。
「ナニィーーーーー!!!!」
おっさんがまた叫ぶ。よくあんなおっさんにモノを訪ねるなぁと思いながら見ていると
突然おっさんの口調が変わった。

「ドコヘイクノ?ソレハアッチノバスダヨ、キヲツケテネ」
台湾にツンデレと言う言葉があるのか知らないが、このバス案内係のおっさんはツンデレ属性あり、だな。


バスは出発してすぐに高速道路と思わしき道に入る、
道は片側二車線、右側通行と言う点を除けば日本と同じだなと思って見ていると、
ある地点からジャンクションを通じて本線に突入する。
今までの所は支線だったから片側2車線だけしかなかったようで、
本線は片側5車線、しかもそこを中央道並の高密度で車が流れていく。


ブレまくっているが、中間料金所にて。
こちらの道路は日本の比じゃないようだ。まあ、ちょうど今の時期が旧正月であり
帰省ラッシュとぶつかっているというのもあるだろうがな。

しかしこちらの運転は荒く、日本で言えばあきらかに割り込みであるような運転が平気でなされている。
レンタカー借りようなどとは思わない方が身のためだろう。


しばらくするとバスは高速道路を降りて一般道を走る。台北の街に入ったのだ。
バスから見る台北の街、最初に思ったことは、セブンイレブンがいたるところにあるということ。
あっちの角にもセブンイレブン、こっちにもセブンイレブン、道路をはさんでセブンイレブン、
下手したら東京よりも高密度なんじゃないかと思うくらいセブンイレブン、セブンイレブン。


そして台北駅に到着。荘厳さを感じさせる駅だ。
在来線と新幹線、そして地下鉄3路線が通っているターミナル。
尚、鉄道路線は全て地下を通っているので中は広い。


雨が降っているせいもあるが、駅の外はあまり人通りがない。


台鉄の切符売り場。新竹・台中・高雄方面へと向かう路線を『下行』、
基隆・宜蘭・花蓮方面へ向かう路線を『上行』と表記する。
列車の運行はシャトル化されておらず、かなり長い距離を走る列車も多い。
かつての日本国鉄の列車がそういう運行体制であったように・・・・・・。


さてと、早速鉄道に乗るのもいいが、
その前に少し駅の周りをうろついてみよう。そして両替も忘れずに。

外に出ると、歩行者用信号が『赤の点滅』状態に。
どういう意味なのかわからなくて、ずっと信号の前で立ち尽くしていたら
現地の人が怪訝そうな顔をしているので、おそらくこれは「気をつけて渡れ」と言う意味なんだと推察する。


セブンイレブンに入ってみる。
あまりこちらのセブンイレブンと変わらないな。
ためしに飲み物を買ってみた。会話を交わすことなく買えた。
ただし、レジ袋はくれないのでご注意を。


高い建物が立ち並ぶ台北市内、あまり日本と変わらないような気もするが
やはり色彩が少しギラギラしている感じを受ける。


マクドナルドもあるね。
地味にカタカナ表記もあったりして、何か変な感じ。


さて、写真撮影はさておいて、
何はともあれお金を両替しないと始まらない。銀行へ行こう。


と言うことで駅近くにある銀行へと足を踏み入れたわけだが・・・・・・あれ?何か様子がおかしい。
ひっそりとしていて、人の気配がない。

奥のほうのカウンターに30代くらいの女性と、50代くらいの男性がいるのを見つける。
あの人たちに話を聞いてみよう。

「Excuse me. I want to Foreign exchange from JPY to TWD.」

女性の方に聞いてみると、意味が伝わらなかったらしく戸惑っていたが、
初老の男性の方が口を開いた。

「君は日本人かい?」[日本語]

「Yes、我是日本人」(言葉が混ざってます)

「今、銀行はどこも正月で休みだよ。日本だって同じだろ?」[日本語]

なんてこった!!
そうだ、今日は旧正月だ!
旧正月だという事はわかっていたのに、この点においては何故かすっかり頭から抜け落ちていた。


どういうことかと言えば、台湾では太陰太陽暦にて正月を祝うのですが、
それが丁度昨日2月7日からなのですよ。
これは太陽暦による1月1日よりもずっと盛大に祝われるのです。

「いつまで休みは続きますか?」

「来週の火曜日、12日には開いているよ」[日本語]

旧正月は旧暦1月5日まで続く。旧暦1月6日から通常営業だ。
しかし、この日は私が台湾から去る日だ。
それまで両替をがまんしろと言うのはきついな。

「それは困りました。他にどこか両替できるところはありませんか?」

「三越に行けば両替できますよ。近くにあるから行ってごらん」[日本語]

「わかりました、謝々」


日本語を話せる人がいたので助かったな。
ちなみにこの銀行員のおじさん、私が台湾で会った人々の中で最も日本語が上手かった。



さて、と。
手元に699元しかないわけだが、どうするかな、これから。
三越に行って両替するか・・・・・・で、三越ってどこにあるの?(しかもレートが悪そうだし)

または桃園國際機場へ戻るという手もあるよな。
先ほど空港では両替できたわけだしな。
でも、空港行のバスってどこから出ているんだろう?

または、松山機場(台北にある国内線専用の空港)で外貨両替できる事を信じて行ってみるか?

クレジットカードだけで頑張ってみると言う無謀な選択もあるが、間違いなく途中で力尽きそうだな。



どれを選ぶにしろ、いろいろと面倒だな。

台湾着いて早々、こんなアホなことをやってしまうとは・・・・・・らしくないよな。
それとも国内旅行に慣れすぎていたが故の盲点かな・・・・・・。


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