2007/4/28 卯月二十八日





4月も終わりに近づき、長い連休の前半戦が始まる。
ここのところ色々とあって、少し人気の少ないところに行きたい願望があった。

と言う事で突然だが、一人赤井川村へと突撃する事にした。
行って何をすると言うわけでもなく、山間の小さな村の静寂に少しの間でも触れたかっただけである。



新川通を西へと走る。流石黄金週間初日の土曜日、道は結構混雑している。
新琴似第5横線を過ぎた辺りから次第に交通量が減ってきた。

高速道路は使わずに国道337号から国道5号へと経由する。
国道5号線が拡幅され、完全2車線化されたのももう随分前の話だ。
桂岡を過ぎてしまえば快適に走れるルートであり、
高速料金を考えると、下道を走ったほうが費用対効果が良いように思える。
もっとも、北海道においては大抵の高速道路がそうだろう。
時間短縮効果よりは疲労軽減効果の方が大きいかもしれない。


小樽駅前にて。休みの日らしく駅前は人で賑わっている。
しかし駅前のサンビルには完全閉店セールの表示が見える。
数年前、丸井今井も小樽から撤退したしね・・・・・・。また小樽の街が寂しくなるのかな?


小樽市街に立ち止まることなくそのまま国道5号線を進行、長橋バイパスを通り、塩谷方面へと向かう。
道路交通量は、潮見台から小樽駅前付近まで程ではないが、いつもより交通量が多めだ。
日本海を右手に見ながら走るこの道は結構好きではあるが、
この区間は列車で移動する方がなんとなくしっくり来る。
小樽から余市までの道程は約20キロ、遠くは無いが、
少し移動に時間がかかるなあ、と言った感じを受ける区間である。

そして余市の町へ入る。いつも思うがここはいい町だ。
国道バイパスが作られること無く、国道5号線が駅前を貫いている。
そのためか駅前もそれなりに活気が残っている。


道の駅、スペース・アップル余市。北海道の道の駅ナンバー49。
昔は比較的新しい方の道の駅だと思っていたが、もう古い方から数えた方が早くなってしまったのだね。
余市町は宇宙飛行士毛利衛さんの出身地なので、余市宇宙記念館「スペース童夢」という施設がある。
地元のリンゴを使ったお菓子とコーヒーでちょっと休憩。
これで今年の道の駅スタンプは2個目になった。


道の駅を後にして再び余市駅前を通ると、
小樽駅前で信号待ちをしていた際に目の前を横切っていった女子高生を見かけた。


さて、赤井川まであと15キロ。
さて、赤井川村に行くためには、冷水峠を越えなければならない。
普段なら、迷うことなく進むのだが、どうも私の体調がよろしくない。
なのに札幌から離れてしまっていいものなのか、撤退した方が良いのではないかと悩む。

まあいい、せっかく余市まで来たんだ。行ってしまおう。



西の空に太陽が沈んでいく。冷水峠から見下ろした赤井川の盆地の景色は絶景と聞く。
空が闇に包まれる前に急がないと。

冷水峠は、主要国道の峠と比べると確かにカーブもきつく、少し峠という感じはするが
スピードを出し過ぎさえしなければ全く問題はなさそうである。


そして頂上へ。対して時間はかからなかった。
まだ雪が積もっている場所もあり、峠の頂上であることを感じさせる。
バス停もあるようだが、一体どんな人が使うのだろうかね。


冷水峠頂上から少しだけ赤井川村方面へと進むと、このように赤井川村の盆地を一望できる。
一望できる位置には、強引に作られたような駐車スペースがあったので利用させてもらう。
ちなみに、夕日が沈む写真の後にこの様な明るい写真があるが、掲載順番を間違えたわけではありません。
写真はこういうことが出来るから面白い。

峠の下り側は、大きなカーブを経て、赤井川の盆地へ降りていく。
ここまで来ると、もう他の車を見かけることも殆ど無くなった。
峠を下りきった後は、走りやすい緩やかな道路が続く。


赤井川村役場。周囲に人の気配は全く無く、風の音だけがはっきりと聞こえる。
この村の人口は1254人であり、全国の市町村の中でも少ない方だ。
村へ通じる道路は3本で、私が先ほど通ってきた余市からの冷水峠、
小樽方面へと抜ける毛無峠、そして仁木町の銀山へ抜ける道路がある。

役場近くのセイコーマートでお買い物。
(少しは当該市町村でお金を使うのが私のルール。あまり意味は無いような気がするが)
この村は都市間移動の主要ルートにあるわけでもないため、
コンビニの利用者はほぼ村民のようであり、私のような旅行者が利用するのは珍しいかもしれない。

暫く外の風を浴びる。やはり風の音しか聞こえない。
それにしてもちょっと風が強い、そして寒い、さらに視界がふらつく。
・・・・・・視界がふらつくのは、風のせいじゃないな。いや、風邪のせいか。

どうやら石垣島の時とは異なり熱があるわけではなさそうだが、息苦しくいつもの感覚じゃない。
やはり余市で引き返すべきだったか?まあ、来てしまった物はしょうがない。
車を置いてバスで帰ろうにも、もう最終のバスは終わっている。(1日5本しかないし)
札幌まで約70キロ、走るしかないか。
幸い、偏頭痛のときとは違って視野に異常が出ているわけではないし、何とかなるだろう。
ただ、時間が経てば立つほどおそらく症状が悪化するだろうから、短期決戦だな。

少しだけでも負荷を軽減するため、母親に応援頼むか。
よりによって携帯電話を家においてきたので、赤井川村役場前の公衆電話を使う。
「今赤井川村ですが、ちょっと体調悪いので宮の沢まで来て運転代わって下さい」
「宮の沢って事は高速だね、では“ちえりあ”で待ってます」
あってよかった公衆電話。

赤井川村に夜が来る。辺りがだんだん暗くなる。
できるだけ運転時間を短縮したいので急ぐが、国道が直角に曲がっていたり
不意に曲線半径が小さなカーブがあたりして気が抜けない。
都、そして落合の集落を抜けると、キロロリゾート方面への分岐がある。
そして何故かその分岐付近の車道上に、十人くらいの人が立っていた。
真っ暗な中に突然人影が見えたから吃驚したぞ。
一応国道なんだからさ、道路上で遊ぶのはやめて欲しいぞ。

さて、問題は峠越えだ。
小樽市と赤井川村の間にある毛無峠、大した峠ではないはずだが、
毛無山を超えてから奥沢まで降りていく道は、ヘアピンカーブが続く強烈な道だ。
スピードを出し過ぎないようにしなければ。


毛無山展望所より小樽の夜景を見る。
周囲にはカップルが何組か。ここはデートスポットかよ。
夜景くらい一人で見に来いよバーカ。
三脚を持っていないので、軽く撮影してさっさと引き上げる。

あとは望洋台から朝里I.Cまで抜け、札樽道をひた走る。
何か今日は道が妙に良く見えるというか、カーブが緩やかに見えるというか、
スピードを出しても妙な安心感がある。
あっという間に札幌西I.Cに到着したが、緊張感が抜けたのかますます具合が悪くなる。

結局、宮の沢西友前で運転を代わってもらってからは、ずっと後部座席で寝ていた。
この風邪がいつ治るのかは知らないが、どうもあまり性質の良いものではなさそうなので
明日、明後日くらいまでは家で寝ている事になるかもしれない。病院も休みだし。

待てよ?明日明後日寝ていないとならないのなら、今日出かけておいてよかったかな?
と、先ほどまでフラフラしながら運転していたのも忘れて、調子のいい解釈をしてみる。