2005/10/23 神無月二十三日 October Twenty-Third




平成14年 高校3年時       74点
平成15年 浪人(ニート)1年目  76点
平成16年 浪人(ニート)2年目  78点

いずれも記述問題採点、教養足切り無し




またこの季節がやってきた。
私が受けては受けては落ち続けている試験、行政書士。

1年目は合格率が20%に肉薄し、非常に簡単と言われた年だった。
しかし、資格試験を志して1年目&法律は覚えたてだった私にとっては
その簡単な山さえ越えることは出来なかった。
ちなみに、危険物取扱者からのダブルヘッダーだった。

2年目、前年のショックか、難易度があがり、合格率が2.9%と狂乱した年だった。
浪人時代の私は、(大学入試の勉強そっちのけで)法律の学習を積み、
何とか前年度以上の得点を獲得することが出来た。しかしやはり不合格。

3年目、私はさらに学習を積んだ。基本書だけでなく条文や判例も読んだ。
今まで30点台だった法令択一も40点台を獲得、たぶん合格したと思っていた。
が、昨年までは15問前後正解していた一般教養問題が難化、
11問しか取れなかったため、全体の点数はあまり伸びなかった。
憲法の記述問題の『会期』が書けていれば6点あがって合格ラインに到達していた。
来年は必ず取る、そう誓ったのであった。

そして今年の試験が今日だ。試験会場は毎年一緒の北海学園大学豊平校舎、
昨年まではアウェーだったが、今年は皮肉にもホームとなってしまった。

正午、北海学園には老若男女、様々な人が続々と集まってくる。


私は大学の中で静かに、勝負を前に最終確認を行なっていた。
資格試験との戦いを始めてから3年半、法律の学習を始めてからもそれくらい。
かつては北大プレテストと試験日程が重なり、他の同級生が皆それを受ける中、
1人でこの試験を受けたということもあった。
この試験を沈めぬ限り、北大プレテストは受けられなかった。
そんな暗い歴史にも、今日で終止符を打つ。さあ、いざ勝負!


今までの私は記述が弱く、毎回12点とかそこら辺しか取れず、
これが合格への大きな足枷となっていた。
2ちゃんねるでの自己申告だが、合格者はだいたい21点以上とっているようなので、
今年は私も、それくらい得点して、楽に逃げ切りたい。

解答用紙が配られる。憲法の問題が
□□□□□の法理、□□□□□□□□□の法理となっているのが見える。
何だろう、禁反言の法理かな?あれは行政法の語句だから違うか。なんだろう?

そして試験開始、上記の理由でまずは記述の問題から行こう。さて、どんな問題だ?





う・・・・・・










      Λ_Λ
  __(Д`; ) 「なに?この問題・・・・・・」
  \⊂´   )
    (  ┳'











解けない! 全然解けない!
昨年までの問題は、正確に覚えていなくても、だいたい入りそうな語句が類推できたが、
今年の問題はそれすらできない。
民法の問題の『要物』契約は一瞬でわかったけど、それ以外まったくわからん。


考えろ、考えるんだ・・・・・・前後の文章にヒントはないか?
思い出せ、思い出すんだ・・・・・・なんかの判例になかったか、こういうの。





だめだ、わからない。
記述が3点しか取れなかったとしたら、合格するためにはどうする必要がある?
110点中、81点をたたき出さないとならないことになる。
無理だ、こんなの無理だ。絶対無理だ。
ダメか、今年も・・・・・・この時点で敗北を確信した。


試験開始後、たった5分で、1年前の自分が持っていた債権は、回収不能になった。
集中の糸が切れたわけではないが、この時点ですでに消化試合となっていた。

そして法令択一式も、簡単には点を取らせてくれそうにない。
点数を取りやすい、行政書士法の問題が、また1問減っていた。

それに反して教養は、簡単だった。情報処理絡みの問題も多く、
先日、情報セキュリティアドミニストレータ試験を受けている私にとっては楽だった。
しかし教養は、捨てるための試験であって拾うための試験ではない。


時間は刻一刻と過ぎていき、漠然とした解答ばかりのまま試験終了。
記述式は、語句を思いつかずに空欄のままのところも多かった。

ハア・・・・・・また今年もダメだったか。
甘いなぁ、甘すぎる。毎年毎年進歩無し。こんな自分が嫌になる。
思わず札幌市交通局に
「今から15分後に、南北線の大通駅で地下鉄に飛び込んでいいですか?」
と電話するかどうか迷ったくらい鬱になった。
あ、たとえ電話しても実際に飛び込むことはたぶん無いと思う。

外で配られるWセミナーやLECの資料を見て、来年の試験は、
今年より2週間遅い11月2週に行なわれることを始めて知った。
高圧ガス関係の資格が犇めく週ではないか。
ああ、少しでも未取得の試験の数を減らしていかないとならないのに。



そうだ、こんな事で鬱になっている暇はなかった。
今日はこれから、まだやることがあったんだ。
今日で丸井今井の小樽店、そして苫小牧店が閉店になるんだ。
特に小樽店は、100年以上小樽の歴史と共に歩んできた歴史有る店舗、
この閉店を見逃すわけにはいかないのだ。
有る意味これに救われたな。もし行政書士試験の後に予定がなかったら
おそらくそのまま適当な高速バスに乗ってどこかを彷徨っていたことだろう。

時計台前から高速おたる号に乗車、何故かおばさんがいっぱいだ。
聞こえてきた話によると、彼女らも小樽店の終焉を見届けるつもりらしい。
隣のおじさんは、同じく行政書士試験の受験者だったようだ。



市役所通のバス停で降り、丸井めがけて走る。
小樽まで行く間の1時間と、これからイベントがあるという高揚感が
私の鬱を一時的にかき消してくれた。

丸井今井からは、紙袋を持ったたくさんのおばさんが出てくる。
ティッシュボックスを大量に買い込んでいるおばさんも多く見かける。
閉店セールで安くなる時を狙って日用品購入、流石だ。



さてと私も突撃!何かいい物はないか?おお、店の中はまさにバーゲンセール状態。
ワゴンの中に入った衣料品におばさんが群がる群がる群がる。
50%OFFの商品が馬鹿みたいにあるんだから、当然か。
婦人服売り場は私の守備範囲じゃない、上に行くぞ!
いつの間にか、閉店を残念がる気持ちは吹っ飛んでしまった。


まずはレストラン街で何か食べよう。
といっても閉店間際のこの店に入っている飲食店は、今やもう唯一店しかない。
「割子そば三昧1つ」
「お客さん、そんな端の狭いところ座らなくても、もっと広いところ座って良いんですよ」
「いや、ここがいいんだ、なんとなく」

食事が終わったところで、雑貨品のコーナーへ。
主にタオルと食器がいっぱい残っているようだ。
防災頭巾なんて物も売っているようだ。
お、さらに変わった物が。消防設備士5類の守備範囲、緩降機。
2階以上の高さから地上に安全に降りるための、避難器具の一種だ。
10710円の80%引きか、玩具として買うにはちょっと高いな。

そこへおばちゃん2人組がやってきた。店員となにやら話している。
「あら、この商品いくらまで安くなるのかしら」
「80%OFFになります」
「80%OFFじゃ誰も買わないわよ、もっとまけてくれない?」
「・・・・・・えーとでは、90%OFFでいかがでしょうか?」
「10710円でしょ?10000円を消して710円にしてくれないかしら?」
「・・・・・・、・・・・・・わかりました、おお負けに負けてそれで手を打ちましょう」
商談が成立したようで、おばちゃんは緩降機と共に、ワゴンの中に5、6個あった防災頭巾を
1つ残らず持っていった。こちらもかなり値切ったようだ。

流石だ、本物のおばちゃんは一枚も二枚も上手だ。
とりあえず緩降機は93.4%OFF相当か、良く値切ったな。
この値段だったら私も欲しかったな・・・・・・710円だもんな・・・・・・。
私の中で何かに火がついた。


「この残っているワゴンの中身、全部買うから95%OFFにしてくれないかな?」
正直無謀な交渉の様な気がしたが、もともと最初から80%OFFの表示がされていたのだから
とりあえずやってみる価値はある。
「えーとレジの方で95%OFFっている処理はできないんですよ、90%OFFでどうです?」
「うーん、90か、厳しいな。もう少し何とかならない?」
「えーとですね、じゃあこれは300円引き、これも300円引き・・・(中略)・・・でどうです?」
「わかりました、それでお願いします」
そしてレジへ。
「えーと全部で210円になります」
チャリーン
「ありがとうございました」
ちなみに必死に値切ったワゴンの残留物は、ケーキの箱とタンスストッパーだった。
使い道は後で考えるとして、我ながら非常にせこいことをやっているなぁ。


さらに店内をうろついてみる。それにしても客はおばさんとおばあさんが8割、
それ以外はおっさんとおじいさんが占め、私のような客層はいない。
もっとも、それでも場違い感を微塵も感じないのが私の長所(?)である。
さらに他のおばちゃんとも色々商品について話したりした。
もっとも、話しかけたのはこっちじゃないけどな。


「サンローランのタオル、いつもの価格の半額からさらに半額!」
時間は閉店19時の3分前、よし、最後はこれを値切ってこの店に別れを告げよう。
「こっちの単品は625円、こちらのセットは1250円、残り2つしかありませんよ」
「このタオル残りの2つ、両方買うから、1700円にしてくれませんか?
 それだと、あっちにあるおたまをプラスするとちょうど2000円になるんですよね」
「1700円か、うーんどうしよう・・・・・・わかった!最後だしそれでやったる」
よし!175円値切ったぞ!もうわけわからんな。
ということでめでたくサンローランのタオルセット+おたまを購入。


ショッピングを楽しむのはこれで終わり、
いよいよ115年の歴史に終止符が打たれるその瞬間を見届けるときが来た。
間違って従業員用エレベーターに紛れ込んでしまったのはいいとして、
外に出ると、住民、報道陣、既にたくさんの人が店の前に集まっていた。




最後に全ての従業員が出てきて、店の前に並び、利用者に対して最後の挨拶をした。


開業以来115年のご愛顧、
誠にありがとうございました。
日頃から格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
丸井今井小樽店は、本日をもちまして、
閉店させていただきます。
閉店に際し、多大なるご迷惑をお掛けいたしましたことを、
衷心より深くお詫び申し上げます。
長い間ご愛顧いただきました皆々様に、
従業員一同、心から厚く御礼申し上げます。
誠にありがとうございました。

平成17年10月23日


従業員が深々と礼をする中、シャッターが音を立てて下がっていく。
大勢の人たちの拍手に見守られながら。

そして、もう二度と開くことのないシャッターが降りきった。
集まっていた人たちは、1人、また1人と店の前から去っていった。
涙に濡れる人もいた、テレビ局のインタビューに答える人もいた、
最後にロゴと一緒に記念撮影する人もいた。
そして数分が経過した後、商店街には静寂が戻ってきた。


1つの時代が終わった。
時代の変化と共に、街の中心部にある百貨店より、
郊外にある大規模量販店へと人が流れるようになった。
新しい物が古い物を駆逐する、それは選択と淘汰の歴史上、仕方がないことだ。
だけど街と共に生きられる百貨店と異なり、郊外立地型大規模量販店、
具体的にいえば主にジャスコのことだが、あれは街を破壊する。
便利さばかり求める時代からの卒業は、まだまだ遠そうだ。


ところでこの人達は何やってるんだろうね。

家に帰って行政書士試験の採点を行なってみる。ついでに、今までの得点も載せてみる。

平成14年 高校3年生            74点
平成15年 浪人(ニート)1年目       76点
平成16年 浪人(ニート)2年目       78点
平成17年 大学1年目&浪人(ニート)3年目 57点

ふう、法学部に入学した後の方が点数が下がるってどういうことだろうな。
大学に入る前の方が法律の勉強をしていたということだろうか?
それとも今年は特に難しかったのだろうか?


とりあえず、同じ試験を4度も不合格になってしまったことは紛れも無い事実であり
この程度の試験で躓いているような私が、これから先、
さらに難関の資格試験に挑戦することができるのか?意味があるのか?と考えてしまった。

ということで申し訳ないが、気持ちの整理がつくまでWebページを封鎖して
私と資格試験との関わり方について、一度じっくり考えてみようと思う。
もし、過去問題などのコンテンツを利用したい方がいるならば、
掲示板とメールアドレスは残しておくので、そちらから連絡して欲しい。
ページ封鎖を永久的に行なうことを決定しない限りは、対処いたしますので・・・・・・。




そういえばセンター試験も来年の4度目の受験だなぁ・・・・・・。