2009/7/2 文月二日









※ 今日の全ての掲載画像は、日記の趣旨を反映するため意図的にexif情報を残しております。


左 函館本線 納内駅を発車する岩見沢行711系普通電車(6月30日17時59分06秒撮影)
右 函館本線 納内駅に到着する直前の岩見沢行711系普通電車 (6月30日17時59分23秒撮影)


この2枚の写真は、一枚一枚を見る限りでは普通の写真に過ぎない。
しかし、写真データに記録された撮影時刻を調べてみると、おかしな点がある事に気づく。
左の画像の方が時系列的に後に起こった事であるはずなのに、撮影時刻は早い。

もちろんこれは怪奇現象でも何でもなく、ただ単にカメラの内蔵時計に起因することである。
とはいえ、撮影中にわざわざ内蔵時計の時刻を変更するような事などするわけもない。
2台のカメラを同時に使用していただけだ。
つまり2台のカメラの内蔵時計のズレが、このような現象を生むのである。



私の場合、デジタルカメラを同時に2台使うような機会ができたのは、
KissデジタルNを導入し、コンデジ+デジタル一眼の併用体制を取る場面が出てきた2007年頃だが、
既にその頃から、たまに発生してしまうこの現象が気になっていた。
基本的にデジカメの2台同時使用をするのは、一台ではレンズ交換が間に合わないなど、
それだけの撮影速度が求められるような場面なので、この影響が無視できないような状況が多い。




例えば以下は今年の2月18日、鳥栖駅で撮影した寝台特急はやぶさ号の画像である。
このときの撮影も、KissDNと40Dの併用で行っていた。

本来の時系列だとこうだ。




しかし画像データの時間順に並べるとこうなる。


被写体が鉄道の場合だと、それ自体が時間の流れを示唆する存在なので、
このように画像の順番が入れ替わってしまうと、どうしても違和感を覚えてしまう。



ただ上記のはやぶさ号の例は、撮影が断続的だったのでまだ楽な方だ。
これが連続的な撮影になってしまうと、二つのカメラで撮影した画像が交互に並ぶような状態ができる事がある。

私の場合、6月19日の定期戦パレード撮影が実際そのようになってしまった。



こうなってしまうと、撮影場所などから推測することはできるとはいえ、
撮影した順番を把握するのはなかなか面倒である。
撮影時刻によるソートが効かない以上、自分で写真を見て並びかえるしかない。



ところで、撮影した時刻や順番ってそれほど気にするものなのか?と思う人もいるだろう。
確かに、場合によっては撮影した順番など、どうだって良い時だってある。

多くの写真の中から数枚を選んで使う場合に関しては、そんなに気にならないとは思う。

しかし写真の並びを以って、時間の流れを表そうとしている場合はやはり問題が生じるだろうし、
私のような、写真を記録だと考えている人間にとっては、順番が入れ替わるのは不都合だ。

例えば私の作業工程においても、画像の選別や加工をする際、特にカメラの違いを気にする事はないので
複数のカメラで撮影した画像ファイルを一つのフォルダに入れて、
画像の撮影日時データを基にデータを並べて縦覧するのだが、
写真に付与された時刻に誤差があると、本来撮影された順番とは異なる並びとなってしまい、
始めから終わりまでの連続した時間の流れが断絶される。

このように断絶されたデータを用いると、
自分でも気付かないうちに写真で偽りを表現することなりかねない。それが怖い。



このような事を防ぐためには、やはりカメラの内蔵時計を正確に合わせておくのが一番だ。
という事で今日、時報によって私の4台のデジタルカメラを全て日本標準時と合致させた。

だいぶ前には、同じ作業をやっているはずなのだが、デジカメの内蔵時計は
そこまで精密ではないようで、40Dの内蔵時計は約2分程進んでいた。
なるほど、2分も進んでいればあのような現象も起こるわな。


しかしここで問題が一つ。
カメラによって、時刻の有効数字の桁数が違うのだな。

私が持っているカメラにおいては、
S5ISとKissDNが合わせられるのは分単位だが、実際には秒単位まで記録されており、
40Dと5DMarkUにおいては秒単位で合わせる事ができ、バックグラウンドでは10ミリ秒単位で残っている。
よって全てのカメラの時刻を同期させようとしても、どうしても秒単位の誤差は出てしまうのだ。

尤も、二つ以上のカメラで同時に連写するような事態がない限り、さすがに秒単位の誤差が問題になる事なんてないのだがな。



さて、ここまで読んで「デジカメ2台持ってない俺には関係のない話だな」
と思った人もいると思う。しかしそうとも限らないんだな。

誰かと一緒に同じものを撮る場合には、その二人のデジカメの時間のずれが問題になる事はあり得る。
例えば先日、私が運動会を撮影したような場合だ。
実際あの時は業者さんと、デジカメの時刻を確認してちゃんと合わせている。
二人合わせて数千枚の画像を取り扱うので、手作業での時系列整合なんてやってられないのだ。


もうひとつ問題になるのが、デジカメ用GPSを併用する場合だ。
デジカメ用GPSは、衛星から時刻情報を受け取っている関係上、時刻はぴったりだ。
しかしカメラ側の時刻がずれていると、その時間分ずれた位置情報とマッチングされてしまうのだ。

極端な例を出すと、例えば12時00分00秒に大宮駅に居て、12時30分00秒に東京駅にいたとする。
当然GPSには、その記録が残る。
そこで12時00分00秒に大宮で撮影をしたとしようか。しかしカメラの内蔵時計は30分進んでいて
大宮で撮影した写真には12時30分00秒に撮影したというexif情報があるとすれば、
情報を統合して処理された結果、東京駅の場所で撮影された事になってしまう。


一応、この事を予防する方法もある。
デジカメはフィルムと違って、何枚だって写真が撮れるのだ。
だから、時刻補正用に「正確な時計」を撮影しておけばいい。それだけの話だ。
撮影した正確な時計が14時00分00秒で、その時の写真のexif情報が14時02分30秒なら
そのデジカメの内蔵時計は2分30秒進んでいると言う事がわかるので、
後からソフトウェアを使って、画像のタイムスタンプを2分30秒分だけ遅らせてやればいい。


と、ここまで書いていて気になった。
そういえば「電波時計内蔵デジカメ」って無いよね。
電波を受信して自動的に正確な時刻へと補正してくれるデジカメがあれば
煩わしい時刻合わせに手間取る事もなくなると思うのだが、次の世代あたりで導入されないかな?

しかし、今現在そのような製品が出ていないと言う事は、一般ユーザーには正確な時刻情報を保持することは
求められていないのだろうな。少なくとも「手ぶれ補正」とか「顔認識」よりは。

まあ時計の内蔵時刻なんて、たまに合わせれば十分だというのが実際のところか。