2009/3/17 弥生十七日




3月14日を持って、札幌市内のいくつかのお店でKitacaが電子マネーとして使えるようになった。

Kitacaというのは、JR北海道が発行するICカード乗車券の事だが、
これが使えるようになったおかげで、ビックカメラでのお買い物が
約1.5%分だけお得にできるようになった。


ビックカメラのレジにもKitacaのリーダーと、使えるようになったことを告知する旗が見られる。


さて、何でKitacaが使えるようになっただけで、買い物がお得になるのか。
Kitacaにチャージしたからと言って、プレミアムがつくわけでもないし、
Kitacaで支払いの際に現金に比べて割引や還元率アップというサービスがあるわけでもない。
だがしかし、一定の過程を踏めば、確かに今までよりもお得に買い物することができるようになるのである。
その過程を追って説明しよう。

キーワードは『KitacaとSuicaの相互利用』、『ビックカメラ Suica』の二つ。



キーワードの一つめであるKitacaとSuicaの相互利用、これは単純に
Kitacaが使える場所ではSuicaも使えますよ、ということである。
だからなんだと思うかもしれないが、実はこれが大きな意味を持つ。

今現在、Kitacaはまだ出たばかりで種類が少ないが、
Suicaは既に豊富な種類の物が出回っており、中にはクレジットカードと連携しているSuicaもある。

そしてクレジットカードと連携しているSuicaの中でも、ビックカメラと特に相性がいいのが『ビックカメラ Suica』だ。
名前にビックカメラの文字が含まれていることからもその事が伺えるだろう。

このカードの大きな特徴は二つ、「クレジットカードの使用でビックカメラのポイントが貯まる」、
「ビックカメラのポイントをSuicaチャージに使える」の二点。

おっと、そろそろ階層が深くなってきて話がややこしくなってきたな。
大丈夫、話の階層はここまでで終わるから。


要は
「Kitaca(Suica)での支払は現金と一緒のポイント還元率」なので支払いにSuicaを使い、
「Suicaにクレジット機能を用いてチャージするとクレジットカードのポイントが発生する」から
Suicaにクレジットカードでチャージする。単純化するとこれだけの事だ。
さらに『ビックカメラ Suica』には「ビックカメラのポイントをSuicaチャージに使える」機能があるので、
「ビックカメラポイントをSuicaチャージに変換してから使う」とさらにお得、だということだ。

1円分のビックカメラポイントを1円分のSuicaチャージに変換することに何の意味があるんだと思うかもしれないが、
「ポイントで買い物した場合ポイントはつかない」が「Suicaチャージで買い物するとポイントがつく」んだな。



いろいろ理屈を説明してきたが、実際どうなるかを見るために、
以下の三条件で10000円かつ10%ポイント還元の物を買う場合を考えてみよう。

A、現金
B、ビックカメラSuica(3月13日以前)
C、ビックカメラSuica(3月14日以降)


A 10000円を現金で支払い、1000ポイント発生。1000ポイントはビックカメラで1000円分の買い物に使える。
  ポイントにポイントはつかないので、10000円はビックカメラで11000円分の買い物に使えた。

B 10000円をクレジットカードで支払い、1000ポイント発生。(ビックカメラSuicaなので2%減ることはない)
  1000ポイントをSuicaチャージ1000円分に変換したいところだが、札幌地区ではできない。
  そしてSuicaチャージは札幌地区では使えない。
  首都圏に行った際はお得に使えるが、札幌地区完結ではSuicaチャージは使えないため資金がループしない。
  
C 手始めに手元の携帯電話を操作して、10000円分をクレジットカード経由でモバイルSuicaにチャージ。
  この時点で150円分のSuicaポイント発生。10000円分のSuicaチャージで買い物すると1000ポイント発生。
  1000ポイントをSuicaチャージ1000円分に変換したいところだが、札幌地区ではできない。
  ただし、札幌地区ではできないのはポイントの変換だけなので、東京に行ったついでに可能。
  変換したSuicaチャージで買い物すると再びポイントが発生。以下、理論的にはループ。

ということで、発生して出てきたものを全てをビックカメラで消費したと考えると、
Aでは1万円が11000円分として
Bでは1万円が11111.1111・・・円として
Cでは1万円が11258.8611・・・円として
使えることになるわけだ。

ビックカメラでのお買い物が約1.5%分だけお得にできるようになった、というのが嘘ではないことがわかりましたね?




さて、今までこんなことを長々と書いてきたが、
実はこの事は、今に始まったことではなく
首都圏ではとうの昔に始まっていたことなのだ。

詳しくはこちらのSWAさんのWebページを見ていただきたい。
SWA の Web ページ
実は私がこのSuicaループを知ったのも、このサイトがきっかけである。


しかし、私のような札幌を住処とする人間にとっては、札幌でこれが可能になったという事が大きい。
モバイルSuicaを使えば、Suicaチャージは手元の携帯電話で可能だから、場所を選ばないしな。





と、ここまで読んでどういった感想を持っただろうか?

多分、たいていの人は、途中で読む気が失せたことだと思われる。
そういう人は、あまりこの手の節約には向かないかもしれない。
僅かな金額を値引きするために、頭や足を使ったりする労力の方が勿体無いだろうし、
また無理に実行、反復継続しようとするのは苦痛だろうから。

面白そうだと思った人は、是非やってみるといいと思う。
知的好奇心とお金の両方が得られるので一石二鳥だ。


あれ?この文章、どこかで読んだようなと思った人は凄い。
ちょうど今から1年と10か月前の日記、
すなわち2007年5月17日の「吉野家の豚丼を300円以下で食すには」の最後において
まったく同じ文章を使っているのだ。


理解してもらえるかどうかはしらないが、私は日常にすらこういうアルゴリズムを考案していく人間なのだよ。

アルゴリズムのいいところは、論理的に構築されているが故に誰が運用しても同じ結果になること。
一部の人の特殊能力ではなく、一度考えてしまえば誰もがその方法で恩恵を受けることができる。
だからね、こういうことを考えられる人が技術者になると、その技術で多くの人に貢献できるのさ。

私が技術者になりたい理由もこういう理由、
ただ、一方では新聞記者というアルゴリズムとはまったく逆の仕事も志望しているというのだからおかしな話だ。
でも私にとっては、自分がやった仕事が多くの人に影響を与え、良い方向へ導けるという点では一緒なのさ。