2007/9/23 長月二十三日





781系ライラック号。高速納内バス停付近で撮影。
こいつが走るのも残す所あと1週間、最後まで無事に走りきって欲しいものである。
(781系については、おそらく1週間後に詳しく取り上げます)


前にも述べたと思うが、現在の私は札幌から旭川までバスに乗り放題だ。
今日も旭川方面を目指そうとしたが、今年はそれ以外のバスはフリーパスではないので、
高速あさひかわ号が発着する札幌駅前ターミナルや札幌ターミナルまでは、別料金を払っていかなければならない。

高速あさひかわ号に乗ってしまえば快適なのだが、それまでの移動が何とかならないか、
そう考えていると、ちょっと面白い事を考え付いた。パーク&ライドの応用である。

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パークアンドライド (英語:park and ride) とは、都市部や観光地などの交通渋滞の緩和のため、
末端交通機関である自動車等を郊外の鉄道駅又はバス停に設けた駐車場に停車させ、
そこから鉄道や路線バスなどの公共交通機関に乗り換えて目的地に行く方法。P&Rと略すこともある。
バスに乗り換える場合はパークアンドバスライドとも呼ばれる。
交通量自体が減少するため、渋滞の緩和だけではなく、排気ガスによる大気汚染の軽減、
二酸化炭素排出量の削減といった効果も期待されている。
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高速バスは高速道路上のバス停に停車するが、一部のバス停はパーキングエリアに併設されている。
ならば自宅から車で出発し、高速道路に入り、
パーキングエリアに車を止めて、そこから高速バスに乗ればいいのだ。

札幌から旭川方面に行く高速道路だと、野幌のパーキングエリアにバス停がある。
野幌までならたいして時間も高速料金もかからないし、やってみよう。


ただ問題なのは、この区間のバスは遅れるのが当たり前なので、やってくる時間が正確じゃないことだ。
札幌I.Cから高速に入った際も、乗る予定のバスが先にいるのか後にいるのかわからない。
普通に考えれば、バスより先に入ったはずなのだが・・・・・・念の為、少し早めに走る。

すると江別西I.C付近で前方にバスが見えてきた。ありゃ?前にいたのか?
・・・・・・何だ、高速いわみざわ号か、驚かしやがって。
ん?いわみざわ号がここにいるという事は・・・・・・
札幌駅前ターミナル13時10分発のバスがこの時間でここまで来る事はできないから、
このバスは札幌駅前ターミナル12時55分発のバスだな。
ということは、高速あさひかわ号が来るのは、このバスが通過してからおおよそ5分後だ。
(高速あさひかわ号は札幌駅前ターミナル13時00分発。)

ふう、何とかパーク&ライドに成功しそうだ。


そういえば野幌P.Aは、少し前にセイコーマートと一体化して24時間営業になったのだ。
このままだと旭川まで食べる物がないし、せっかくだから大急ぎで利用してみよう。
(考えればこれが余計だった)

3分経過後、セイコーマートから小走りでバス停の方に向かう。

あれ?何か右の方からバスがやってきたぞ。
まさか・・・・・・やはり乗る予定の高速あさひかわ号だ。
おーい、ちょっと待ってくれよ。

バスは無常にも走り去っていってしまった・・・・・・。


仕方ないから次のバスに乗ろうか?
いや、あのバスに乗らないと、高速納内で降りたときにちょうどいいタイミングでライラックが下を通らない。

待てよ?いつもなら乗り遅れたら、その場で次のバスを待つしかないわけだが、
幸い今日はここまで車で来ているんだ、ただこの場で待つ必要もない。

そう、次のバス停まで、先に行ったバスを追いかければいいのだ。

そうと決まれば、チンタラしている場合ではない。慌てて車に戻り発進する。


ここ、『野幌』の次のバス停は『高速栗沢』だが、ここは高速道路上にあるので車を止められない。
となると、岩見沢S.Aに併設された『東山』を利用する事になる。

さて野幌P.Aから岩見沢S.Aまでの距離は25キロだ。

(ちなみに高速道路ではS.Aはおおよそ50キロごとを目安に、P.Aはその間に設置されている。
 とはいえ、交通量が本州の高速道路とは比べ物にならないくらい少ない
 北海道の高速道路についてはこの原則はあまり当てはまらず、
 本来ならS.Aになるはずの比布大雪がP.Aだったり、
 サービスエリアとは名ばかりの十勝平原S.Aがあったりするのであるが)


さて、時速100kmで走るバスよりも先に行くためには、どれだけ頑張る必要があるのか計算してみよう。

時速100kmは言い換えれば秒速27.7m、つまり36秒で1kmを走り抜けることになる。
これを時速120kmで追いかけるとすれば、秒速33.3m、30秒で1kmを走る事ができるが・・・・・・、
そう、時速120kmでは、1kmあたり6秒しかタイムが縮まらないのだ。

仮に時速140kmで走ったならば、1km走破タイムが約25.7秒で1キロ当たり約10秒追いつき、
同じく時速160kmで走ったならば、1km走破タイムが22.5秒で1キロ当たり13.5秒追いつく計算になる。


手元の時計を見て考えると、中央バスとのビハインドは3分半くらいか。
25kmでこれを埋めるためには・・・・・・うーむ。
(中央バスは遅れていても回復運転をせず、きちんと法定速度で走るのだが、
 これが道北バスや北見バスなどだと、120km/h走行が当たり前なので、追いかけるのは無理だろう)

よし理論的には可能だな、ならば勝負してみる価値はあるか。
この区間は21km地点に、赤い閃光を放つ兵器が待ち構えているので、それだけは注意せねば。


右の車線を切り裂いていく。景色が後ろに飛んでいく。しかしなかなかバスの姿は見えない。

こういう事をやると、時間の重さが良くわかる。
1秒という時間を取り戻すのがどれだけ大変か、身を持って知る事ができるのである。

もっともここは高速道路、一瞬でもハンドル操作を誤れば、黄泉の国へと誘われるわけであり、
瞬きすら躊躇う様な時間が延々と続く。

旭川までのんびりしていきたいからバスで行こうと思ったのに、
こんな事をしなければならないのでは、本末転倒だな・・・・・・。



岩見沢I.C付近の下り坂、やっとターゲットのバスを捕捉。だいたい計算どおりだな。



しかし私は、重大な計算ミスをしていた。

皆さんはお気づきだろうが、バスに追いついただけではダメなのだ。
バスを追い越して駐車場に車を止め、一足先にバス停で待っていなければならないのである。


つまり岩見沢S.Aの3km前で、バスを追い越したと言う事は・・・・・・。


猛スピードのまま岩見沢S.Aに突っ込み、できるだけ走った後、一気に減速してドリフトさせて車を止めた。
凄まじいブレーキ音が鳴り響く。・・・・・・ああ、どこぞのDQNカーだよ。

すぐさま荷物を持って降り、バス停の方に走る。
ここのバス停へのアプローチ道路も長い。

後ろからバスが迫ってくる。あとバス停まで200mといったところか。
バスとのアドバンテージは100m、私が200mを35秒で走るとして、
バスは時速40キロだとすると、1秒に11m進むわけで27秒後に・・・・・・。

「おーい、乗るからちょっと待ってくれー」
と叫んでも、バスは遠慮なしに走っていってしまった。


ああ、バスが行っちゃう・・・・・・。


次は高速茶志内ですか・・・・・・流石に無理だなぁ。高速料金も馬鹿にならなくなるし。

いや、それ以前に何か体調がおかしい。
異常な緊張状態が続いたせいで、おそらく血圧が乱高下したのだろう。
この状態では追いかけるのはおろか、運転は無理だな。
さらには過呼吸症も併発、苦しい・・・・・・。ああ、運転が無理とか言うレベルではないな・・・・・・。



ということで歩くのが少し苦しいので、暫くその場に寝転がっていると、
おそらくその様子を見ていたのだろう、中年から初老の人たちが4人ほど駆け寄ってきた。

「おい、君、大丈夫か!?」
「どうした、何があったんだ!?」
「大丈夫?救急車呼ぼうか?」

・・・・・・何この展開。
まあ、S.Aの出口付近で突然人が横たわっていたら、何かあったと思われても仕方ないわな。

「皆様・・・・・・、ご心配かけてすみません。・・・・・・暫く休んでいれば、多分・・・・・・大丈夫です」
というのが精一杯だった。

しかし、普通の人が見れば何らかの発作で倒れたと思われても仕方ない条件を充足していた為、
私が大丈夫だと言っても、やはり救急車を呼んだ方がいいんじゃないか、と言う。


・・・・・・周囲の人との係わりが希薄になったと言う昨今だが、
まだまだ世の中捨てた物じゃないと思ったと同時に、
正直今回の一件は、私が1人で勝手に無茶したから生じたわけであって、
何かキチガイが暴れているよ、といった感じの侮蔑と嘲笑の目で見てくれた方が、楽だったかもしれないと思った。

もっとも私がそのままあの場所に横たわっていたら、通行する車に轢かれていたかもしれないことを考えると、
やはり彼らの対応の方が適切であった事を認めざるを得ないな。

ネタ師はネタの責任を自分で取るからこそネタ師なのであって、
他人にあまり迷惑や心配をかけるのではネタ師失格だ。

そういう意味では他の方々に多大な心配をかけてしまったこの事を掲載すべきではないような気がしたが
自分自身の反省と、今後の対応に生かしていくためにあえて書いておくことにしよう。




尚、次のバスは、来るだいぶ前からバス停で待っていたのにも関わらず、私を置いて行きそうになり
バス停から数十メートル進んだところで慌てて止まった。

なるほど、バス停にいてもこういう状況なら、バス停の方に走って行く人がいてもスルーするのは当然か。
そもそもここ東山のバス停なんて、私以外に利用した人を1人(それも誤乗)しか見たことが無いし。


先ほどより大分体調は回復した物の、やはり不調だ。
旭川までずっと気分が悪い状態のまま、輸送されていったのであった。
尚、バスの運転士は東山で乗客(私)をスルーしそうになったのが効いたのか
高速茶志内、砂川吉野、砂川石山、高速江部乙の各バス停で、恐ろしく念入りに乗客がいないかの確認をしていた。


旭川の街に到着。
ちなみに本日、旭川に向かった理由は、
昨日購入したTAMRONの17-50mm XR Di Uを試してみるためだったので
旭川駅前の歩行者天国で何枚か撮影してみる事にする。


いつも使用している高倍率ズームの18-200より描写が鮮明であるのが
カメラについている液晶で確認しただけでもわかるくらいだったが、
600×900にリサイズしたこの画像では、あまり差が出ないかもしれない。

もう少し撮影していこうかと思ったが、どうも気乗りしないので、
さっさと次のバスで札幌を目指す事にした。
しかし折角なので、高速納内で下車し、夕日が照りつける中、列車でも撮る事にする。


高速納内は、このようにすぐ傍を列車が通るので、トレインビューにはなかなかいい場所だ。
ちなみにこの写真は、S5ISでの撮影です。
(私のサイトに掲載されている写真は基本的に、4:3ならコンデジ、3:2ならデジタル1眼で撮ったものです。
 もちろん例外もありますが)


網走行のオホーツク号。高い視点からの撮影ですが、高速道路上にいるわけではないので悪しからず。


ここら辺の線路も、美しいほど真っ直ぐだ。


30分ほどの間にこの場所を、貨物列車、普通列車2本、ライラック2本、オホーツクが通過した。
そろそろ日も沈む頃なので、札幌方面に引き返す。


東山のバス停再び。この暗さでも苦にしない開放2.8はやはり強い。


すっかり日が落ちた岩見沢S.A。雲がとてもシャープに出ている気がする。



安いからつい買ってしまった大口径標準ズームだが、なんだかんだ言って描写力が違うな。
本当はそんなはずは無いのだが、レンズを換えただけで写真がうまくなったような気さえする。

私は記録を目的としているからといって、撮影機会ばかり重視していたが、
もう少し撮影機械にも資金を投下した方が良さそうね。
もっとも、あまり装備が重くなると今度は機動性が犠牲になるので、一概に金かければ良いとも言えないのだが。



さて、岩見沢S.Aまで帰ってきたわけだが、ここに車が置いてあるわけで、
これから三笠から札幌まで走らないとならないのよね。
やっぱり、高速パーク&ライドは効率悪いなぁ。


本日の高速料金 札幌→三笠 650円(通勤割引適用)

13時20分に入って18時15分に出るという変な条件でも、割引は適用になるみたい。