2007/6/6 水無月六日





私も製作のために尽力している北海学園大学の卒業アルバムだが、実は今、かなり危機的な状況にある。
製作に際して、年間100万円単位の赤字が出ているのだ。

卒業アルバムの収支状況について精確な資料を見せてもらった事は無いが、
だいたい販売部数700部が損益分岐点となっているらしい。

今から10年くらい前は、売り上げ部数が800部程度であり、利益を確保する事が出来たのだが
それ以来毎年漸減しており、今年3月の卒業生のアルバム購入数は500部に満たなかった。


北海学園大学の卒業アルバムは1部18,000円、決して安い物ではない。
だから、買い求める人もそれほど多くないわけで、現在では全学生の四半分程度に過ぎない。
ただ購入しない理由を紐解いてみると、18,000円と言う金額がネックになっている人も多く
高校の卒業アルバムと同じくらいの金額なら是非買いたいという人も結構存在する。



さて、卒業アルバムと言う商品は、印刷物である性質上、固定費の割合が大きく変動費が少ない。
つまり、売り上げが100部だろうが、500部だろうが、1000部だろうが
製作コストの大半を固定費が占める以上、そこまで支出の部は変わらないのだ。

例えば2千余名の全学生が卒業アルバムを購入する事となれば、アルバムの代金は8000円程度に抑える事が出来る。
つまり現状では、買わない学生の分まで買う学生が負担していると言うことも出来る。
もちろんそれが実現し、8000円に値下げしたとしてもクオリティは最低でも現状維持、
むしろ今まで販売促進活動などに振り分けていた仕事量を
純粋な制作活動に配分できる分だけ、前よりも良い物を創れるようになるかもしれない。

仮にアルバム代が8000円になれば、毎年2000円の負担で、全員が卒業アルバムを入手できる計算になる。
現状でも大学の学費や諸々の経費をあわせれば、年間100万円くらいの支払があるわけで、
それを考えれば年間たった2000円の支払で、卒業アルバムがついてくるなら安い物だろう。


数ヶ月前までは、そんな事をアルバム委員内で冗談半分で話していた物だが、
ここ数週間で、この話題が現実味を帯びてきた。
そして今現在、話はy@5u5hi氏が二日後に行われる学生大会で、動議として提出する所まで進んでいる。

回答はおそらく「持ち帰って検討します」で終わるであろうが、
議事録にそういう発言があったことを記録させ、今後大学側と粘り強く交渉を続けていくための布石とする考えだ。



さて、もしこの案が通って卒業アルバムが全員購入になったとしても
それが施行されるのは最短でも数年後、我々が大学にいる間に影響が出る事は無いだろう。
事実、中学校や高等学校、大学のような構成員が短期間しか所属しない組織においては、
何かを変えようとしても、変わる頃には自分は既に卒業しているから関係ない、という考えの人が結構な割合で存在する。

しかし、その変えようとする意志、そしてその変革の結果が、
どこかで巡り巡って自分と関係する可能性は拭い去れない。


実は、現在本学の卒業アルバム製作業者として働いている佐々木さんだが、
数十年前に本学の学生だった頃、卒業アルバムの製作を始めるのに尽力した張本人でもあるのだ。
佐々木さんが、もし学生時代にそのような変革を志さなければ、
回りまわって現在卒業アルバム作成の仕事に携わっていると言う未来も無かったかもしれない。
改革を求めることは、後輩達の為だけではないと実例がここにある。
(もっとも佐々木さんは優秀な写真家なので、卒業アルバムの仕事が無かったとしても問題は無いだろうが)



自分で言うのもなんだが、今の卒業アルバム製作メンバーは、かなり層が厚い。
もちろん撮影能力だけではなく、意思決定能力など様々なものを勘案しての事だ。

だから、もし改革を行うならば、今年度が最後の機会だと思われる。


たとえ私がこれからどんな道を歩くのだとしても、このエネルギーはきっとどこかで役立つと思うので、
今回少しだけ、流れを変える側に回ってみようと思う。

流れの中に飲み込まれるか、大鉈を振るう事ができるのか、それは誰もわからない。