2007/3/18 弥生十八日




本日から首都圏でPASMOの使用が開始された。

PASMOについてはニュースなどでも散々やっていると思うのでこれ以上の説明はしない。
公式サイトがあるので、各自こちらでも見ていただきたい。

さて、本日はPASMOの利用開始を記念して、記念PASMOカードが発売された。
11万枚の限定販売だが、本日の13時頃には全て完売したようだ。
またSuicaにおいても記念カードが販売され、首都圏の各駅で販売されたようだ。

私も欲しかったなあ、とは思ったが、首都圏在住じゃないから
今日このために販売エリアに飛び込むのは無理だ。
(多分あと一週間後くらいに、鹿島鉄道がらみで首都圏に行く事になると思うが)

PASMO初回限定版の11万枚があっという間に売り切れたと言うのは、
Suicaの初回限定版ペンギン柄10万枚が、発売当日にほぼ完売したことを考えると
妥当なところではあるとは思う。(私鉄各線の沿線住人も買うわけだしね)

しかし、私が以前購入したそれより少ない2万枚限定のSuicaカードが、
発売数日後にさいたま新都心駅へ出向いても買えた記憶があるので、
もしかしたら一週間後くらいまでは残ってないかな?という淡い期待も持っていた。


まあいいや、売り切れたなら仕方ない。
Yahooオークションで2100〜2300円くらいで買えるだろう。
朝早くから並ぶ手間、そして首都圏までの交通費を考えたらこっちの方が結果的に割安だ。
そう思ってYahooオークションを確認してみた。




























そこで何が起こっていたかはこの画像をクリックして見てください。





























な、なんだこりゃあ!!!相場大暴騰ですか?
なんと、最低でも一枚5000円以上とは、発行枚数11万枚もあるのに。
しかも物によっては数万円とか、もはや訳ののわからない値段が付いている。
Suicaの超レアカードである、JALやANAの機内限定カードですら
市場取引価格が2万円くらいなんだぞ。ありえないだろ、これ。

需要と供給の関係においては、需要が大きければ相場は高騰する。
しかし今回の件については、供給に対して需要がそれほど大きいとは思えない。
第一、画像の左下を見ればわかると思うが、同じような出品が56ページ分もあるのだ。
1ページあたり20オークションだから、1000以上は出品されている計算になる。

私は以前、はやてSuicaや本庄早稲田Suicaなどを
オークション経由で購入した事があるが、そのときは価格はせいぜい2100〜2400円程度、
少し貴重な仙台七夕Suicaですら、3000円までは行かなかった。
なのにこれだよ、一体何があったんだ?


しかし・・・・・・前にも何かこれと同じような場面を見た事があるような気がする・・・・・・。
異常に高騰する価格、そして大量の入札件数・・・・・・そうか、仕手戦だ!!


と言う事は、おそらくこの出所はあそこだな、
そして仕手筋が集うと思われる場所へと赴いてみると、思ったとおりそこに仕手戦を指揮する奴等がいた。



2ちゃんねる ニュー速VIP板 PASMO・Suica限定カード転売厨をVIPでこらしめるぞwwww

2ちゃんねる オークション板  【爆撃ワロス】PASMO・Suica限定カード転売厨



彼らが何をやっているかと言えば、転売厨(転売して利鞘を稼ごうとする人)に対する妨害かつ駆逐だ。

その手口はこうだ。
転売しようとして限定アイテム(今回は記念PASMO)をオークションに出品している人を見つけると
すぐさま買う気も無いのに入札し、値段を吊り上げる。
そして価格を高騰させて、本当に買いたい人に買う意欲をなくさせる。
もちろんそれをやると、妨害入札者が落札者となってしまうが
その後は連絡せず、若しくは連絡しても入金せずに転売厨を消耗させる。
転売厨が取引の意思がない事に気づいて落札者を削除しても、その間に時間だけは確実に経過していると言う寸法だ。

もちろんそんな事をすれば、妨害する落札者のアカウントに対し悪い評価がなされ、
又は悪質な行為だとしてアカウントを削除される事もあり得る。

だが彼らはそんな事など気にしない。
何故なら、昨年Yahooの制度が変わったため、いくつでも新規で
Yahooオークションに参加できるアカウントを取り放題になったからだ。
妨害してアカウントを潰されたら、またアカウントを取得する。
これを繰り返して、転売厨が根負けするまで戦うわけだ。

もちろん、転売厨側も手を拱いて見ているわけではない。
そういった行為を行う可能性の高い、評価が【新規】の入札者を削除するなどの自衛手段はとっている。
(何も知らない人は、純粋な入札だと思い込んで、価格の高騰に喜んでいるようだが)

しかし2ちゃんねるの中でもネタに対する行動力が飛びぬけている、
最強集団のVipperを敵に回してしまった時点で勝負はもう付いている。
彼らは今まで自ら評価を蓄えてきた、高評価のアカウントですら爆撃に供する。
(そういったアカウントはステレス爆撃機と呼ばれ、尊敬されている)
彼らは他にも、オークションの正常な実施を妨害する様々な兵器を格納している。
対策としては、彼らに目をつけられないようにする事くらいしかない。
(正確にはある程度の対処法はあるが、ここでは書かない。知りたい人は各自調べてくれ)


最もこのVipper達は、何でもかんでもオークションの妨害をしているわけではない。
一応彼らなりの道理に基づいて行動している。
(そもそもVipperと言っても完全に一枚岩ではないため、
 ある程度の正義や大義名分が無ければ、他の住人が乗ってこない)

彼らが市場に介入し、相場をかき回した最近の例としては
プレイステーション3やWii、ニンテンドーDS、日本シリーズのチケットなどがあるが
これらにはある共通点が見られる。

需要に対して供給が足りずに価格が高騰する事が分かり切っている事に付け込んで大量に購入し、
それを市場に提供し高値で売り抜ける。
そしてその投機的購入行為が、本来それを欲しい人の入手を妨げていると言う点だ。


以前なら、本来欲しい人が手に入らなくなるでしょ、と言う道徳的価値観を説く事で
少しは平衡が移動したと思われるが
今の「法に触れなければ何をやっても良い」という風潮の中では
これを是正する方向のベクトルは働かない。

だからVipper達の行為は、モラルに反した市場行為をする人への懲罰的な意味として作用しているとも言える。

しかし今回の限定PASMOの件については
転売厨もVipperも現れずにすむ方法を考えられなかったのだろうか?

例えば以前東京モノレールでは、限定Suicaを発売する際にはがきでの事前応募形式にしていた。
欲しい人は事前に東京モノレールにはがきを出し、抽選の結果当選した人が購入権を得られると言う方式だ。

極端な事を言えば、枚数を限定する必要があったのだろうか?
発売初日で売り切れて、転売する人が多く現れると言う事は
もっと欲しい人がいると言う事である。
日本シリーズのチケットのように物理的にある量以上の供給が困難な物ではないし、
Wiiのように生産ラインが追いつかないということも無いのだから
欲しい人がいるだけ記念カードを生産するというのもアリではないだろうか?
いっぱい売れればPASMOが普及して、また必ずチャージ分1500円は各交通機関で使われるのだから
交通事業者側は、11万枚と言わずにもっとたくさん売れた方が利益が出るはずだ。
仮に、転売厨が買い占めてオークションで流しても、交通事業者にはお金は入らないのだから。


私は正直、転売厨とVipperどちらの立場も理解できるが
(転売で儲けるのも、転売厨をネタで駆逐するのも私の真の姿だから)
ただ今回の件において転売厨が卑怯だと思う点は、リスクを全く背負っていない点だ。

2000円で購入したPASMO、もし最悪売れなかった場合は
チャージ分を使用して交通事業者に返せば、元本は保証されている。
それを一人で何枚も何枚も購入して、ネットオークションで捌くのは
いつ大損するかもしれない株や外為などの市場で戦っている者から言わせて貰えば、微温湯もたいがいにしろ、だ。


Vipper達の爆撃を、ただの迷惑な行為との認識で終わらせず
何故彼らがそこを爆撃してくるのか、もう一度考えてみるべきだ。

今後、記念PASMOの価格がどのように推移するか暫く注意して観察してみるとしよう。