2007/2/7 如月七日




みなさんは『森山大道』という名を聞いてわかるだろうか?
日本を代表する写真家の一人なのだが、どうも写真関係者以外には知名度が低い気がする。

彼の作風について言葉で説明しているサイトを見ると、
「今までの写真概念を根底から覆した」だとか、
「それまで写真界ではタブーとされたアレ、ブレ、ボケを用いた作風で新たな写真の世界を拓いた」
などと書かれているが、この説明では何も知らない人にはまったくその凄さをわかってもらえないだろう。
かといって、私がそれ以上に的確な説明をできるわけではないので、割愛させていただく。
百聞は一見に如かず、作品を見てもらえばその凄さがわかると思うので、
興味がある人は森山大道先生のホームページにでも行って是非作品をご覧あれ。


さて、この大道先生が今日は北海道教育大学岩見沢校で講義を行うらしい。
写真をやる人間として、何か得られる物があるだろうと思ったので、
ya5u5hi氏の車に乗り、岩見沢まで足を運ぶ事にした。


9時00分、真駒内駅に到着。常盤から来るya5u5hi氏と合流するため、ここでしばし待つ。
その間駅前で写真撮影するのはいつもの事。駅前は絶好の撮影スポットである。

雪の振る中、じょうてつバスを待つ人々。

少し外にいるのも寒いので、真駒内駅のキヨスクで買い物していると
池沼さんがわけのわからない事をキヨスクのおばちゃんに喋り捲っていた。
「はいはい、さっさと仕事行きなさい」と軽くあしらわれていたが。

9時30分、予定より大分遅れて真駒内駅を出発。
講義開始時刻は10時40分、今から直接米里に行ってギリギリくらいだが、
新札幌でまゆさんを乗せる手はずになっている。

上は羊が丘通の様子だが、この写真がガラス越しに撮影された物だと言う事を差し引いても
非常に視界が悪い事がお分かりいただけるだろう。
道程にいつも以上に時間がかかり、新札幌付近でまゆさんを乗せた時点で
時刻は既に10時15分を回っていた。

すぐさま江別西から高速道路を利用するも、凍結50キロ規制。
ya5u5hi氏は規制を無視して100キロ走行、左側を走る車を次々と追い越していくも
既に過ぎた時間を取り返すには至らず。
11時、なんとか北海道教育大学岩見沢校に到着。

午前中は大道先生の作品紹介が行われているようで、
スライド上映中で部屋が暗かったため、遅れてきたのが目立たずにすんだ。

何故かsorami氏がスライドを進行させており、
そのスライドに映された写真について、大道先生は時折解説を入れる。

スライド上映が終わった直後の様子。マイクを持っているのが大道先生。一番右端がsorami氏。

自己の写真について饒舌に語る大道先生(写真左側)。右は聞き手役の赤坂英人さん。
午前中は作品の紹介と解説が主になったが、午後は質疑応答形式で行われるようだ。

北海道教育大学岩見沢校の学食の様子。
しかし私も、こんなの撮って(&掲載して)どうするんだ、と言うようなものが多いな・・・・・・。


午後になり、学生が大道先生に自由に質問する時間が設けられる。
本来なら、この大学の学生向けの講義である以上、彼らが質問するべきなのだろうが、
あまりに質問者が少ないため、聞き手である赤坂氏やsorami氏などが質問をしていた。


赤坂氏の質問はとても高度であったため、その質問の意図する所や、それに対する大道先生の回答が
無学な私にはあまり理解できなかったのだが、
それでもその言葉の節々には、私が写真を撮っていて疑問に思っていた点についてのヒントが鏤められていた。


街の写真を撮っていて、撮るのを躊躇してしまう事はあるのか?
 → 躊躇してしまう事はあるが、だいたい撮っておけばよかったと後から後悔するから
   そこは何とかできるだけ撮るようにしたいと考えている。

札幌にもよく来ているようだが、どういったところを撮影するのか?
 → 東京なら新宿歌舞伎町を撮るのと一緒で、
   札幌ならやはり薄野のような“いかがわしい”街から撮り始めて徐々に足を広げていく。

今のご時世だと肖像権などで、撮影するのもいろいろ大変だと思うが?
 → そういっても俺らは撮らない事にはどうしようもないわけだから。
   後はどこまでOKという自分なりのルールを作って、撮らせてもらう。

写真をやっている学生に向けて最後に一言。
 → 写真学校の生徒さんにだったら、まず量を撮れと言うが
   そうでなくとも、欲望をもって取り組むのが大事。


他にもいろいろなことを仰っていたが、以上が私の印象に強く残った言葉である。

直接話を聞いて、改めて凄い人だと思った。
今回のこの経験は、私の人生に新たな価値観を与えてくれた。
私がこの先、写真とどのようにかかわっていくかは全く想像できないが、
どのような方向に行こうとも、今日のことはきっと役に立つだろう。


そのまま帰るのもなんだと言う事でya5u5hi氏と意見が一致し、
いろいろ撮影しながら寄り道して帰る事に。

岩見沢駅北の跨線橋上より三笠方面を望む。

跨線橋から降りていくya5u5hi氏とまゆさんの後姿を、岩見沢の街と共に。
そういえば大道先生は、街の風景として人を捉えるとき、後姿を撮影する方が好きだと仰っていた。
顔を写してしまうと、表情がいろいろ語りすぎて生々しくなってしまう、とも。


岩見沢からは国道234号線を南下、栗山の町を目指す。(もちろん私の提案だ)

そしてしばし栗山の町を歩く。

駅舎は公共施設と一体化された立派な造りであり、駅前には立派な建物が並ぶが

少し駅から離れると、寂れた店舗や路地が見受けられる。

ya5u5hi氏や、まゆさんは、先ほどの大道先生の講義に感化されたのかそれを意識した写真を撮影していた。


さて、そろそろ日も暮れてきた。そろそろ帰らねば。
この間通った由仁の町を抜け、道道3号、国道274号経由で札幌へと急ぐ。

しかしここで前が見えないほどの猛吹雪に襲われる。
前車のテールランプと、除雪用の矢羽だけが道標、
冬の北海道の道は、天候によっては恐ろしい魔物と化す。
調子に乗ってスピードを出せば、あっという間に冥界へと旅立てる。

こんな天候の中、ずっとハンドルを握っていたya5u5hi氏に感謝申し上げる。

ちなみに国道12号線は大渋滞で、栗山から厚別中央までの所要時間と
厚別中央から豊平までの所要時間が一緒だった。何だかな〜。