2007/10/9 神無月九日





阿武隈川。国道6号線から撮影。本日はこの阿武隈川としばし行程を共にすることになる。


苫小牧港発仙台港経由名古屋行フェリー“きたかみ”の中から今日の日は始まる。
何故こうなったのかは、昨日の日記から見て欲しい。


目が覚めて外を見ると、金華山が見える。
寝ている間に、宮城県沖までやってきたようだ。
金華山は石巻市に属するのだが、行こうとすると結構面倒だったりする。


朝食バイキング券を購入したので、朝飯は食堂で。
私の基準からすれば安い朝食ではないが、
ここで食べておかないと、目的地到着まで食事なしで行ってしまいそうなので。
・・・・・・しかし満席である。しばらく座席が空くのを待つか。


と言う事で座席が空くまで懲りずにチーフアテンダントさん撮影。
彼女の趣味はピアノらしいので、ピアノを弾いているところを。


やっぱり、この子は被写体として非常に面白いね。
そう思うの、私だけですか?


と、そこへ一人の子供がやってくる。
「あ!ミッフィーちゃんだ!!」
子供と遊ぶのはチーフアテンダントさんのお仕事なので、私は撮影を終え、子供の元へミッフィーちゃんを運んだ。


食事も終了し、少し経つと、仙台港へ入港するお時間。
短い船旅ももうすぐ終了だ。

いつもなら、多賀城か中野栄の駅まで歩くところだが、本日は車と一緒なので
車両甲板から直接車で移動する事になる。


出発を待つ車両達。一夜を共に過ごした車両達は、この後思い思いの方向へと旅立っていく事になる。
何か、変な表現だな。


さて、私が目指す方向は南、地名で言えば名取、岩沼、福島方面へと向かうことになる。
高速道路を経由するなら、仙台港北I.Cから仙台東部道路へと入り、
仙台若林JCTを経て東北自動車道に入ればいいのだが、
父親から一般道で来いとの指令を受けている。だからこの手は使えない。

仙台の街の中には入りたくない。となると、南の方へ抜ける道は限られてくる。
名取まで延々と海岸線を走る手もあったが、私は県道23号仙台塩釜線を選択。


仙台東部道路の下を延々と走る高規格な道路。
景観的には札幌新道に似ているが、走りやすさが段違いだ。
仙台の道路は前にも少しだけ体験した事があるが、結構高規格よね。


若林区卸町からは、国道4号線(仙台バイパス)に入る。
国道4号線は、東京から青森まで延びる日本一長い国道だ。
尚、こちらの国道4号線は新道であり、昔はもっと西のほう、
仙台市営地下鉄南北線とほぼ一緒の当たりに国道があった。
(そちらは現在では県道22号仙台泉線となっている)


仙台バイパスは片側4車線の区間もあり、車の流れは順調だがそれにしても車が多い。
そして案内標識も凄まじい。


若林区から太白区へ、そして名取市へ入る。
名取市へ入っても、ロードサイドに大型店が連なる景観に変化はなし。
おそらくカントリーサインが無ければ、市境を越えた事にすら気づかないだろう。
江別や北広島、石狩などの近隣の市に入ると、ガラッと風景が変わる札幌とは大きな違いだ。


名取市の中心部を過ぎると、仙台空港アクセス鉄道の高架を潜る。
ここを左に曲がると、直ぐに杜せきのした駅である。
仙台空港に向かう場合は、もう少しだけ国道4号線を南下すると便利。


館腰駅。今は仙台空港アクセス鉄道に役割を譲ったが、昔は仙台空港へのアクセス口だった。
今でもここから、仙台空港行のバスが出ている。
岩沼方面から来た場合はバスを利用した方が便利かな?
私はこの駅を高校時代に使って以来、利用していないな。


仙台のベッドタウン、名取市を出ると、次は岩沼市に入る。
ここまで来ると、少しだけ景観も変わってくるが、ロードサイドは相変わらずの賑わいだ。
岩沼市は、全国的にはそんなに有名な市では無いと思うのだが
東北本線と常磐線の分岐駅が岩沼駅であることや、
労働安全衛生法が関係の試験を行う安全衛生技術センターの東北センターがあること、
航空従事者関連の試験の東北での受験地が岩沼市である事などから、妙に良く聞く名前だ。
ちなみに名取高校は、名取市ではなく岩沼市内にあるのでご注意を。(何の注意だ)


東京方面へ向かう東北本線と常磐線が岩沼で分岐するように、
東京方面へ向かう国道4号線と国道6号線も岩沼市内で分岐する。
右へ行けば、白石、福島、郡山、白河、黒磯、宇都宮、小山、古河、春日部、越谷、千住、上野を経て
左に行けば、相馬、原ノ町、いわき、高萩、常陸那珂、水戸、石岡、土浦、柏、松戸、浅草を経て
それぞれ東京日本橋まで到着する。


ちょうどこの分岐点から、国道4号線経由で東京まで333kmである。


こちらは国道6号線から、先ほどの分岐点を眺めたところ。
東京まで334キロ弱と言ったところか。
つまりどちらを通っても、距離は殆ど変わらないというわけだ。
もし向かう先が東京ならば、どちらを通るか迷うだろうが、
私の目的地は栃木県、迷わず国道4号線を選択。


交通の要衝である岩沼市を抜けると、柴田町へと入る。
ここから先、福島方面へと向かうルートは2通りある。
東北本線沿い、白石を経由するルートと、阿武隈急行(旧国鉄丸森線)沿い、丸森を経由するルートだ。
国道4号線は白石を経由するルート、おそらくそちらの方が普通のルートである。
しかし、私は丸森経由を選択。何故ならそちらの方が面白そうだから。
主要幹線ばかり走っていても、地名以外ではあまりご当地感を味わえないので
少しここからはサブルートへと入ってみるのだ。


国道349号線は丸森線と並行しているが、阿武隈川とも並行している。
これからしばらく、阿武隈川を見ながら進む事になる。


しばらく進むと、道が片側交互通行になっている。
北海道ならば、必ず誘導員がいるはずだが、本州の片側交互通行の場合、こんな信号が置かれているだけ。
やはり、北海道の道路行政は金が余っているのかしら。


メインルートである国道4号線とは違い、こちらは片側1車線の道路である。
しかし、これなら普通に北海道にもある。これで驚いてはいけない。


トンネルを抜けると、そこは低規格の道路だった。
中央線もないこの道ですが、これは先ほどの国道349号線です。
国道クラスですらこういう道があちこちにあるから本州は怖い。
まあ、私は好きですけどね、こういう道も。


いよいよ宮城県と福島県の県境を越えます。
別に県境を越えたところで、劇的に風景が変わるわけではないですが
今までは殆ど宮城ナンバーだったのが、県境を越えると福島ナンバーばかりに変わります。
こんなルートで県境を越える車って、あまりいないのでしょうね。


福島県伊達市梁川町、ここには長い駅名で有名な“やながわ希望の森公園前駅”があります。
まだ時間もあるし少し寄っていってみましょうか。


やながわ希望の森公園前駅にて。何か地域のお年寄りの集まる場所になっているようですね。
尚、食堂もあります。麺類と餅を販売中。餅はお持ち帰りもできます。
私はずんだもちを注文。


槻木行列車がやってきました。
上下列車を利用して、一駅だけ乗車する事も考えましたが、まあ今日はいいや。


保原にて今まで走ってきた国道349号線ともさようなら。
国道399号線を西進し、国道4号線と再び合流します。
東京までの距離が大分減っていました。


福島市街を通ります。久々の都会ですな。
市役所や福島県庁などを右手に見ながら、通過。


福島の市街地を抜け、郡山方面を目指します。
この写真の案内標識にご注目。市内の地名には、市内○○と書かれていて
遠くの地名なのか、福島市内の地名なのか、誰でもわかるようになっています。
他の標識も見ましたが、やはり市内の地名には市内○○と書かれているのですよね。
遠くから来た人にもわかりやすい配慮で、いいと思います。
ちなみにここで初めて距離案内標識に関東の地名である宇都宮が登場。


福島の次の大きな街と言えば二本松、しかし国道を南下していて驚いた。
ここから先、突然道が高規格になる。


この写真はどこだと思います?高速道路じゃありません。国道4号線です。
ですから左に見えるのも、サービスエリアじゃなくて道の駅です。
北海道民である私は、本州の道は走りづらいものだと思っていましたがこんな道路もあるんですね。
交差する道路は全て立体交差で、信号は福島から二本松まで全くなし。

尚、本州の道路のいいところは、左車線と右車線できちんと棲み分けが成されている事。
私は二重ベルトコンベア状態と表現しますが、左車線を遅い車が、右車線を速い車が走ると言うのが徹底されており
あたかも速度の違うベルトコンベアが並行しているような感じなのです。
左車線の速度は時速70km程度、右車線の速度は時速90kmくらいだろうか。
北海道なら、空気を読まない車が必ず1台くらいは右車線を走ったり、
横の車と同じ速さで走ったりして、なかなか急げなかったりしますが、
こちらではこうやって一定の秩序が保たれている事に感銘を受けました。
きっと車の台数が多いからこそ、自然にそういう暗黙のルールが生まれたのだろうな。


二本松から先は、普通の規格の国道に戻る。私はさらに南下していく。
私の最終目的地は栃木県だが、父親が栃木福島県境付近の駅、新白河まで来てくれる事になっているので
私の運転担当は、新白河の駅までである。
二本松を過ぎ本宮市内、新白河まであと50kmと言ったところか。


と、ここで父より連絡が入る。

---只今新白河駅到着、そちらはどこだ?

今は郡山の少し手前あたりですけど・・・・・・あれ?何か予定より早くないですか?

---新幹線使ったからな。この後どうすればいい?

このままだとまだ後1時間くらいかかりますよ、須賀川あたりまで来ます?

---いや、新白河駅で飯食っているから早く来てくれ。

ちょうど高速の本宮I.Cが直ぐ傍にありますから、高速乗りますよ?

---ああ、そうしてくれ。頼む。


と言う事で、国道をのんびり走っていられたのもここまで。
本宮I.Cから東北自動車道に突入します。
本州の高速道路を走るのはこれが2回目だな。


郡山JCTに差し掛かる。
ここは東北自動車道福島方面、東北自動車道白河方面、
磐越自動車道いわき方面、磐越自動車道会津若松方面と、4方向からの道路が交錯する場所なのだが
鳥栖JCTのような、美しい構造にはなっていない。
まあ、I.Cを二つくっつけた様な構造になっているのだが、形を知りたい人は地図でも見て欲しい。

東北自動車道は、交通量も多くなく、走りやすい。
私は東北自動車道といえば、青森県や秋田県のあたりしか知らなかったので
カーブが多く、走りづらい道路だと思っていたが、ここら辺は快適に走れるようだ。
これなら“はくたか号”も可能だな。
しかし、この道路は私の知らない道路、どこに赤い閃光を放つ兵器が潜んでいるのかわからない。
東北自動車道には、こいつが何台も仕掛けてある。無防備にやるのはまずい。
と、そこへ一台の車が走ってきて、強烈な速さで抜き去っていく。
そうか、こいつについていけばいいんだな。よし。


須賀川、鏡石、矢吹を抜け、いよいよ白河市に突入。
白河の関という言葉があるが、東北と関東の境目であり、ここを抜ければいよいよ栃木県、関東だ。
尚、新白河の駅自体は西郷村にある。(新白河駅は昔は磐城西郷という名の駅だった)


白河I.Cから脱出。長かった(とは思わないが)旅もここでひと段落。
ここから新白河の駅まではもうすぐ。
高速道路利用で30分ほど時間を稼いだ。高速料金の割には・・・・・・だな。


新白河駅西口のロータリーに入ると、既に父が待っていた。
「おお、長い距離をご苦労。じゃあ運転代わるか」
「クラッチが意外とシビアなので最初のうちは繋ぐ時慎重にどうぞ」
そういって運転を代わった直後、エンスト。ありゃりゃ。


ともかくこれにて父と合流、さらに南を目指すのであった。


福島栃木県境。関東と東北の境目にあたる。
いよいよ距離表示標識に“東京”の表示が登場。
ここらが大体東京と仙台の中間点である。
もし東京を目指すならまだ先は長いということだ。


このまま真っ直ぐ父の家に向かうと少し早すぎるので、
少し寄り道して温泉に入っていく事になる。


ここ栃木県北部には、温泉地として全国的に有名な那須温泉郷がある。
那須火山帯の主峰であり栃木県で唯一の活火山である茶臼岳の山麓に広がる温泉地帯だ。

しかし今回は、那須温泉郷からは少し離れた、芦野温泉へと向かうことに。

芦野温泉Webページ

ここの温泉はpH9.8と、塩基性の泉質が特徴的である。


国道4号線から離れ、黒田原を経由して芦野温泉へ到着。駐車場に車を止める。

「ところで・・・・・・我々の札幌ナンバーは別格としても、
 足立、大宮、熊谷、水戸、土浦、福島・・・・・・なんか県外ナンバーばかりですね」
「確かにそう言われてみればそうだな。栃木県下の宇都宮、那須、とちぎナンバーが見当たらないな。」
「あっちにも駐車場がありますね、もしかして県内ナンバーはあちらの駐車場に止めるのかな?」

そう思って少し離れたところにある駐車場にいくと、宇都宮、那須、とちぎ、福島の各ナンバーばかりだった。
(ここは栃木福島県境に近いので、福島県も地元のようなものだ)

近くから来た人は、遠くの駐車場に止めるという暗黙のルールでもあるのか?
なんて仮説を立ててみたが、実はもっと単純な理由であった。


「入浴料1500円か、まあいいや。入るか」
「ちょっと待って、あと17分待てば630円になるみたいですよ。少し待ちましょう」


脇の看板にも、午後4時からならば630円で入れる事が書かれている。
Webページには書かれていないようだが。


もっとも、16時少し前に来ると受付の人より
「16時になったら安くなるからそれまで少し待っていてね」
と言われ、入場できないようだが。(1500円でいいから早く入れろと言ったら入れるのかは知らん)


16時ジャストに入浴券を購入し中に入る。
塩基性の湯は肌がツルツルになるが、薬草の湯に入っているとあちこちが痛くなってくる。
何か妙な感じだが、数年前に秋田県の玉川温泉(強酸性)に入ったときの、
体が焼けるような感覚に比べれば全然大したことは無い。

あまり一度に長く入らずに、何度か出たり入ったりすると良さそうである。



温泉を堪能して帰ろうとしたときには、駐車場は県内ナンバーの車でいっぱいになっていた。

そう、地元民は16時になると安くなる事を知っていたので、
わざわざ高い時間帯には来ないで、16時を回ってからどっと押し寄せたのだ。


と言う事で芦野温泉に行く方は、16時を過ぎるくらいに到着するようにするとお得ですよ、と。



大田原市を抜けつつ矢板方面へと向かう。
そこまで車が多いわけではないのだが、道道を快適にぶっ飛ばせる北海道と違って、
やはり距離の割には時間がかかるのであった。


そしてさくら市にて本日の行程は終了。
色々と移動していたわりには、支払った支出と言えば、
やながわ希望の森公園前駅で食べた昼食代くらいのものか。


これで父の住処に車が用意されたわけだが、このことによって思わぬ反射的利益が得られそうだ。
「わしが使っていない時なら、新潟とか山形くらいまでなら乗っていってもいいぞ」
と父が言うので、栃木県から半径200kmくらいの範囲まで車で出かけられる可能性が出てきた。

もっとも、栃木県になんかそうそう行けないので、あまり使う機会はないだろうけど。



父は、これでやっとゴルフに行けるぞと喜ぶ。
栃木県には温泉だけではなく、ゴルフ場もいっぱいあるのだ。
(羽田千歳間の飛行機から下を見ると、その様子が良くわかるはずだ)

以前みたいにゴルフのせいで足を折らない事を祈っております。