2006/9/10 長月十日



私は暇があると、2ちゃんねるの借金生活板を見ている。
別に借金に苦しんでいるわけではないが、
色々なスレの書き込みを眺めてみては、アドバイザーの一人として色々書き込んでいる。

私は過去に当事者だったわけではないので、
人間関係絡みについては何か言える立場ではないが、
経理関係や法律関係については、世間一般の人よりは知識を実装しているため
そちらの方面からは助言することができる。

私だって法律の専門家、たとえば弁護士や司法書士などから見れば
ゴミみたいな知識しかもっていないのだろうが、
法律の基礎知識ですら身につけていないような人も、世の中には大勢いるようで、
私程度の知識でも、助かる人間はいるみたいだ。

逆に私自身も、他の人の書き込みを見ることにより、日々勉強する毎日である。
そこには生々しい現実のやりとりがあり、法律のテキストを読むよりよっぽど勉強になる。
もちろん掲示板の向こうには、勉強とかそういう悠長な事を言っている余裕などなく
現実に困窮している人がいるわけで(ネタかもしれないけど)、
遊び半分で発言する事は道義的によろしくない。
(そう考えるからこそ、真剣にやるのかもしれない)

借金生活に持ち込まれる相談は大きく分けて次の4つだ。

・借金が多くて困っている
・家族や知人が借金を抱えている
・知人に貸したお金を返してもらいたい
・金貸してください

最後のは相談と言えるかどうかわからないが、
金を貸して欲しい人を審査した上で融資するスレッドと言うのもある。

 ちなみにそのスレでは、消費者金融に断られた人や、破産して借りられない人でも借りられるが
 用途はもちろん、収入や支出、家庭事情などについてかなり事細かに審査される。
 生活改善の努力が見られる人に対してはそれなりに融資成立するようだが
 改善策をいくら提案しても言い訳ばかりの黒(この板での債務者の隠語)には、恐ろしく厳しい。


この日記を見ている諸兄は、無計画に借金を積み重ねる事など無く
平穏な人生を送っていることかと思われるが、(資格マニアでサイマーと言うケースは見たことがない)
この3つの問題に対する対策をここで少しだけ記載してみよう。


1番目の借金が多くて困っているケースというのは、大きく分けると3通りだ。

・収入に見合った分相応な生活ができない奴
・ギャンブルにのめりこんでいる奴
・代払いや名義貸しなどで苦しんでいる奴(法律を知らない奴でもある)

収入に見合った生活ができない奴は、たいていどんぶり勘定か
生活のレベルを落としたくないかのどちらかだ。(両方と言うのもある)

お金の出入りをすべて事細かにつけてみれば判るが、数百円、数千円の支出が積もって大きなお金になっている。
さらには、クレジットカードの支払いを計算に入れていなかったり、
突発的な支出に備えるための貯金がなかったりと言ったケースも多い。
こういう人達には、まずきちんと帳簿をつけるように指導する。

生活のレベルを落としたくない人は、言い換えれば支出を減らす事を考えない人である。
携帯電話の利用料金が高い(目安としては月に8千円ラインか)、
車を売る事を考えない、趣味や嗜好品への出費(特に外食や煙草などが多い)を削減しようとしない、
こういう人はだいたい当てはまる。
スレ住人は、削るべき支出を的確に指摘してくれるが、
それを実行できればサイマーから脱出できるものの、なかなか実行できないようである。


ギャンブルで借金と言うのは今も昔も変わらないようで、
その殆どが朝鮮玉入れ(パチンコ)及び朝鮮絵合わせ(スロット)であるが
たまに消費者金融から借金して株の信用取引(通称 三階建て)をするという、信じられない馬鹿もいる。
ギャンブルが原因の借金は、ギャンブルさえ止められれば大丈夫なので、
当然ギャンブルを止めろという助言があるが、
たいていの人はそう簡単に足を洗えないようであり、なかなか深刻なのだ。


代払いや名義貸しというのは、他の人の借金を背負わされる事になる例であり
自分の借金になる、と言う事を知らずに安易に引き受けて後から苦しむと言うパターンだ。たとえば
「彼氏が50万借りてくれというので私が借りて、彼氏に渡しました。
 彼氏が一向に返済しないので、私に請求が来ます。どうすればいいでしょう?」
みたいな書き込みも現実にあり、ここまでくると無知も罪だなと思う事もある。
スレッド内では、そういうことをしない様に必死に啓蒙しているが、
たいてい相談しに来る人達は、既にやってしまった後なんだよね・・・・・・。


また、任意整理や過払い請求、自己破産などの債務整理の方法、
更には闇金についても詳しい人間がいるので、
弁護士に依頼する前のワンステップとして利用する人も多いみたいだ。



家族や知人が借金を抱えているケースでのアドバイスは、
基本的に「見捨てろ」の一言に尽きる。

とはいっても、やはりそう簡単には見捨てられないと言う人が多いので、アドバイザーも
「見捨てる事が長い目で見てそいつを助ける事になる」
「あんたまで沈んだら、本当に困った状態になった時に助けられない」
「多重債務者に金を渡すのは、アルコール中毒患者に酒を渡すのと一緒だ」
などなど、様々な説得用のメッセージを持っている。

多重債務問題というのは、他人がいくら改善させようとしても、
本人が改善する気にならないと解決しない。
だから本人が危機感を持つように見捨てるのが最善策なのだ。

逆に一番やってはいけないのは、代払いなどの金を渡す事である。
代払いすると、サラ金の与信枠が増強され、益々金を借りられるようになる。
債務者本人は、何の苦労も無く問題が解決してしまったため、
反省することなく、早ければ数ヵ月後にも再び借金する。
そして数年後、また同じ事の繰り返し、いや与信枠が増えているので前よりもひどい事態になり
結局みんなが共倒れしてしまうまで続く。実際に、億単位の金を食いつぶした事例もある。

また、金を与えないというのは直接的ではなく、間接的に与えるのも厳禁だ。
多重債務者は、家族の金を盗んだり、人のものを勝手に売ったり、
他人名義で勝手に借りたりするような犯罪行為まで行うことも多い。
そういうことを知っていればいいのだが、
たいていの人は、良識ある人間を相手にする事を想定して行動するので
なかなかそのギャップに対応できない場合も多い。
(信頼していた人が犯罪者だと言う事実を突きつけられても、信じられないし、何とか否定しようとするのと一緒)

また『共依存』という状態に陥り、多重債務者と一緒に沈むケースも良くある。
たとえば彼氏が働かずにパチスロばかりやっているケース。
スレの住人はさっさと別れろと言うが、その女性は
「借金さえなければいい彼氏なんです。絶対に別れない」
などと言い、スレの住人を呆れさせる。(もっとも、そういうのは慣れたがな)
まあ、詳しくは検索すればいろいろ出てくるのでそちらをどうぞ。

ちなみに、これに関した話題を扱うスレッドのテンプレには
多重債務者の特徴が掲載されている。

「ウソつき」「のらりくらり」「助けたらつけ上がる」「絶対に金は返さない」 
「口のうまい」「笑ってごまかす」「お金を貸すカモを見つける才能はすごい」 
「カモを見つけたら相手が貸すまで(再起不能になるまで)しつこくつきまとう、 
 時間を問わず電話攻撃、訪問攻撃も」「金の為に自分の子供を悪用する」 
「子供が可哀そうと言いながら食事も衣料も満足に与えず、不憫な思いをさせる」 
「オレを信用できないのかが口癖」「泣き落とし」「開き直って逆切れ」「死んでやる」 
「遺産相続になったら家、金は全てゲット」「趣味はパチンコ」「自営業者も多い」 
「育てた恩を忘れたのか、も口癖」「どんな手でも使う」 
「多重債務者が男なら、離婚せずにいる妻に要注意。よく見ると妻は被害者ではなく共犯者」 
「夫の借金の相談に来て出した結論が、今さら別れて働くくらいなら、今後も 
 借金夫と一緒にいた方が楽できるしマシと計算する専業主婦も」 

となっているが、とても秀逸な出来だと思う。



最後に、知人に貸した金を返して欲しい人のスレッド、ここは他と比べて少し特殊である。
他の殆どのスレッドが、債務者に対するアドバイスであるのに対し、こちらは債権者に対するアドバイスだ。

借用書がない、相手が引っ越してしまって住所がわからない、いくら催促しても返済がない、
などの債務者から、どうにか金を返してもらうための方法を伝授するわけだが、
公正証書や支払督促、内容証明郵便などの法律的な方法から、
闇金も真っ青な非合法スレスレのやり方までいろいろだ。

個人の債権者は貸金業法の適用を受けないので、とあるコテハンの言葉を借りれば
「合法的なストーカー」
ができる。具体的な方法はここでは省略するが、相手がノイローゼになる寸前まで追い詰めてしまう、
そうすれば殆どの人は諦める。(寸前で止めないと、傷害罪になる恐れがある)
生活全て投げ捨てて本気で逃げる奴には勝てないけどね。

ただいずれにしろ、これらの方法を使った時点で人間関係は間違いなく崩壊する。
金を貸した奴が返してもらおうとすると恨まれる、何かおかしな話だがそんなものさ。
ということで債務者諸君へ、生活投げ捨てて逃げる根性がないなら、
相手が本気出して回収しようとする前にきちんと返済する事をお勧めする。



まあ色々ここに書いてみたが、個々の事例はもっと色々な背景やしがらみがあり、一筋縄ではいかない。
法学部の人間として、少しでも法律をかじった私としては、
手遅れになる前に相談して欲しいと切に願うし、
それで助かる人がいるなら、多少の手間は厭わない。(勉強になるしね)