2006/8/4 葉月四日




北海学園大学も今日から夏休みだが、
今月4つの資格試験が控えている私は今日からが本当の勉強の始まりである。
今月末の社会保険労務士試験が終了した頃、初めて一息つくことができる。

世間一般では夏休み、何しているんだろう?
海に行ったり、山に行ったり、寝転がったり、仕事が忙しかったりするのだろうが
電気と放射線と労働及び社会保険について学習しているのは、さすがに私くらいではないだろうか?
(普通の人は、こんなおかしな試験の受け方しないでしょう)

とりあえず明日、まずは8月の緒戦としてエネルギー管理士が行われる。
今日はこれの勉強に集中すべく、先ほどテキストを買ってきた。
私は残り1科目だけだから、学習は前日からのスタートなのだ。

このエネルギー管理士という資格は、燃料や電気などの使用に関する合理化、
すなわち省エネルギーを推進するためのプロフェッショナルである。
私は実務経験がないので、合格即ち有資格者ということにはならないが
一応合格すれば、試験合格者の肩書きはつくので(今でも“エネルギー管理士(電気)”合格 ではある)
ちょっとこの場を借りて、省エネルギーと地球環境について語らせてもらおう。


今日の日本国内において、地球温暖化という言葉を知らない人はまずいないだろう。
平均気温が上がり、海水面も上昇し、異常気象が発生する。
ここ数年の異常な大雨なども、もしかしたらこのせいかもしれない。

そしてそれが温室効果ガスによって引き起こされていることも、一般常識だろう。

さらにさらに、京都議定書という言葉もご存知のことだろう。
地球温暖化に歯止めをかけるため、排出する温室効果ガスの量を削減しようと言う取り決めであり
わが国は、排出する温室効果ガスの量を、2008〜2012年の間に、
1990年と比較して6%削減するということを約束している。
尚、ここでいう温室効果ガスとは二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、
ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、六弗化硫黄の6種類を指す。

さて、これを受けてわが国でも地球温暖化対策推進大綱を決定し、
この目標達成に向かって、それぞれ努力しているはずなのだが
今現在、順調に削減できているかというと、実は1990年ベースよりも増えているのだ。

もっとも温室効果ガスの排出が多い産業部門、すなわち工業や事業場から排出される
温室効果ガスについては、技術開発や企業努力などの成果もあり順調に削減が進んでいるのだが、
運輸部門、すなわち自動車や鉄道、飛行機や船舶などから排出される温室効果ガスや、
民生部門、すなわち家庭での生活によって排出される温室効果ガスが
ここ十数年で爆発的に増加し、結果として全体でも増加してしまっているのだ。
これは国民が、質の良い便利な生活を求めた事に起因する。

運輸部門において特に顕著な伸びを見せているのが、自家用乗用車によるCO2の排出であり、
(ソースは国土交通省のページ)、
ライフスタイルの変化、自動車の大型化などが原因である。
鉄ヲタでもある私からすれば、モータリゼーションの進行は鉄道の衰退にも繋がるため、大変残念なことだ。

ちなみに民生部門においては、主に家庭における電化製品の増加が主要因である。


運輸部門、民生部門における省エネルギーは、産業部門のそれとは異なり
個々人の生活様式の違いによって大きく左右されるため、削減はなかなか難しい。
企業も、ハイブリッド車、発光ダイオードなどの技術開発によって、
機器が使用するエネルギー量を減らす努力はしているが、
一人一人が危機感を持って、省エネルギーに取り組むことが大切だ。
(ということはみんなわかっているはずなのだが、なかなか実行しないよね)

ちなみに技術による温室効果ガスの削減で、最も手っ取り早いものがある。原子力発電の推進だ。
ご存知のとおり、原子力発電はコストも安く、二酸化炭素排出量も小さく、エネルギーの発生密度も高いと言う
優れたエネルギーだ。しかし・・・・・・この先は言うまでもないだろう。
ちなみに私が勉強に使ったテキストでは
「原子力発電所の建設を予定通りに進めるため、原子力発電に対する国民の信頼を回復するのが大切である」
と書いてあった。これをどう捕らえるかは人それぞれだろう。

二酸化炭素の排出が少ない発電方法としては、水力発電、地熱発電、風力発電、太陽光発電、
波力発電、潮流発電、潮汐発電、海洋温度差発電などがある。
ただこれらは、これ以上建設できる場所がなかったり、出力が不安定であったり
高コストであったり、いまだ実験段階であったりと、いろいろ問題がある。

最後の海洋温度差発電は私もテキストで初めて知った。
海水の深さによって異なるわずかな温度差を利用した発電方法で、15℃の温度差があれば発電可能、
今はまだ実験段階だが、エネルギー問題の救世主になるかもしれないというすごい技術らしい。
(詳しく知りたい方は、自分で調べてください)

まあ、どんな新技術があろうが、エネルギーの消費量自体を減らさないと
穴の開いたバケツに水を注いでいるようなものなのだが、国民の皆さんは
快適な生活をしたい、だけど原子力発電は嫌だ、高コストも嫌だ、とみなさん我儘である。


実際、省エネルギーを行うことは、難しいことじゃなく誰でもできる。たとえば

・暖房の温度はできるだけ下げ、冷房の温度はできるだけ上げる
・使わない電気はこまめに消す
・みだりに自家用車を使わず、歩いたり公共交通機関を使う

これらは全て省エネになるというのは誰でもわかるだろうし、
こういうことに関しては、私などよりもむしろ小中学生の方が詳しいのではないだろうか?
大人になってしまうと、行動しないことの言い訳を覚えてしまうからな。

一方、以下のような技術的な省エネは、プロフェッショナルのなせる業である。

・線路での電力損失を小さくするため、高圧で送電するとともに、配線長をできるだけ短縮する
・無効電力を小さくするため、進相コンデンサを用いて、力率を改善する
・燃料の燃焼効率を最適化するため、空気比を調整する

主に工場や事業場などで行う対策だが、そういった大量の燃料や電力などを消費する施設では
ちりも積もれば山となる、チマチマした削減でも数万円、数十万円といった支出の減少にも繋がる。
そしてこれらは産業部門での排出CO2に直結する。
エネルギー管理士が管轄するのは主にこちらだ。


さて、ということで読者のみなさんには私の試験勉強に付き合ってもらったわけだが、
結局省エネを実現し、地球環境を守るのは一人一人の努力にかかっているので
みなさん限りある資源を大切にしましょうね、というベタな結論で今日の日記を締めくくらせていただく。

実はエネルギー管理士試験において、各個人の省エネルギーについては範囲外なのだがね・・・・・・。