2006/8/30 葉月三十日




どうして私は資格試験に挑戦する事になったのか、
どうして私はこれほどまでに多種多様な資格試験を取得するようになったのか?

最近になって、資格試験の不合格率、敵前逃亡率が上がっている事を踏まえて
この場で原点を検証してみることにする。

とりあえず高校1年次まで遡ってみると、その頃の私は保有ライセンス数ゼロ、
どこにでもいる普通の高校生だった。
(まあ、本当に普通かと問われると困るので、
 『統計学的に2σから3σの間に収まるくらいの』という表現にしておくか)
中には小学生や中学生のときから、漢検、英検、数検などの各種検定試験を受検していたり
国家資格の最年少記録を狙う人がいることを考えれば、遅いスタートと言えよう。

高校二年次の秋頃、K.K氏に誘われ、漢字検定準二級を共に受検、
試験会場ではレビン氏とも会い、3人とも無事合格した。
が、これが私を死格の道へと走らせたかといえばそうではなく、この試験はあくまでも単発だ。
その約半年後から始まり、今の今まで続く資格試験戦線の起爆剤となったわけではない。

上記試験から半年後、即ち高校3年次から私の死格狂いは始まった。
危険物取扱者、日本語文章能力検定、旅行地理検定、カラーコーディネーター、
火薬類取扱保安責任者、日商文書処理技能、一般旅行業務取扱主任者、
情報セキュリティアドミニストレータ、行政書士、高圧ガス製造保安責任者一種冷凍機械、
.comMaster★★、情報処理活用能力検定一級と、
およそ大学受験生とは思えないような試験日程を組んでいる。
この間、私にいったい何があったのか?


この日記を高校時代から読んでいらっしゃる方はご存知だろうが、
この間に私の運命を変えたのは、文系理系の類型選択である。

私自身も周囲も、私は理系を選択すると信じて疑わなかった。
しかし蓋を開けてみれば、3年次の私はなぜか文系クラスにいた。
結論から言うと、この歪みによって生まれたエネルギーが、
私のベクトルを資格試験へと捻じ曲げたということだ。

何故このようなサプライズが発生したのか。
表向きには、“コインの裏表に選択を委ねた”事にしてあるが、
いくら私でも、このような重要事項を理由も無しにネタに捧げたりはできない。

実は、ちょうどこの時期数学教諭I崎のクソ授業、物理教師S馬様の「ハイ、問題演習」などに
苦しめられていたところで、理系に対しベアになりつつあったと共に、当時から理科系分野以外にも
法律や経済などといった文科系分野にも興味があったこと、(文学部系の分野に興味なしは相変わらず)
さらには好きな女の子と一緒のクラスになりたいという願望(理系クラスは女の子が少ないからね)が
100%理系選択と考えていた私を、少し文系側へと傾かせた。
その結果、私は自己による判断権を放棄したわけである。

もっとも、やはり本心では、文系進学などという未来は考えていなかった。
実際、文系選択後も、理系志望者しか使わないはずの数学V、数学C、物理Uなどの教科書を買ったり、
それらの授業にもぐりこもうとしたりと、その行動は明らかに文系ルートを嫌がっていた。
極めつけの拒否行為は、期末テストの答案白紙提出、
このとき、おそらくいまだに不滅の記録、偏差値1.1を叩き出したのだが、もはや正気の沙汰ではなかった。

実はこのようなニヒリズムに走らなくても、新学期になる前に
「やっぱり文系止めます、理系に変更してください」と言えば、書類一枚のやりとりで簡単に乗り換えられた。
更に言えば、好きな女の子が文系志望だというのも私の得た情報の誤りであり、
実際は理系志望、つまり変更届なしには、その子と同じクラスになる可能性は100%無かったのである。


が、なぜか何もせぬまま時は過ぎ、新年度になる。
ここで初めて私は、事の重大さに気づいた。
「理科系の課程を取りつつ、後から気まぐれで経済や法律に変更する事はできる、でもその逆はまず不可能だ、
 仮に大学入試にしか影響を及ぼさないと考えても、化学は自力でどうにでもなるとして
 数学V、数学C、そして物理、こいつらを独力で習得できるのか?」
不可能が目の前に突きつけられて初めて、自分の本当の気持ちに気づく。
いや、内心と現実が乖離していたのはとっくに気づいていた。
が、この時期からの変更などまかり通るわけが無い。(実際、だいぶ揉めた)

目の前が真っ暗になった。全てに対してやる気を失った。
この間、人の自動車を破壊して、警察に連行されたりもした。
(ムシャクシャしてやった、などではなく、発生するかもしれない結果に対して無関心だった。
 つまり未必の故意が認められるかどうかが争点になるような事例で)

その一方で、一切合切の学習を放棄して、引き篭もりや世捨て人になる事も許せなかった。
何か、第三の選択肢はないか、それを考えてたどり着いたところが資格試験だった。
学校の勉強がどうでも良いなら、資格試験の勉強をすれば良いじゃないか、
資格試験なら文系理系など関係ない、ただ学習した内容が全て自分の物になる、そう考えた。

今でこそ、ただ闇雲に受けている感がある資格試験だが、
当時の私にとっては最後の拠り所であった。
もし、資格試験という道を見つけられなければ、
私にはパラレルワールドする残されていなかったかもしれない。


今現在、私は法学部に在籍し、本来なら理科系とはほぼ無縁の環境にいる。
しかし、資格試験取得のための学習を通じて、化学や電磁気、力学など
様々な分野の知識を得られる、これはとても喜ばしい事ではあるし、
あのときの私が望んだ、文理の壁無き学習を実現しているとも言える。
そういう意味では、資格試験への転進は、一応間違いではなかっただろう。

ただもし今、資格試験に傾倒しようとしている高校生がいれば、私はこうアドバイスするだろう。
「今は高校の勉強に集中なさい。そして希望する大学に進学できるよう頑張りなさい
 資格取得は大学に入ってから始めれば十分です。急がば回れ、
 高校で学習する基礎知識は、資格取得においても必ずや助けになります。
 そして部活動、遊び、恋愛、今しかできない事を存分に楽しみなさい」

もちろん之を最も伝えたい相手は、あのときの自分であることは言うまでもない。