2006/6/18 水無月十八日




仙台で行われる定期戦も最終日、今日の夕刻には仙台を離れて札幌に戻らなければならない。

今日のイベント開始は正午頃、朝はゆっくり寝ていてもいいし
昨日眠りについたのもそこまで早くないのだが、私は7時頃には早々に起きて朝食を食べていた。
“せっかく仙台に来ているんだ、朝早くから出発して、時間を有効に使わないともったいないでしょ”
こんな鉄ヲタ的指向で、まだ寝ぼけ眼の二人を尻目に8時過ぎにさっさとホテルを出発した。
最終日なので、ホテルに荷物を置いていくことができず、ちょっと嵩張る。
そのため仙台駅までバスを利用した。100円区間だし。


さて、12時少し前くらいに泉キャンパスに行けばいいので、2時間ほど自由に使える。
この2時間でどこに行こうか?
昨日でフリーきっぷの効力が切れてしまったので、あまり遠くには行きたくない。
市内観光、仙石線方面、仙山線方面、どっちに行ってもいいのだが
ちょっと物思うところがあって、利府駅へと行くことにする。

利府へ向かうのは東北本線だが、東京から青森まで延びる(今では一部が青い森鉄道になってしまったが)
本線の途中にあるのではなく、岩切から分岐する支線区間である。
東北本線の旅客支線は三つある。一つ目は日暮里から尾久を経て赤羽へと向かう上野口の中距離電車が走る路線、
二つ目は新幹線と並行しつつ赤羽から武蔵浦和を経て大宮へと至る所謂埼京線区間、
そして三つ目が、この岩切から利府へと伸びる、通称利府支線である。

朝の通勤時間が重なるからか、455系が運用についている。今日は休日だが。

仙台駅を北に出発する。すぐに仙山線がオーバークロスし、東仙台の駅に着く。
仙台駅の大きさから考えると、比べ物にならないような寂しさだ。
右手には東北新幹線の高架橋が連なり、水田が広がる。

続いて岩切の駅へ。ここで上り列車を待ち合わせるために数分の停車をする。
きちんと支線方面の乗客と、本線方面の乗客との連絡は取っているようだ。

岩切駅を出ると本線とお別れするが、新幹線の高架はこちらへとやってくる。
途中の新利府駅付近には、新幹線の総合車両基地があり、たくさんの新幹線が並んでいる様子も見られる。

終点、利府駅に到着。駅を降りて周囲を見渡すが何もない。
ここはフィギュアスケートトリノオリンピック金メダルの荒川静香選手の出身地らしく、横断幕があった。
仕方ないので、元きた列車で折り返す。先ほどの列車は、福島県の原ノ町まで行く列車になっていた。

再び新幹線を眺めつつ岩切へ。今度は下り列車の待ち合わせ。
仙台駅へ戻ったが、まだ時間に余裕があるのでこの列車にそのまま乗り続ける。
仙台の街を通り過ぎ、一路南下。
仙台から館腰までの東北本線は、かつて高校時代に乗車している筈なのだが、すでに記憶から抜け落ちている。
あの日は日本中を飛び回ったことの方が印象強いからな・・・・・・。


長町駅から地下鉄に乗り換える。
まだ時間に余裕があるので、地下鉄の南の終点、富沢駅を目指す。

富沢駅は高架駅、開放的な印象を受ける。
駅を降りて周囲を見渡すが、ここも駅前は閑散としている。

さらに少し歩くと、駅前に1台のマイクロバスが止まっている。
これは仙台市電博物館への無料送迎バスなのだ。


仙台の街には、かつては市電が走っていた。
しかし残念ながらモータリゼーションの波に勝てず、全線が廃止されてしまった。
ここ、仙台市電博物館では、往年の車両などを保存している。
本当はここya5u5hi氏が来たがっていた施設なのだが、なぜか私が来てしまった。
ya5u5hi氏も、早く起きてここまでこれば良かったのに。

古の路線図を見ると、地下鉄が走っていた今より移動が便利なんじゃないかと思ってしまう。
一昨日、昨日と、ざっと仙台の街を歩いてみた感じでは
道路が広く、車での移動はスムーズにできそうに感じた。
しかし、地下鉄は縦に1路線、横の移動はバスとJR、
あまり旅行者には優しくないようである。
10年後くらいには、地下鉄東西線が開業すると言う話だが、どうなることやら。

あまり時間もないので、ざっと見て回った後富沢駅に戻り、
地下鉄で仙台を縦断し、泉中央へ。
仕事前に自由時間を過ごすというのも妙なものだった。
バスで素早く泉キャンパスへ移動し、ここからは仕事モード。

11時少し過ぎ、泉キャンパスに到着。
12時から始まるという情報だった野球の開会式が、すでに始まっていた。
すでに他の2人は、到着済だ。

望遠レンズは全てya5u5hi氏とnoct-氏が使っているので
試合展開は2人に任せて、私は観客席側ばかり撮影することにする。

さて、本来私はラクロスの撮影担当なので野球ばかり撮影しているわけにもいかない。
頃合を見て、ラクロスの撮影会場へと移動する。

ラクロスというスポーツはあまりメジャーではないので、聞き覚えのない人も多いだろう。
しかし北海学園大学内はメジャーなのか、学内でラクロス部の人達を良く見かける。
ルールはサッカーに似ていて、サッカーではドリブルをする所を
ラクロスでは棒の先端に網がついたクロスという道具でボールを運ぶ。
使うボールは握りこぶしサイズの硬質ゴム製で、当たると結構痛い。(私が体験済)
ここでは詳しい解説はしないので、もっと知りたい人は各自調べてくれ。


しかし広いコート、すばやい動き、これを広角レンズで撮影しろというのは無理だぞ。
仕方ないのでD70をあきらめ、手持ちのS2ISに持ち帰る。
やはりコンデジとはいえ、35mm換算で420mmの望遠は強い。

そして北海学園のラクロスは強い。
今までの各競技の試合では、圧倒的な差を見せ付けられて負けていた北海学園だが、
ラクロスでは東北学院大学を寄せ付けない圧倒的な強さだ。

女子のラクロスが終了した後、私も野球場へと向かう。
私が望遠レンズがないのと同様、向こうには広角レンズがなかったようで
観客席の撮影が手薄になっていたらしいので、私がそこを補う。

しかし応援席も大変だ。攻撃中はずっと演奏や応援を続けなければならない。
おそらく、試合に出場している選手の数倍の運動量だろう。


女子ラクロスが終了後しばらくすると、今度は男子ラクロスだ。
軽やかな動きの女子ラクロスに比べ、プロテクターを着けた男子ラクロスはとてもアグレッシブである。
が、こちらも北海学園大学が東北学院大学を圧倒。
フィールド内を所狭しと動き回っている。


吹奏楽団、応援団とチアリーダー

今まで撮影してきた数々の競技に比べて、野球の試合は長い。
noct-氏は、撮るものはだいたい撮ってしまって
相手チームの応援団長(女性)ばかり撮っている。どうやら“団長萌え〜”らしい。


これがその団長。(noct-氏撮影)ya5u5hi氏も“萌え〜”らしい。全くうちの男共は・・・・・・。(あれ?)

まあ私も、吹奏楽団、応援団、チアリーディング、そしてブルペンの選手あたりしか撮っていないし、
チアリーダーより前から、しゃがみ込んで撮影している様子は
傍から見れば、チアリーダーをローアングル撮影しているカメコと変わらないかもしれない。

応援団は水をかぶったり、氷をかぶったりと不思議なパフォーマンスをしている。

さて野球の展開は非常に接戦、6回が終わってから5対4、1点差で北海学園がリードする展開。
ここ数年の試合では、東北学院大学が毎年のように勝利しており、
このまま行けば、5年ぶりくらいに北海学園が勝つのが見られるかもしれない。

9回裏の守備、1アウト1塁、ダブルプレーがあるかもしれなくなった瞬間から、
私はグラウンドに降りて、いつでも撮影できるよう準備する。
胴上げなどが行われるかもしれない、それを逃すわけにはいかんのだ。

次の瞬間打球は内野へ、予想どおりのダブルプレーでゲームセット。
来るべき瞬間を逃すまいとグラウンドに駆け込む私、しかし思ったより盛り上がらない。
5年ぶりの勝利なんだから、胴上げくらいするかと思ったのに。ちょっと期待はずれ。

(これがもし学内向けのコンテンツなら、もっとそれぞれの勇姿を撮影した写真を公開するのだが、
 あくまでここは私個人のWebサイトなので、各競技一枚づつに留めて置く)



野球の試合が終わった後は閉会式。これも開会式同様に礼拝堂で行われる。
いろいろな人の挨拶、校旗の掲揚、エールの交換、賛美歌の斉唱などを行い
結局全日程が終了したのは16時30分。

フェリー出発時刻は20時。
他の方々はみんな、港まで直接バス移動だから、日程が多少遅れようがどうでもいいのだろうが
こちらはya5u5hi、noct-両氏共に、あおば通駅のコインロッカーに荷物を預けてある。
つまりこれから、泉中央を経てあおば通駅、そこから仙石線でフェリーターミナルを目指さないとならない。

私は全て荷物は手元にあるので、貸切バスに乗っても良かったのだが、
貸切バスより列車で移動するほうが好きだし、仙台駅でお土産を買う時間が欲しかったので
2人と一緒に移動することにした。


16時56分 泉中央駅行のバスがやってくる。
このバス、泉中央駅〜東北学院大学泉キャンパス〜松森団地〜泉中央駅と運行する循環系統のようで
ちょうどやってきたのは一旦松森団地を経由する遠回りのルート。
でも、泉キャンパス先回りと後回りが交互にくるダイヤなので、
一応こっちの方が先に泉中央に着く。しかし遠回りなので料金が高い。
バス事業者の都合上運行ルートが違うだけで、こっちにとっては所要時間が余計にかかっているのに
高い料金を取られるのは納得いかん。
今年3月末まであった北海道中央バスの生振線なんかは、末端部が循環系統だが
一番遠い『生振観音』のバス停から遠ざかるにつれて安くなると言う親切設計だったのに。

17時25分頃、泉中央駅に到着。素早く地下鉄に乗り換え、仙台駅を目指す。
仙台駅では手短にお土産を購入。私は萩の月とずんだ饅頭を購入、
ya5u5hi氏は笹蒲鉾、noct-氏は「あいつら(他の写真部員)に土産を買う義理はない」と言い切ったので特になし。
彼らは土産を買い終わるや否や、すぐにあおば通駅方面へと駆けていった。

私は格別あおば通駅に向かう用事もないので、少し仙台駅をうろつくことにした。
前回訪問から1年と3ヶ月、またしばらくこの地に来ることはないだろうし。

仙台駅ホームをうろついていると、上野行のスーパーひたち号が入線してきた。
上野までスーパーひたちに乗っても4時間少々、22時頃には東京につける。新幹線ならもっと早い。
そう思うと、東北と東京は近いんだな、北海道って遠いなと改めて思った。

今はまだ八戸までしか新幹線が伸びていないが、将来的には札幌まで新幹線が延伸し
2時間半くらいで行けるようになっているのだろうか?
私が誰かに昔の思い出として、新幹線がなかった時代(今現在)の事を語る時代がくるのだろうか?
実現してもおそらく20年近く後のこと、そのとき私がどうなっているかなんて誰にもわからない。


仙台から乗った列車は、よりによって石巻行だったため、車内は混雑している。
彼らはあおば通駅で、ギリギリ駆け込んだということらしいが、
7分後の東塩釜行の方が、空いてて良かったと思うのだがな。
前の方の車両に乗ってしまったため、隣の榴ヶ岡駅でホームを走った。

始発から乗ったya5u5hi氏とnoct-氏は着席済だが、私はおそらく立ちっぱなしだ。


多賀城駅に到着しだい、駅前からタクシーで飛ばして、速やかにフェリーに駆け込んだら
いつの間にか貸切バスで先に着いていたはずの他のサークルの面々を追い抜いてしまったようだ。

出港が近づくと、何人かがデッキへと向かった。
ちょうど港湾には、東北学院大学の応援団も訪れている。みな、名残惜しそうだ。
デッキの学生たちが船の上から紙テープを投げる。
フェリーと港の間で、何本もの紙テープのアーチがかかった。
応援団がお互いの校歌を合唱し、どこからともなくやってきた酔っ払いのおっさんがそれを囃し立てる。
その様子を撮影しようとカメラを持って走り回っている私は、船上で綺麗に滑って転ぶ。
余りにも美しくズザーしたため、まったく怪我も痛みもなし。


20:00、いよいよ船が出港する。港の明かりがどんどん遠くなっていく。さようなら仙台。
何か、この3日間あっという間だったな。

もう撮影するものも無いし、今日は朝早くから動き回ってさすがに疲れたので、さっさと寝ることにする。
ya5u5hi氏は例のごとく船酔いでグロッキー、noct-氏は夜の港湾を撮りまくり、
あっという間に数本のフィルムを消化してしまった。