2006/6/16 水無月十六日





朝起きると、フェリーは気仙沼を少し過ぎたあたりを航行していた。
昨日から続いていた悪天候も持ち直してきたようで、撮影にも支障はなさそうだ。


予定より少し遅れて仙台港に入港、選手達は皆それぞれの衣装を身につけて準備している。
(ちなみに写真は吹奏楽団である)
ちなみに我々アルバム委員は、衣装などないのでそのままである。
考えようによっては、最初から着てきたカメラマンルックが衣装と言えなくも無いか。


定期戦の日程で最初に行われるのは対面式、そしてパレードであり
これがある意味一番のメインイベントである。
アイスホッケーと同じ時間帯に行われるため、私は見ることができないが。

が、ここに来てパレード中止の宣告が出る。雨はもう殆ど止んでいるのに。
貸切バスは市役所を経由せず、まっすぐホテルに向かうらしい。

そうなっては私が撮影を担当するアイスホッケーに間に合わないので、
1人バスを降り、近くの仙石線の駅へと向かうことにした。

港から駅へ歩く、去年の秋田のとき以来か。
団体で来ている筈なのに、やっていることはいつもの個人旅行と変わらないのはどういうことだ。

多くの車が通る幹線道路脇には店舗も多く並んでいるが、
少しそこを離れると水田が広がり、そしてそれを貫く高速道路も伸びている。本州らしい風景ではある。
バスに乗って移動するより、その土地を自分の足で歩く。私はその方が好きだ。


数十分後、仙石線の中野栄駅に到着。ここで仙台まるごとパスを購入する。
仙台まるごとパスは、岩沼、松島、松島海岸、山寺、利府までの仙台近郊のJR線、
仙台市地下鉄全線、そして一部のバスに2日間乗り放題という、仙台市街を移動するには便利なきっぷである。
さらには周辺の観光施設の優待券までセットになっている。(今回は多分使わないが)
価格は2500円だが、多分あっという間に元が取れるだろう。

中野栄駅は午前中にもかかわらず、多くの高校生が犇めき合っている。
鉄ヲタが珍しいのか、携帯電話で私の写真を撮る輩がいるのはいつものことだ。
(まあ、お互い様なので勝手に撮ってろという感じなのだが)

しばらくすると石巻行電車が入線してくる。行きたい方向とは逆だ。

が、下り方面次駅の多賀城駅は快速停車駅、もしかしたらこの列車に乗って折り返したら
上り快速に乗れるかもしれない。手元にあるのはフリーきっぷだから不正にもならない。

そうは思っていたものの、下りには乗らず中野栄駅にとどまっていたら、
数分後、思ったとおり上り快速列車が駆けていった。
やっぱり、折り返し作戦を取った方が早く仙台に着けたようだ。

昼間にも関わらず、高校生のせいで意外と乗客は多い。地下区間に入るとさらに混雑度が増す。
さっきから男子高生数人が、私のことを指差してずっとヒソヒソしている。まあ、いつもの事だ。
終点、あおば通から地下鉄仙台へと速やかに乗り継ぎ、北四番丁を目指す。


アイスホッケーの試合は、かつやまスケーティングクラブで行われる。
東北大学の農学部キャンパスのすぐ近くだ。
地下鉄駅からたいした距離は無かったが、見知らぬ街を歩くのはやはり楽しいものだ。

私はアイスホッケーの試合は、見るのも撮るのも初めてだ。
一応出発前に、基本的なルールを確認してきたが、きちんと撮れるのか非常に不安だ。
とりあえずカメラ機材一式を近くのベンチに置いて、試合が始まるまで一息ついていると
「あ、ここのベンチは反則をした人が2分間座る場所ですので、荷物を置かないでください」
付け焼刃の学習では、きちんとルールを覚え切れていなかった。

今回は20分×3セットで行われるらしい。
選手が入場し、練習が行われた後、試合が始まる。さーて、どのくらいの実力なのかな?


第一セットを終了後、0−3で東北学院大学のリード。
攻守があっという間に入れ替わるので、撮影する側も大変だ。
でも一番厄介だったのは、ホワイトバランス。
スケートリンクは真っ白な氷なので、微妙な具合でホワイトバランスが変動してしまう。
全体的に赤味がかってしまった写真がかなり多い。
RAWで撮れば、ホワイトバランスの問題は解決するが、
後から現像しないとならないし、ただでさえ少ないメディアの容量を食うし、適当ではない。

小さなパックをキープしつつ、氷上をすごい速さで滑っていく。
見ている分には面白いが、接触や転倒などもあり、とても危険そうなスポーツである。
実際に、負傷退場する選手もいた。大丈夫かいな・・・・・・。

第二セット 2点を返し、もしかしたら結構互角に戦えるのかと思って撮っていたら
あっという間に5失点、第三セットでも6点を失い、結果2−14で試合終了。
残念ながら実力の差がありすぎるな。

涼しかったスケート場から出て、再び地下鉄の駅へ。
急激に暖められたレンズは全て結露。こりゃしばらく使い物にならない。


アイスホッケーが終わり次第、東北学院大学の土樋キャンパスへと急ぐ。
現場にはya5u5hi氏とnoct-氏がいるので、別に行く意味も特にないのだが、
開会式の終わりの方に滑り込んだ。


開会式は礼拝堂で行っているようだ。


今日の日程は全て終了、ya5u5hi氏noct-氏と合流し、いったん荷物を置くためホテルへと向かう。
今回宿泊する仙台ワシントンホテルは中途半端に駅から距離があり、ちょっと不便だ。
団体で申し込んでいるのに一泊朝食つき6400円、高いな。普段の私の旅行なら、2泊できかねない料金だぞ。
まあ、学生部からの援助金で泊まっている以上、文句を言える立場ではないが。
(普段の私は、宿泊施設を施設の豪華さや食事より、まず安さ、そして次に交通の便で選んでいる)

ホテルに荷物を置いた後は、ya5u5hi氏と共にヨドバシカメラ目指して歩く。
杜の都仙台といわれるだけあり、今歩いている青葉通にも、
札幌の貧弱な街路樹とは比べ物にならないくらいの大樹が根を下ろしている。

金曜日の夕刻、駅付近の道路や商店街、ペデストリアンデッキの人で賑わっている。

ヨドバシカメラではSDメモリカードをCFカードに変換するアダプターを購入する。
これで私が持っている2.8GBのSDメモリが、全てD70の弾として利用できる。
明日以降は、枚数を気にすることなく撮影に望めそうだ。でもこれ、経費で落ちるのかな?


仙台駅到着。さて、ya5u5ushi氏は入場券を買って新幹線を見に行くようなのでここからは別行動をとる。

私はこの後温泉へと足を運ぶ予定だ。
最近の私の旅行プランには、温泉に入る予定を組み込むようにしている。
宮城県の温泉といえば、秋保温泉、鳴子温泉、作並温泉あたりが有名だが、どこへ行こうか?

鳴子温泉はちょっと遠く、今からだと古川まで新幹線でとばしても今日中に帰って来れないので没。
となると、秋保温泉か作並温泉だが、どうやら駅からのアクセスは作並温泉の方が良さそうだし、
事前情報で22時まで日帰入浴に対応している旅館を見つけたので、そっちの方が確実だ。


仙山線ホームは、帰宅する会社員などでごった返している。

仙山線は文字通り、仙台と山形を結ぶ路線である。
途中の愛子駅までは列車の本数もある程度確保されているのだが、
県境を越え、山形まで直通する列車は、1時間に1本程度である。
作並駅は愛子駅より先にあるので、愛子行では困るのだが、
ちょうど数少ない山形行快速列車がホームで待っていてくれた。

仙山線の沿線は、住宅街が続くのだが、ところどころ森もあり、トンネルもありでなかなか面白そうな路線である。
が、外はそろそろ暗くなっており、車内の混雑もあいまって、あまり車窓を楽しめないのは残念だ。


仙台駅を出てから約30分、作並駅到着。昔はこの駅には交直流の地上切替設備があった。
40年くらい前までは、この駅から東が交流電化、西が直流電化されていたためだ。
今では仙山線全線交流電化になってしまったので、交直流切替設備は必要なくなった。

交直流地上切替設備というのは、地上側で架線電源の直流と交流を切り替える設備であり
今現在日本国内では唯一つ、黒磯駅にのみ現存する。

地上切替設備は、同じ駅に直流専用電車と交流専用電車が入線できるというメリットはあるのだが
電車列車を主体とする日本においては、デッドセクション(死電区間)を作って、
列車側で交直流の切り替えをする車上切替方式に比べて不便であり、普及しなかった。

尚、この仙山線は、日本において初めて交流電化された路線である。

今ではVVVFインバータをはじめとした、直流電力を生かす技術が進歩し、
在来線鉄道の電化方式における交流の優位性はさしてなくなってしまったが、
大電力を必要とする新幹線においては、交流電化は欠かせない技術となっている。


まあ、鉄ヲタ的講釈は別のサイトに任せるとして、ここから作並温泉までは約3km、
路線バスでも探そうかと思ったら、ちょうど私が行こうとしていた温泉旅館の無料送迎バスが駅前に来ていた。


今回入浴したのは、『作並温泉一の坊』
http://www.ichinobo.com/sakunami/index.html
外観も中も立派な作りで、中にサクランボの鉢植えがあるのが印象的だった。
22時まで日帰入浴を実施しているというのは、こちらにとってはありがたい。

帰りのバスの時刻をチェックすると、無料送迎バスは19時50分の後は22時10分、
路線バスは20時のものが最終、22時10分では遅すぎるから、30分で入浴か。ちょっと忙しないな。

とりあえず急いで大浴場へ。やはりホテルの小さな風呂と違ってのんびりできる。
他の遠征してきた学生達が何をやっているかは知らないけれど、
温泉を旅程に組み込んでいるのは私くらいのものだろう。満足満足。

さて露天風呂に行く時間があるか?でもせっかくここまで来たのに、高い入浴料を払ったのに
全てを味わわずに撤退するなんていう選択肢は無い。

で、露天風呂を見に行くと、どうやら2つあるみたい。

鹿のぞきの湯    〜20:00 男性専用  20:00〜女性専用
広瀬川源流露天風呂 〜20:00 女性専用  20:00〜男性専用

つまり20時を跨げば両方入れる、と。でも20時にバスは行ってしまう、と。
さあどうしよう。私の場合は答えは一つ、
バスの時間が何ぼのもんじゃい!駅までたった3kmだろ?歩けばいいんだよ歩けば。(少し雨降っているけど)

ということで二つの露天風呂を満喫、やはり自然の中の温泉はいいね。

さて、ゆっくり温泉を満喫した代償として、駅まで歩かなければならなくなった。
さすがに22時10分は待てない。21時くらいにも無料送迎バスを設定してくれればありがたいのになぁ。
とりあえず作並駅までどれくらいかかるか、旅館の人に聞いてみよう
「ここから作並駅まで歩いたら、40分くらいで行けますかね?」
「ええ、駅までは40分程度で着きます、でも駅に着いても列車がありません」

へ?どういうこと?
「次の仙台方面行の電車が20時53分、これは今からだと間に合いません、その次が22時27分の最終列車ですね」

つまり今から歩いても、どっちにしろ22時27分まで列車がない!22時10分のバスに乗っても一緒ということか!
バスの間隔があいているのは、旅館の都合じゃなくて、JR東日本のせいか。
まさかそんな事はないと思ったから、うっかりダイヤを調べるの忘れていた。
でもこれでは仕方ないな。じゃあ時間もたっぷりできたし、もう一回温泉に入ってこようっと。


作並駅で最終列車を待つ。これ即ち山形方面からやってくる最終列車でもある。
広いホームにいるのは、私とおばあさんの2人だけ。
ちなみに宿泊先のホテルも、この作並駅も仙台市青葉区にある。
別にたいしたことではないのだが、何か不思議な感じがする。


上り列車だからか、最終でもあまり人はいなかった。クロスシートなのでゆっくり休める。

ホテルに着いたのは23時30分過ぎ。
が、こんな時間にもかかわらず、隣室にいるはずのチアの集団がうるさい。
彼女らは修学旅行気分でいるのかもしれないが、0時過ぎまで騒ぎ続けるのは勘弁願いたい。