2006/6/14 水無月十四日




「何で祭りに1人で行かないとならないんですか!!」
北海道神宮祭(さっぽろ祭り)に、今まで一度も行ったことがないという女の子に
空き時間があるならば、今からでも行ってみてはどうかと勧めた時に言われたセリフである。

「珍しいよな、1人で祭りに行く奴って」
「行くのならやっぱり異性と行かないとねぇ」
「何かそんなに楽しいことでもあるの?」

そのときその場にいた、写真部の他の人たちも、だいたい似たような反応だ。

毎回思うことだが、1人で祭りに行くのって、そんなにおかしいのかな?




昨日から北海道神宮祭(さっぽろ祭り)が始まり、今日は天気もよく絶好の祭り日和だ。
イベント大好きな私も、もちろん突撃する予定を組んである。
最初から誰かと行く予定など毛頭ない。単独行動だ。
(この日記を見ている人なら解ると思うが、私の場合それがデフォルトだ)

でも世間一般の人は、先ほどの話から推測する限りではそうではないようだ。
誰か一緒に行く人がいれば行くし、適当な人がいなければ行かない。
なぜこのような考え方の差異が生まれるのだろう?

ということはいいとして、とりあえず中島公園へ移動。

相変わらず人がいっぱいいて賑わっています。(この写真だと賑わっているというより混み合っているだな)



さて、何か面白い楽しみ方はないだろうか?
よし『祭りに1人で来ている人探し』でもしよう。
祭りに1人で来るような人が本当に少ないのか調べてみるわけだ。


さてルールを自分で勝手に作る。

・日が沈むまでの間(今から約2時間の間)に、私以外に1人でお祭りに来ている人を探す
・1人で行動していると思わしき人を見つけたら、5分間追跡する。
 その間にターゲットが連れらしき人と会わなければ1点
・日没までに何点取れるかを競う
・公園を散歩していたり、通勤の途中に通っただけの人は対象外



さて、早速競技開始。
が、周りを見渡しても友達同士や恋人同士、家族連ればかり。
見事なまでに皆、誰かと一緒に来ている人ばかり。
先ほどの「何で祭りに1人で行かないとならないんですか!!」という発言の方が
世間一般の常識に適っているということだろうか?
いや、それでも少数派だとしても、私以外にもいるはずだ、探せ。

20分経過

よし、祭り会場の中心にベンチに1人で座っているおっさん発見。多分こいつは当たりだ。
とりあえずもう競技にするのは無理だから諦めた。1人でも見つけれれば満足だ。

2分経過

ベンチに座っていたおっさんの隣に、妻らしき人がやってきた。ああ、そうですか・・・・・・。
気を取り直して次だ。

15分経過

このカメラを持った爺さん、多分私と同業者じゃないかな?と言うことは多分1人だと思うけど・・・・・・。
・・・・・・ああ、近くに仲間がいるのね。そうか、そうか、はいはい。


さっきからお祭り会場を意味不明に縦横無尽に歩き回って疲れたので、もうギブアップ。
今度やるときは、もう少しルールを変えて挑戦しよう。(しなくていいよ)



そういえば、先ほどから周りは常に賑やかだが、一言も喋っていないことに気づく。
露店のおっちゃんやおばちゃんからすらも、威勢のいい掛け声が、私に届くことはない。
いっぱい人がいるように見えても、それは全て私と関係のない人たち、
同じ空間にいても交わることのない虚像のような存在ということか。

比較対象として、普段は誰もいないようなローカル線の無人駅を揚げてみる。
人の賑わいとは全くと言って良いほど無縁な無人駅も多いが、
こういう駅に私と誰かが同時に降りたとき、そこで何も話さないなんていうことはまずありえない。

そう思うと、祭りの賑やかさとはいったいなんだろうと考えてしまう。



もしここで祭りというハードは友人、恋人、家族などの大切な人と絆を深めるためのアイテムにしか過ぎない、
という仮定を出してしまうのなら、1人で祭りを楽しむのは不可能という結論になってしまう。

よく考えると、私自身にも思い当たるところがある。
祭りの主役(上の仮説を前提にするなら脇役だが)であるたくさんの露店だが、
たこやきにしろ、くじ引きにしろ、カタヌキにしろ、お化け屋敷にしろ、私は利用していない。
誰かと一緒なら、雰囲気を楽しむための代金だと割り切れるが、自分のときに買う気にはなれない。
そういう思考パターンが生まれている時点で、1人で祭りに来る意味を否定しているわけだ。


さて、根本的な問題だが私は1人で祭りに行きたいのか?
行きたくなければ、そもそもこの場に来ていないのは確かだから行きたいのだろう。
誰かを誘って誰も来なかったから、仕方なく1人で来たわけでもなく最初から1人で来る予定だったわけだし。
待て、誰か誘ったら来るのか?これは大きな問題だ。
誰かと一緒に来ることもできるがあえて1人で来ているのと、
最初から誰かを誘っても無駄だと悟って1人で来ているのでは、だいぶ立場が違う。
いや、でもたぶん、こんな私でも、1人くらいは、一緒に祭りに行かないかと誘えば
一緒に来てくれる女の子はいると思う。思うだけで確証はない。思うだけなら自由だ。
そもそもいつの間に女の子という単語が出てきたんだ、まったく。
だいたい・・・・・・

やめた、言い訳をすればするほど傷口が広がる。もうこの話題やめ。


ということで今日も撮影に興じるのであった。
(写真撮影するという観点からなら、一人の方が余計な気遣い無用だから楽なのだ)





写真を撮っている時に思った。そうだ、こうしよう。

祭りを楽しんでいる人たちの笑顔、喜び、賑わい
そのような幸せそうな様子を見られるのが、私の祭りの楽しみであり楽しみ方です。
(だから1人で来ても、周りが楽しそうならそれでいいのです)

よし、最後はうまく決まった。(事にしておいてくれ)






さて、私は明日からしばらく仙台に旅立つ。
北海学園大学と東北学院大学の間で行われる各種スポーツの定期戦の撮影を担当するための出張であり、
大学から予算の大半が支給されている。

個人的な旅なら、ここ数年の間にあちこち飛び回っているが、
学校の遠征での旅行というのは、私はこれが始めてかもしれない。

アルバム委員からは私のほか、ya5u5hi氏とnoct-氏が現地に発つ。
この2名、両者とも写真撮影に関してはそれぞれかなりのテクニックを持っている。
私が足手まといにならなければ良いが。