2006/12/13 師走十三日




ピッ ピッ ピッ ピーン
午後 7時 58分 50秒 をお知らせします

ピッ ピッ ピッ ピーン
午後 7時 59分 00秒 をお知らせします

ピッ ピッ ピッ ピーン
午後 7時 59分 10秒 をお知らせします

ピッ ピッ ピッ ピーン
午後 7時 59分 20秒 をお知らせします


117番に電話をかけると聞く事ができる時報。
普段あまり使う人はいないだろうが、精確な時を知るのには便利なものである。

私が今、何故これを聞いているのか?これは高速道路の通勤割引に関係する。

通勤割引

17時から20時の間に、入口料金所もしくは出口料金所をETCで通行すれば
高速料金が5割引になると言うシステムだ。

諸般の事情で高速道路の入口まで来る時間がギリギリになったため、
時報で割引の可否を判断していたのだ。
半額にならないのなら、高速道路を通らずに一般道を走る予定だった。


ピッ ピッ ピッ ピーン
午後 7時 59分 30秒 をお知らせします


このタイミングで私は、手稲I.Cに突入した。
入口I.Cを20時までの間に通過。これで通勤割引が適用になるはずだ。

しかし札幌西の高速道路上にある料金所を潜った時、表示された料金は650円。
無割引の料金である。


は?すぐさまブレーキを踏んで料金所のおっさんを問い質そうかと思ったが
後続車に対し非常に危険なので、その場はそのまま札幌南まで走り
家に帰ってからお電話する事にした。


一応こちらが間違っていてゴルァするとあほらしいので、Webページで割引の可否について調べてみた。
すると例外規定として、一応こういうルールがあるようだ。


 均一制料金の高速国道と対距離制料金の高速国道を連続してご利用になる場合は、
 均一制料金の区間は、その区間の料金をお支払いいただく料金所の通過時刻によって利用時間を確認し、
 対距離制料金の区間は、入口料金所及び出口料金所の通過時刻によって利用時間を確認します。


ふむ、なるほど。

道央自動車道及び札樽自動車道の札幌西〜札幌南の区間は、まさにこの均一料金制となっている。
19時59分30秒に手稲を通過した車が、札幌西の料金所を20時までに通過することは不可能だ。
よって札幌西〜札幌南の料金が無割引なのはわかった。

しかし、だ。手稲I.Cを19時59分30秒に通過しているわけだから、
上記のルールを字面どおり解釈すると、
対距離制料金である手稲〜札幌西の区間の料金は250円から150円に割り引かれるはずだ。
つまり引き落とし額は550円が正しいのではないか?

と文句を言おうにも、既にこの時間になってしまっては、電話も繋がらない。


さて、私がこういったことに憤慨しているのは、100円が惜しいからではない。
自動的に料金が引き落とされるシステムが
きちんとした料金を提示しない事が、これからの時代恐ろしい事になると思うからだ。


世の中では今、SuicaやICOCA、Edyなど、ICカードを使った支払システムが増えている。
ICカードによる支払は、小銭を持ち歩かなくて良い、速やかに決済できるなどの利点はあるが
その反面、支払額に無頓着になる可能性があると思う。

現金なら、398円の支払をする時に500円を出してお釣りが2円しか来なかったら
さすがにたいていの人はお釣りが少ないことにすぐ気づくだろう。
しかしEdyを利用して、残高から498円の引き落としがあった場合に気づく人がどれだけいるだろうか?
もちろんレシートをチェックすれば、おかしい事には気づくだろう。
(レシートには398円と表示されて、実際は498円引き落とされたらわからないかもしれないが)
しかし、世の中にはレシートを持ち帰らない人間も多い。私からすれば考えられない事だが。

だが、買い物の際の代金支払はまだいい。
とりあえず店員がレジを打った後値段を復唱するだろうから、代金が違えば、そこでチェックが可能だ。
本当に問題なのは、Suicaを始めとした運賃清算システムだと私は考える。

例えば千葉県の松戸から埼玉県の川越まで、JRを利用したとしよう。
本来、松戸から川越までの運賃は950円だが、
もしここで、一つ上の料金区分である1110円の料金引き落としがあったところで、
鉄ヲタなど、よっぽど料金に詳しく、かつ注意深く見ている人じゃなければ気づかないのではないだろうか?
カードの履歴が残ると言え、後から履歴をいちいち精査しない人も多いだろう。


さてさて、話は少し変わるが、来年3月18日から、首都圏ではPASMOのサービスが開始される。
これは今までのSuicaのエリアとパスネットのエリア両方、
さらには首都圏のバスでも使えるようになる予定の便利なICカードであり
このサービスが開始されると、一枚のICカードで様々な交通機関を利用できるようになる。

これだけなら正直私は、Suicaとパスネットの両方を持てば良いではないかと思うが
今までのパスネットの方針が、PASMOにも受け継がれるなら、副次的な効果が期待できる。

例えば今現在、Suicaで常磐線の北千住駅から総武線の西船橋駅まで乗車した場合、引き落とされる運賃は450円、
同じく北千住駅から中央線の中野駅まで乗車した場合に引き落とされる運賃は380円だが、
ハード面を現在のままでPASMOに変えた場合、
前者は300円、後者は270円でなければならない。
何故そうなるのかは此処では省くが(一応、知りたい人用に一番最後に書いておくが)、

ちなみにここで言うパスネットの方針と言うのは、
「どのルートで乗っても、考え得る最安値の運賃を引き落とす」と言うことだ。


まあPASMOがどういう制度になるかは、蓋を開けてみないとわからないが
自動的に最安値をはじき出してくれるシステムにあらざれば、
ICカードの利点が打ち消されてしまうと言わざるを得ない。
それはつまり、自分が本来乗った分以上の運賃を支払わされる可能性が拭い去れないと言う事だから。



料金を意識することなく改札などを通過できるというのは、
一見便利に見えるが、考えようによっては怖いシステムである。
機械に表示された料金を妄信せず、利用者一人一人がきちんと正答な提示であるか
確認するくらいの慎重さが必要だろう。

もっとも、私のような鉄ヲタにもなると、
みどりの窓口でも「運賃違うんじゃないの?」合戦が時折起こるがな。
(大抵は窓口氏の経路入力ミスが原因であるが)




------------------PASMO導入で料金が安くなるわけ------------------
ここで揚げた北千住駅、西船橋駅、中野駅は全て、JRと東京メトロを改札を通らずに乗り換える事ができる。
東京メトロの運賃は、長距離になってもあまり高くならないため、
これらの区間では全てJRの運賃より安くなる。

PASMOが導入されると、一枚のICカードをJRと東京メトロのいずれも利用する事ができるが
改札が同じであるため、システムが実際にどちらに乗車したかを判断する術は無い。
そこで高い方のJRの運賃で計算してしまうと、東京メトロを利用した人に対して不利な取り扱いとなるため
東京メトロの安い方の運賃で計算せざるを得なくなる。
そのためJRの利用者は、JRとメトロの運賃の共有の恩恵を受ける事ができるわけだ。

関東の私鉄各線に乗車する事ができるパスネットにおいては、
既にこのようなシステムが構築されている。
例えば東急各線の駅から東武伊勢崎線系列の駅へと移動する場合、
東急からメトロまでのルートは、南北線経由(目黒駅)、日比谷線経由(中目黒駅)、半蔵門線経由(渋谷駅)、
メトロから東武へのルートは、千代田線経由(北千住駅)、日比谷線経由(北千住駅)、半蔵門線経由(押上駅)、
が考えられるが、パスネットで改札を通過すれば、一番安い経路の運賃を自動的に選択してくれる。

もっとも、このような事態が起きないように、PASMO導入前に一部の駅に中間改札を設けて
どのルートで乗車したかを明確化できるようにすると言う情報もある。

余談だが、PASMOが導入されていない今現在においても、
これらの駅でメトロの切符やパスネットを用いて改札を通り、実際はJRに乗ることは物理的には可能である。
しかし、このような乗車は不正乗車となるため、意図的に行ってよいものではない。
------------------説明おわり------------------



3月18日追記

実際蓋を開けてみると、PASMOが導入されても、一番安いルートでの計算にはなりませんでした。
例えば西船橋駅において、中間改札を通らずに、
JR中央本線(中野以西)−メトロ東西線−JR総武本線(西船橋以東)と乗り継ぐと
強制的に高い方のJR経由の運賃で計算されてしまうようです。
この例以外にも、JR南武線−小田急線−JR山手線(西側)などの場合に
券売機で連絡切符を買った方が安いと言うケースが出ているようです。
これが現在のシステムの限界なのか、はたまたJR東日本が運賃の取りこぼしを嫌がって意図的にやっているのか、
(つまりメトロ経由で計算すると、中央総武緩行線を中野以西から西船橋以東まで乗りとおした客もメトロ経由の運賃に)
ともかく、ICカードを使う場合はきちんと運賃を確認して乗った方が良いですね。
もちろんICカードを使わない場合もですが。
(しかし、首都圏の通過連絡運輸などの制度は、鉄ヲタでも把握できないほど複雑怪奇なのだな、これが)