2006/11/30 霜月三十日



今日の日記はいつも以上にヲタ色が強く出ていますので、
バスヲタを嫌悪する方は読むのをお控えください。
(とまあ、そんな人はまずこのページに来ないと思いますがね)


今日で霜月も終わり、明日からは師走を迎えるが、
12月1日、中央バスではダイヤ改正を行う。
冬が来るのに合わせての改正だが、いくつかの路線が廃止及びルート変更となる。

そのルートの中には、私が高校時代から愛用してきた『平78』も含まれている。
『平78』は平岸駅(一部は幌平橋)からスタートし、
美園駅、月寒中央駅、南郷7丁目駅を経てJR白石駅へと向かう路線であり、
都心の駅を除く南北線、東西線、東豊線、JR線全ての駅を経由する唯一の路線だ。

しかし今年の4月に減便され、もしやと思っていたところで路線廃止、
新たに澄川駅から月寒中央駅、南郷7丁目駅を経てJR白石駅に向かう澄78が新設される。

南北線、東西線、東豊線、JR線全ての駅を経由する唯一の路線は維持されるが
私にとっては澄川駅接続では利用価値は激減、多分日常の足にはなりえないだろう。
そんなこんなで、今日はこの路線を含めた数路線にお別れ乗車することにする。

朝7時20分の平岸駅。これから『平78 平白線』最後の日が始まる。

バスの中には既に通勤通学の乗客が乗っている。
その中には月寒高校の制服を着た女子高生も。
このバスが通る「中央通2丁目」のバス停は、月寒高校至近なので時間が合えば非常に便利なのだ。
明日からこの子はどうやって通うのだろう?

歴史を垣間見れば、東豊線開業までは平岸から月寒に向かう路線は他にもいくつかあった。
しかし、東豊線開業、月寒営業所の廃止、豊平・美園・月寒から都心方向への移動は楽になったが
豊平区内同士の移動は犠牲になった。


私はバスを豊平区役所で降りた。今度は白石方向から来る上りのバスを迎え撃つ。
上下線を組み合わせて移動する、鉄道の全駅乗降では必須のテクニックだが
バスで行う場合は、時間に正確な鉄道と比べて余分に時間を取っておかなければならない。


朝夕の一日2便だけ、このバスは平岸駅を過ぎて幌平橋へと向かう。
次に来るバスがちょうどその幌平橋行である。
幌平橋まで乗りとおす乗客も多く、延長している理由もそこにありそうだ。
この延長された系統は、幌平橋、中の島、平岸、美園、月寒中央、南郷7丁目と
6つもの地下鉄の駅と乗換ができる。

幌平橋でバスを降りる。昨年株主優待券であちこち乗り回した時は、
よくこのくらいの時間にここらへんから都心へ向かうバスに乗ったものだ。


折り返しJR白石駅へと向かう『平78』も、ここ幌平橋から発車するのだが
30分ほど時間がある。ちょっと付近でも闊歩してみることしようか。

幌平橋駅は札幌南高校、静修学園が徒歩圏にあり、
更には此処からバスに乗り換えて札幌旭丘高校へと行くルートにもなっている。
ちょうど朝の通学時間、ただ立って待っているのも暇なので、通学風景でも撮影する事にしよう。


まあ彼らには完全に不審者と思われているだろうが、
この程度なら私の発するATフィールドによる絶対領域の方が強い。(自慢するところじゃない)

この時期の30分は意外と長い。走り回ったり無意味にバスに乗ってみたりして寒さを凌ぐ。


そして折り返しのバスがやってきた。今度は終点まで乗りとおす事にしよう。
今度もそれなりに客が乗っている。乗客は口々に明日からの交通機関について話していた。
途中のバス停から乗ってきて、中央通2丁目で降りていった幼稚園児を3人連れた母親も
明日からは白30番を利用して美園2−6で降り、月寒の丘を上がる事になるとか。
白石区内までバスを乗りとおす人も結構多く、朝と夕方だけでも路線を残せばいいのにと思った。

JR白石駅に到着。ここで降りた客の多くは明日から澄78に入れ替わる区間から乗車した人のようだ。
次の『平78』の発車まではしばらく時間があるので、
『白23』、『白30』を乗り継いで美園2−6のバス停へ。

この路線のうち『白30』は、平岸駅〜美園5−7の区間で『平78』とほぼ並行して走る。
さらに『白30』が美園5−7から美園2−6の間でクロスする国道36号線の系統はその多くが月寒中央駅を通る。
よって、もし2つのバスの乗継が可能なら、さほど移動に支障をきたす事はない。

さらに、平岸駅からJR白石駅に向かうのならば、『白30』、『白23』を乗り継げば
場合によっては直通系統である『平78』より早く移動できる事もある。
そういう意味では『平78』の廃止は仕方ないかもしれない。

鉄道ならそれでいい。同じ事業者の路線を任意の駅で乗り継いでも運賃は変わらないから。
しかしバスの場合は、そこに直通の路線がないということで乗り継げば単純に料金が2倍だ。
一日乗車券を使っているのでもなければ、そんなことはそうそうと出来ない。
直通のメリットばかりでなく、料金上のメリットもなくなるのは何とかならないかと思うが、
そこで乗継割引を認めると、他の路線においても要望が出て難しいところだ。


国道36線月寒通と環状通とのクロスより月寒方向を見る。
この場所は私のお気に入りスポットでもある。


豊平郵便局のバス停から『平78』に乗車。今度は月寒中央へ。

月寒中央から水源地通へ曲がる『平78』。ちょうどこの交差点より手前がばっさり切られる。

月寒のバスターミナル内には、既に明日から運行予定の『澄78』の時刻表が張ってある。
現行の『平78』と異なり、『澄78』はバスターミナルに入るみたいだ。


ちょっと国道36線を都心方向に歩き、中央通2丁目のバス停へ。

ここがいわゆる月寒高校至近のバス停で、歩いて帰るのが億劫な時によくこのバスを利用した。
ここのバス停に来るバスは、『平78』以外は全て札幌駅前もしくは札幌ターミナルへと向かうため、
『平78』に乗ろうとする人以外はみんな先に来たバスに乗っていく。

一旦授業に出るために美園駅で降り、東豊線で移動。
外を歩き回って疲れたので、小休止も兼ねる。


12時30分、再び行動開始。学園前から一気に栄町へ。栄町からは『栄21』系統に乗る。
『栄21』は栄町駅を出たのち、航空管制センター、丘珠中央、篠路小学校前、ひまわり団地を経て
あいの里4−1へと向かう系統である。
今回の改正で系統こそ残る物の、篠路小学校前からあいの里4−1の区間が廃止、
篠路小学校前から篠路10−4に付け替えられ、
路線名も『ひまわり団地線』から『栄町篠路線』へと変わる。
(そのほかに航空管制センター付近でミクロな路線変更がある)
この路線は、数えるほどしか乗った事がないが、最後と言う事でやってきたわけだ。


栄町駅のダイエー南側より発車。

丘珠空港をぐるりと回るように走るこの路線は、篠路以北に向かうにはかなり時間のロスだ。
ちょうど丘珠空港を迂回し終える付近の十軒神社のバス停までに、殆どの乗客が降りていった。
廃止となる以降のバス停で降りる人は私を除いて4人、
栄町出発時には立ち客も出ていたにしては、やはり少ない。

竜雲時以降、つまり明日からこのバスが通らなくなるバス停で降りる客には、
運転士がバスの経路変更でこのバスが明日から通らなくなる旨と、代わりの移動手段を連絡していた。
私が今日までの終点、あいの里4−1で降りる時には、
「お客さんは、知っていてあえて乗っているんだろうから説明はしないよ。
 まあ明日からなくなるから。ご苦労さん」
と。まあ写真撮ったり録音したりしていれば、一目でバスヲタだとわかるわな。


あいの里4−1、札幌の中でもかなり端にある場所だ。
周囲は住宅街が広がるが、店らしい店もない。
あいの里教育大は、ここからもう少し東に行ったあたりにある。

天気はよりによって吹雪、ここあいの里地区は札幌の中でも冬が厳しい地域だ。
まだ冬は始まったばかりとはいえ、都市部や山側に比べて強い風は、容赦なく体温を奪う。

周囲の人工的な殺風景が、感じる寒さを増幅させてくれる。

あいの里3−1バス停付近。柳並木も寒そうだ。

ここで寒さに耐え続けるのは嫌なので、『39』番のバスに乗って竜雲寺まで戻る。

竜雲寺のバス停から、ひまわり通のバス停まで歩く。
『39』をひまわり通で降りても良かったのだが、
そうすると寒い外で待つ時間が増えるので、歩く距離が伸びるの承知で
わざと乗車時間を増やして、暖かい空間にいられる時間を稼いだわけだ。
このように冬の北海道を行脚する時、私は移動のためではなく、
暖を取るために列車やバスに乗る事がある。

伏籠川を渡る。鴨達が水の中で羽を休めている。

こうやってバスに乗るために歩くと、また新たな札幌を見つける事が出来るので
こういう廃止イベントなどがないときも、定期的にうろついてみるわけである。


ひまわり通のバス停より、『栄21』に2度目の乗車、再び北へ向かう。

ひまわり団地にて折り返し上り『栄21』に乗車、栄町に戻る。
この時間の上り方向のバスは、殆ど利用客がいないみたい。


続いて向かうは中央バスの札幌ターミナル。
やはり今回の改正で廃止になる『特急札滝線』を見送りに向かう。

『特急札滝線』は、その名の通り札幌と滝川を結ぶ路線なのだが、
奈井江砂川もしくは滝川まで高速道路を使う『高速滝川号』と異なり
岩見沢ターミナルから滝川ターミナルまで、延々と国道12号線を走り続ける。

本当はこの路線にも乗りたかったのだが、廃止を知ったのが昨日であり時間的に無理だった。
中央バスターミナルなどでも、この路線の廃止は告知されておらず
今日、美唄までこの路線を使ったおじいさんも、窓口の人から廃止を知らされて驚いていた。
昨年の同時期に、『特急札芦線』が廃止になったのだが、
そのときはきちんとポスターなどで周知されており、
昨年に比べ今回の廃止路線への対応は不適当だと思う。

後続の『高速滝川号』より乗客は多し。おそらく多くは岩見沢までの利用だろうが。

日も暮れてきたので撮影活動終了。あとは最終バスを残すのみ。
ちょっと札幌第一合同庁舎へ寄り道し、出来上がった特定第一種圧力容器作業主任者の免状を受け取る。

時間つぶしがてらに大麻まで移動し、大麻駅前から100円バスに乗る。
知っている人は少ないが、大麻駅前から浅井学園大学前・札学院大前のバス停までは現金に限り100円で乗れるのだ。
もっとも、これらの大学に行くのでなければあまり利用する意味はなさそうだ。


江別市と札幌市の境界付近より。

その後新札幌、地下鉄白石を経てJR白石駅へ。

いつもどおりのJR白石駅前。バスの廃止など誰も興味がないみたい。


19時50分、上り最終の『平78』が発車する。
乗客は私含めて4人、他は普段からの利用者か。平和通4丁目でさらに乗客は増える。
多くは月寒中央駅を通り越しての乗車、やはり少ないながら乗客はいるみたい。

バスの中の雰囲気は、明日からこの路線がなくなることを微塵も感じさせない。
数年前、札幌市営バスが完全に移管される時は、もっとにぎわった物だが
やはり1路線の廃止程度では、誰も見向きもしないようだ。


そしてバスは定刻どおり平岸駅へ。
いよいよこれが本当の『平78』の最終運行。私は静かに先頭の座席に座る。

やはりこちらも、本日が最終運行である事を醸し出すことは無い。
運転士もそのことについて一言も喋らない。
各バス停に路線の変更について書かれているとはいえ、最後にしては非常に寂しい幕切れである。

途中の風景を動画で撮影する。どこもよく見慣れた光景だが明日からこのバスの存在が零れ落ちる。
月寒方面に向かう時、JR白石駅から帰るとき、もうこのルートは使えないんだな。

バスは定刻より心持ち早めにJR白石駅に着く。私は『平78』の最後の乗客となった。
全ての乗客を降ろしたバスは、すぐさまLEDの表示を『回送』に変え、闇の向こうに消えていった。


さて、感傷に浸っている時間はない。素早く次の地点へ移動だ。
白石駅から予定通り21時07分の札幌行エアポートに乗れたので、
続いて現行の『栄21』の最終便に乗りに行く。
栄町からでは間に合わないので、札沼線で篠路に先回り。
通勤客と共に篠路で下車し、真っ暗な篠路駅前のバス停でバスを待つ。


篠路小学校と言うのはここの次のバス停なので、21時47分の『栄21』が事実上の最終バス。

そして最後の『栄21 “ひまわり団地線”』がやってきた。
乗客は2人だけ、やはり廃止になる竜雲寺から先の乗客は少ない模様。

“ひまわり団地線”の最後はやはりひまわり団地でと言う事で下車。
最後の乗客は、私の前に乗っていた女性と言う事になる。
私が最後の乗客になろうとすると、あいの里まで乗りとおさなければならないが
このひまわり団地ですら既に南行きのバスは全便終了。
すなわち真夜中のあいの里を延々と歩かなければならなくなる。

ひまわり団地のバス停からすぐの拓北駅へ向かう途中、『栄23』、『39』とバスが立て続けに通る。
どちらもそれなりに乗客が乗っている。
これらの路線は、どちらもスマートな経路で北へ向かう。
これを見ると、拓北以北へ向かう乗客にとっては余計な遠回りが過ぎる『栄21』は、経路短縮も仕方ないかと思う。

札沼線はまだ札幌方面へと向かう上り列車がある。列車を待つ間に駅の撮影でも。

夜にこの辺をうろつく機会もあまりないが、地下鉄沿線とは大違いだね。

札沼線上り札幌行。北海道医療大学からの帰宅客でそれなりに人が乗っているみたい。

22時20分、新琴似駅到着。ここから地下鉄に乗り換える。
意外とここで降りる客が多かったのに驚いた。

そういえばこの駅には、クマーが鎮座していることで有名だ。
新琴似に来るのも久々なので、ちょっと様子を見てこよう。
と思ったけど見当たらない。駅員さんに聞いてみる。
「この駅にいたはずのクマーはどこでしょう?」
駅員さんは笑って答えた。
「ああ、熊ですか?今、ケーキの中に入っていますよ」

ケーキの中・・・・・・いました。新琴似は市内の札沼線の駅の中でも開業が早い方なのです。



そういえば今日をもって、岐阜県北部の神岡町にある神岡鉄道が廃止になった。
渓谷を縫うように走る路線で、とても美しい景色が見られたのだが、まあ時代の流れだ、仕方ない。

日本全国を見ると、今年度末にはまた多くの路線が地図から消える。
公共交通機関はどんどん潰れる中、使わない道路は造りまくる、そんな時代はいつ終わるのだろうか・・・・・・。