2005/5/18 皐月十八日 May Eighteenth



朝早く家を出て、出張のために釧路空港へと飛び立ったはずの父親が、
突然10時過ぎに自宅に戻ってきた。

どうやら丘珠を発った飛行機が、釧路上空まで行ったものの、
釧路空港で濃霧が発生した為、着陸姿勢を翻してまた丘珠に戻ってきたそうである。

釧路空港は、日本国内の空港でも最高の霧対策が施された空港である。
CAT-Vaというシステムが運用されており、
滑走路の視距離が200mあれば、着陸できる。
ちなみに熊本空港にも同様のシステムが搭載されている。
しかしその設備を持ってしても、欠航便が出ることはあるようだ。

親は講演があるため、どうしても阿寒に行かないといけないので
ルートの検索に私も借り出され、調べることになる。
空路を除いた道東への最速ランナーは、JR北海道の看板特急スーパーおおぞら。
今からだと11時51分発の列車に乗れるが、
釧路着が15時代後半、阿寒に着くのは17時代がやっと、
これでは講演会に間に合わないらしい。そこで私が出した解答は

スーパーおおぞらで池田へ、池田で接続する快速銀河で足寄、そこからレンタカー

これは、足寄駅のレンタカー屋が貧弱すぎると言う理由で却下され、
結局、帯広からレンタカーを利用することになったようだ。
これだと阿寒に着くのは16時代前半くらいか、広いな北海道は。


今日の民事法入門の講義は、いつもにしてうるさい。全体的にざわめいている。
前のほうに居ようが関係ない、ここが講義中の教室なのか?と思うほどだ。

何かこいつらを静まらせる方法はない物かね。
高校時代の学校祭で、観客の興奮を一瞬で冷ましたことがある私でも
なかなかいい方法が思いつかない。
一瞬だけ静まり返らせるなら簡単だが、効果が長く続く方法となると・・・・・・。

1人、又は1つのグループだけがうるさいなら、
そいつに向けてフラッシュでも焚いて晒し上げてやれば何とかなると思うが
この場全体が、喧しい場合にそんなことをしても効果はないだろう。
むしろ一層悪化させる可能性すらある。
突然大声を張り上げる、とかは静かにはなるかもしれないけど
頭のおかしい人間と思われるだろうし、
爆竹を鳴らす、とかは別の騒ぎが起きそうだし。

そうだ、面白い方法を考えたぞ。
あちこちに、高性能集音マイクを仕込んで、雑談している奴らの話を拾う。
そしてある瞬間に、そいつらのうち一組の声を、スピーカーから大音量で流してやる。
関係ないことをペチャクチャ喋っている奴らにとっては、
自分たちが話している内容が、突然教室内に鳴り響いたら、間違いなく驚くだろう。
話している内容が、言ってて恥ずかしくなるような内容であれば尚良い。
それをランダムに数回繰り返してやれば、不気味に思って雑談するのは止めるんじゃないかな?
マイク設置費用がいっぱいかかりそうだけど、技術的には可能だと思う。

特に意味はないけど、講義終了直後の画像をうpしてみる。

今日の講義の内容で、ちょっと気になった点があったので講師に質問してみると
ある条文について私の法解釈が誤っていることがわかった。
かなり細かい点で、且つ資格試験にも出ないような部分なので
私が条文を読んで思い込んだ内容を訂正してくれる物がなかったため
今の今まで、誤っていることに気づかなかった。

どの条文の解釈を間違っていたかをここで揚げても、説明が面倒なので省略するが
この条文を何も知らない一般人に見せたら、おそらく私と同じ勘違いをするだろう。

私はまだ学習段階なので、ああ、間違っていたんだ で済むからいいけど
社会に出ても誤信したままだと大変だなぁ。
この、私が勘違いした条文についても、
わざとに勘違いで導き出される解を相手に説明すれば
法律の知識がない人は、きっと信じ込んでしまうだろう。

法律をきちんと知らないのは、とても不利なことだと思った。
相手の都合のいいように法律を運用されたのではたまった物じゃない。
弁護士を利用すれば、そういうことは避けられるだろうが、何しろお金がかかるし、
細かい取引等の一件一件に、弁護士に同席してもらうことは不可能だろう。
それに、弁護士でも「根抵当」を「こんていとう」と読む人がいるそうだしねぇ。


講義が終わり、大学の裏に行くと、なにやら拡声器から発された声が聞こえる
「歩道に駐車してはいけません、速やかに移動してください。」
一台のパトカーがやってきていた。路上駐車の取り締まり、いよいよ来ましたか。
「歩道は駐車禁止です、速やかに移動しなさい」
パトカーの中から警察官が出てきて、チェックを始めた。

奥の方の車の間に立っているのが、チェック中の警察官

しかし、地下鉄駅直結でそこまで交通の便が悪くない北海学園まで
わざわざ路上駐車してまで、禁止されている乗用車を利用する理由は何だろう?
公共交通機関を使うのが嫌だというなら、バイクを使えばいいのだ。
バイクでの通学は禁止されていないのだから。でも彼らはそうしようとはしない。


場面は変わって阿寒に向かった父から連絡があった。
講演会には間に合ったんだけど、
「いったいどうやってここまで来たのか」
という話になったらしい。
規則で、原則公共交通機関で出張しないとならないことになっているらしく、
そういうことから、何とかレンタカー以外でもたどり着くルートを考えて
それで行ったことにするという辻褄合わせを行わないとならないらしい。

時間に間に合うことより、規則を遵守することが大事なのか、それとも逆か、
これは先ほどの、北海学園路上駐車問題とも繋がることかもしれない。
両方とも、規則に違反したという点では変わらないが
前者が規定違反回避努力を全く行っていないのに対し、
後者は、予期しないアクシデントが発生した時の緊急回避手段であるという点で異なる。
前者でも、地下鉄人身事故発生で講義開始に間に合わない、と言う事態が起きた際などは
考慮する余地があると思うが、路上駐車は毎日のように慢性的に行われているのに対し、
毎日列車やバスが遅れている報告も入ってこない。

違反回避努力は、ルール違反を行うかわりに、金を費やすことに変えてみると良く分かる。
自家用車やレンタカーではなく、タクシーで同じことを行えるかどうか、だ。
前者で自家用車を使うのを止め、毎日タクシー通学に変えろと言われても
よっぽどの金持ちかタクシーマニアでない限りは、
公共交通機関を利用しての通学に切り替えるだろう。
後者で、レンタカーは禁止、タクシーを使えと言われたら
おそらく足寄駅からタクシーを利用してでも行くだろう。

『悪法もまた法なり』というソクラテスの考え方には賛同しかねるが、
何らかの理由があって規則として存在する物に対して、
ちょっと努力すれば遵守できるのにも関わらず、わざわざ違反するのは良いことではないと思う。


そしてしばらくしてから、父からまた連絡が入った。
「スーパーおおぞら12号の車内にいるが、ただいまトマムで抑止中、
 先行するスーパーとかち12号が、ホロカ信号所付近で熊と衝突したらしい」
運が悪い日はとことん悪いんだねぇ。
鹿の衝突なら、良くあることだし、すぐさま運行を開始するのだが、
相手が珍しく熊だったため、死亡を確認しなければ動けないということで
猟友会の人が、現場に到着するのを待つため、大きく遅れると言う。

JR北海道ホームページを見ると、確かに載っている。

(以下引用)

【熊との衝突による列車への影響について】 
5月18日20:24頃、石勝線、トマム駅〜占冠駅間で、
帯広発札幌行き特急スーパーとかち12号が、熊と衝突し、
石勝線トマム駅〜占冠駅間(上下線)で列車の運転を見合わせていましたが、
熊を除去し、22時06分に運転を再開しました。
この影響で、札幌〜帯広・釧路間の特急に遅れが発生しています。  

(引用終わり)

父を迎えに札幌駅へ。
日が変わるか変わらないかという頃、大幅に遅れた
『スーパーとかち12号』、『スーパーおおぞら12号』が、仲良く並んでやってくる。

まず、先についた『スーパーとかち12号』から旅客が降りてくる。
スーパーとかち12号は約2時間10分遅れ。
2時間以上遅れたため、規定により特急料金が払い戻される。

というルールを知っている人は、真っ先に精算窓口に向かうわけだが
列車を最初に降りてきた人で、そのルールを知らない人は
さっさと改札に切符を通して、去っていってしまった。

ちょっとして、それに気づいた係員が、
精算せずに改札を通ろうとする人に声をかけ始めた。最初に降りた人は損だ。

私はその一部始終を、自動改札横で眺めていた為、
「2時間以上遅れたので、精算窓口にきっぷを持っていったら払い戻しがありますよ」
と、セルフ駅員風に言おうかどうか迷ったが、
北海道フリーパスなど、払い戻しの対象にならない人に
声をかけてしまうと面倒なので、傍観していた。

ちなみに、SきっぷやRきっぷなどを利用した場合でも
そのうちの一定の金額が、返ってきます。


この写真は、私が以前利用したRailmate〜Sきっぷの写真ですが
右下の赤で囲った部分に注目してください。

特 払 急840 とありますね? これが、この切符の特急料金相当額です。
2時間以上遅れた場合は、ここに書かれた金額が戻ってきます。
覚えておいて損はないと思います。

スーパーとかちが着いてから5、6分後に、スーパーおおぞらも到着。
こちらは、遅れが2時間を越えていないため、払い戻しはなし。
列車が遅れた影響で、札幌を出る最終列車は、
このスーパーおおぞらを待ってから発車した。
そういや、利尻やはまなすに乗り継ごうとした旅客はいなかったのかなぁ?