2005/5/17 皐月十七日 May Seventeenth



「桜ももう、終わりだね」
散っていく桜を見て、つい口から出たセリフだ。
今までは、散りゆく桜を見ても無常感を感じることはなかったのに
何故か今年は、妙に悲しさ、寂しさを感じる。
去年までと違って、松前を始めあちこちの桜を見てきたからだろうか?
それとも、桜の散り行く様子を、私自身と重ね合わせてしまうからだろうか?

ドラえもんの漫画にも、このセリフが登場する。
ドラえもんが未来に帰ってしまった後の話である、
『帰ってきたドラえもん』の中で、のび太が発するセリフだが、
『ウソ800』という、飲んだ後に言った言葉が全て嘘になるという道具を
利用した後に言った為、散った桜が再び咲くと言う奇跡が起きた。
その後のび太は、家に帰って来た後にこう言う。
「ドラえもんが帰ってくるわけないじゃないか。ドラえもんはもう帰ってこないんだから」
その後どうなったかは、言うまでもない。

勿論、現実にはそんな道具はないから、桜が再び咲くわけはないし、
去ってしまったものが帰ってくるわけもない。
だけど私は、その奇跡に肖りたかった。
帰ってきてほしいのは、もちろん過ぎ去った過去、そして機会・・・・・・。

勉強っていいね。勉強している間だけは、そういうことを忘れられる・・・・・・。
でも、それは本当に勉強している間だけだ。
始める前、そして終わった後は、その意味を自問自答することになる。

今日の講義でも、寝ている奴、騒いでいる奴がいっぱい来ている。
彼らに対しては、もう不快感は感じなかった。逆に哀れみを覚えた。
学習機会の自己放棄、3年前の私の姿だ・・・・・・。


帰ろうと思って駅まで歩いていくと、定期券を拾得した。
学園前から宮の沢を経て、JRバスの某停留所までの通学割引定期券。
20歳で学割定期、そして学園前までだから、普通に考えると北海学園生の物だろう。
有効期間はあと1週間半くらいあった。

さて、この定期券をどうしようか?
北海学園内の遺失物を担当する部署に届け出ればいいだろうか?
しかし私は、その管轄の部署を知らないし、それを調べるのも面倒だ。
そして、全く面白みがない。ここに面白さを持ち込むのはどうかとは思うが。

1番面白いのは、本人を探し出して直接届けることだろう。
しかし、定期券の情報ではわかるのは、区間と名前と年齢だけ。
これだけで、たくさんいる学生の中から1人を見つけ出すのは大変そうだ。
名前を学生名簿か何かで照会すれば早いかもしれないが、
個人情報の管理が厳しくなっている今、特定の学生の名前を出して、
この人は誰ですか?なんてて聞いた所で教えてくれるわけはなさそうだし
私が怪しい人物だと思われるのは間違いないだろう。いや、実際に怪しいのだが。

本人に返さずに、自分が利用するという方法もあるにはあるが、
メリットが薄い割にリスクを抱えることになるし、
第一、鉄道利用の規範となるべき(?)鉄道マニアがそれをするわけにはいかないでしょう。

と言うことで結局、直接返すのは断念し、
学園前駅に預けてきた。明日には大通の忘れ物センターに送られるという。
今日定期券をなくした人、これを見ていたら大通のセンターに問い合わせてみてね。

もしこれが、女の子の定期券だったら、私は直接探し当てる方法を選んだだろうな。
情報なんて、本気で調べれば結構得られる物だしね。
と口では言ってるものの、実際にそういう事態に遭遇したら、
おそらくは声をかけることはできないだろう。
そして、すばやく落とした人を特定して届けられたならともかく、
探すのに手間取ったりして、持ち主の元に戻るまでに時間を要したりしようものなら
「どうしてわざわざ手間と時間のかかる事して直接持ってくるの?キモいんだけど。」
と言うような視線を浴びるのは避けられなさそうだ。

やっぱり、直接本人まで届ける楽しみを味わうには、財布か携帯電話じゃないとダメだな。
財布なら、中に住所等を記した物が入っている可能性は高そうだし、
携帯電話なら、そこに登録されている電話番号に連絡して、
「この番号の携帯電話の持ち主は誰か?」
を訪ねればいい。もちろん、拾得者だと言うことを明らかにしてね。
どこかに落ちてないかなぁ、財布や携帯電話。財布の場合、中身が多ければ尚良し。
私の場合、誰の物だかわかれば、拾って自分の物にすることはないのでご安心ください。(何を)

桜はそろそろ終わりだが、大通公園ではそろそろチューリップが咲こうとしている。
今日の大通公園、妙に写真撮影者が多い。
せっかくだから、私もその流れに乗ろうかと思ったら、デジカメの電池が切れてしまった。
今日は運悪く、予備電池も、非常用電池も持ってきていない。残念。


市電経由で帰ってきたら、西4丁目〜すすきの、
すなわち市電全区間の定期券を持っている人を見つけた。
札幌の市電は、どれだけ乗っても同じ料金なので
定期券も、自分が利用する区間だけ買おうが、全区間買おうが価格が一緒なのだ。
よって通勤定期なら、全区間のものを買うのが当然だろう。
通学定期は、自宅最寄駅から学校指定駅までなので、そういう芸当は不可能だが。
もし通学定期でも可能なら、私は真駒内本町〜真駒内本町、という定期券を購入していた。

通勤定期なら、任意の区間の物を購入できるのよね。
普通の人は、自分が頻繁に利用する区間の定期券か購入しないけど。
私も十三里〜楓、という定期券を購入したことがある。
1日しか利用しなかったから、完全な記念用だ。
多分、ふるさと銀河線が廃止される時も、どこかの区間の定期券を購入するだろう。

でも、できることならこんな買い方はしたくない。
二度と戻らないものが消えていく様を見るのは、もう嫌だから。

散った桜が戻らないように、過ぎた過去はもう戻らない。