2005/11/6 霜月六日 November Sixth





昨日の日記でも書いたが、本日は数学技能検定試験を受験する。
土日2日続けての試験だが、両方とも数学関係の試験なので学習範囲は重なる。
異種の試験をダブルヘッダーすることもある私にとっては、まったく苦にならない。

今日の試験会場は、苗穂駅北にあるJR研修センター。
私が高校3年の時に、情報セキュリティアドミニストレータ試験を受けた場所だ。
あのときは受験会場を間違って、北大に行ってしまい、
途中退出可能な30分以内になんとか駆け込んだ。
試験会場を間違ったのは、先にも後にもあれだけだ。
それ以外に、高校の時の鉄道研究同好会で、苗穂工場公開の際にも来ていたりする。

SLの動輪が展示されているあたりが苗穂工場傍の施設らしい

久々に受けた多層級にわたる検定試験、普段受ける試験と違って、
母親に付き添われてやってきた小さな子供も多いなぁ。
中学生、高校生くらいの人も多く、オッサンばかりの工業系試験と違い重苦しい雰囲気はない。


私が受験するのは2級だが、このくらいのクラスになると、
小学生、中学生くらいの受験者は消え、高校生以上になってくるが、
私と同じような人、かわいい女子高生、サラリーマンらしきおっさん、
主婦らしきおばさんなど、老若男女様々な人がいる。

試験開始。

1次の計算技能検定試験は、小問15問を1時間で解く。
数と式、図形と方程式、二次関数、確率、三角比、数列、対数、ベクトル、複素数、微積分など、
様々な分野から、基礎的な少しずつ出題される。
中には10秒かからずに解ける問題もあり、昨日の計算能力検定よりは非常に楽だ。

快調に問題を解いていく。小問集合なんて、大学受験では全問正解して当たり前の場所だ。
以下に素早く解くかが勝負のカギとなる。そう思っていた。しかし・・・・・・

 ベクトルの内積って何だっけ?

おいおいおいおいおいおい、いくらなんでもこれはないだろ。
高校2年の内容だぞ。(今の新課程でも高校2年でやるみたいだし)
しかもベクトルの演算ではなく、その基礎となる内積の計算方法を忘れるってどういうことよ。
高校2年以降では、数学教師嫌悪と文系類型選択のため、
センター試験では確率分布と算法とコンピュータでほぼ満点を取れるため、ベクトルを使う必要が無く、
一度だけ受験した2次試験では、ベクトルの問題くらい解けると思っていたから・・・・・・

解けてないじゃん。


分数ができない大学生とかがいるという話を聞いて
「は?頭おかしいだろ?お前ら生きている価値無いよ、とっとと死んだら?」
とか思っていたが、そう言う人間が生産される過程を、身をもって体験してしまった。
私は、高校時代まで数学を苦手としていたわけではないし、
資格試験でよく使う、指数対数や三角関数などは繰り返し学習している。
それでも普段使わない数列のΣ記号やベクトルの内積などが頭から抜け落ちた。

これが、高校時代に数学を苦手としていて赤点ギリギリでスルー、
かつ大学入学後は文化系で計算の世界には一切関わらず、ということになれば
分数が出来なくなっても何ら不思議ではないな。
でも、私自身はそんな人間になるのは嫌だ。
でも英語の成績はそれに違い・・・・・・。
つまり私も、私にとって頭がおかしい生きている価値がないとっとと死んだ方がいい人間であるわけだ。
出てきた結論が自殺かよ、まいったなぁ。

話が飛んだが、とりあえずベクトルと積分以外は正解したと思うので、1次試験は何とか通っただろう。
まだ完全には腐っていないようだ。でも、だいぶリハビリテーションが必要なことがわかった。


2次は数理技能検定、2時間で大問5問を解く。
問題は7つあり、問1〜問5の中から3問選択、問6、問7は必須問題。
ただし、時間に余裕がある人は、選択しなかった2問を解答してもよく、
その場合、正規の得点の半分を与えるとのことらしい。

選択問題とは謳われているが、実際は7問全部解くべき、ということか。
さらに、“時間に余裕がある人は”とあるが、問6や問7などが解けなくて
選択問題を4つ以上解くのはありなのだろうか?気になるところである。
ちなみに計算過程を書かないと採点されない。

試験開始。問題をぱっと見る。問題1から順に
図形問題、三角関数、指数方程式、ベクトル、確率と数列、不等式証明、導関数 である。

まあとりあえず、図形問題からやってみるか。
・・・・・・(1)の証明問題は解けたけど、(2)がだめだ。
図形問題は、類題に慣れるか、閃きが必要だから、ブランクが長いときついね。

続いて三角関数。やはり(1)は出来たけど、(2)が出来ない。
そういやこの試験、何故か知らんが定規、コンパス、分度器必携になっている。
だからそれらを駆使して、精密な図形を書けば、答えは求まる。
計算過程を書けないので、無駄だけどな。

次は不等式証明いってみるか。
・・・・・・うんだめだ、いろいろ変形してみたけれど、どれも証明になってない。
答えを見たら、ああなるほど、って思うんだろうけどなぁ。

次は指数方程式を。答えは問題を見た瞬間にわかったが、どうやって計算過程を示すかだな。
まさか馬鹿正直に、
「この試験で関数電卓が使えない以上、おそらくx、yとも自然数になると推定され、
 とりあえずxに2、yに1、又はxに1、yに2を入れたら式が合致した、」
とか書くわけにはいかないし。
幸い、指数は昔から得意だったので、おそらく模範解答通りの解法を書けた。

斜め後ろの女の子の「ああ、全然わかんない」という呟きが妙に大きく聞こえた。
この後、解けない問題について考えているうちに、試験時間が終了した。
導関数は最初からやる気がなかった。どうせ解けないと思ったので。
不動産鑑定士1次試験の数学もそうだったな。
問題を見た瞬間、微積分無視して、それ以外で勝負と決めた。
今回は問題も見なかったが、試験終了後見ると(1)は極値を求めるだけ。これならやれば良かったな。

いわゆる2半1完、そして不合格決定。
数学は、直前に叩いても伸びないからなぁ。日頃からジワジワやらないとダメか。
おそらく高校時代なら、この程度の問題は簡単に解けただろうなぁ。
あの頃受けておけば良かった。立命館大学の絡みもあったし。

※ 立命館大学の理系学部の受験資格として、高校時代に数VCを履修していることがある。
  私はご存じのように、理系志望でありながらアホみたいな理由で文系過程を取ったため
  数VCを履修していないことになっている。(実際にもあまりやっていないが)
  ただし、数学検定の上級級を取得していれば、数VCを履修していなくても
  受験資格を得ることが出来る。ちなみにこれは3年前の話、今の制度は知らない。


水穂大橋を渡りながら物思う。
何かこのごろ、資格試験を受けて絶望の底にたたき落とされる機会が多いな。
全ては私の学習不足、問題演習不足が原因ではあるが、
常に独力で学習を継続するというのも大変なのである。
何度も落ち続けている試験や、普通なら数年前に終わらせているはずの学習は尚更である。

私の周囲に、H海高校は糞、H海高校の教師は使えない、H海高校に行く時間が無駄だ、
などと言っている東京大学理科1類志望の高校3年生がいるが、
たとえレベルが自分より遙かに下であるとしても、
同じ目的に向かって進む集団に所属しているという事が恵まれた環境であることに気付いていない。

教師、親、友人など自分を取り巻く環境が、
自分と同じベクトルに向かっているというのはすばらしいことだ。
高校を卒業してから気付いても、その環境は戻ってこない。
時間が経てば立つほど、さらに遠ざかっていく。
そしてこの負のスパイラルは、ニート製造機の論理回路と一緒だろう。


帰ってテレビを付けてみると、将棋界で瀬川氏がプロテストに合格したというニュースが入った。
26歳で四段に上がれずに奨励会を退会させられ、一度は失ったプロ入りの道を
35歳になってから難関の試験で手にした、か。
でも、今まで2例しかないきわめて例外的なコースなんだよな。
他に、同じように奨励会を退会することになった人たちは、
結局プロ入りを諦めているんだよな、うん。

そして他の世界にもそう言う人たちは大勢いるはずだよね。
スポーツにしろ、文学にしろ、歌手にしろ、司法試験にしろ・・・・・・。
いったいその後の彼らは何をしているんだろう?だいたい想像はつくけど。
その後の彼らになりたくないと思いつつも、それに一直線に向かっている自分を抹殺したい。