2003/2/5 如月五日 February Fifth




始めに

本日の日記は、私の愚かさの真骨頂です。
多少犯罪要素が絡む場面がありますが、ご容赦ください。


ちょっと日が変わった頃だろうか?
MASAO様会食を実施するため、私は連絡に追われていた。
K.K氏、Y田氏、そしてMASAO様、
その3人が私を中継してメールで日程を調整している。
電話交換手ならぬメール交換手だ。
1人の都合を聞いたら、それをもう2人に送り、それがうまくいかなければ
その人の都合を聞いて調整していく。
一箇所に負荷を集中させる方式だと、決まるまでに悪戯に時間がかかる。
全員でメッセンジャーでもやれば、恐らく数分で決まると思うのだが。
まあ、予定が決まったので業務は終わり。しばらくしてから寝よう・・・・・・。
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起床、ただいま13時。また酷い時間だこと。(人事みたいに)
そうだ、今日は国公立の願書の締め切りだったんだ。
未だに願書を提出していない私。まあ北大なら近いし間に合うだろ。(致死遺伝子T)

殆どの必要事項は記入してあるが、こんな直前なのに調査書が手元にない。
学校まで行ってとってこなくては。(致死遺伝子U)

学校に行くまでの道程を歩んでいると、途中でK.K氏と出会った。ちょうど帰るところらしい。
私はあまり時間が無いので、多少会話した後別れ、さっさと目的地に向かうことにする。

学校に着くと、いつもどおり担任はお仕事(?)していた。
北海道大学の願書を提出するので調査書をくださいと言ったところ
少しの話の後に、願書は直接提出で大丈夫なのか?と言っていた。
そういえば、調べていないが・・・・・・まあ何とかなるだろう。(致死遺伝子V)

さて、それでは最終作業を終わらせようと思ったが
あれま、センター試験の願書についていた前期日程及び後期日程の出願表を家に忘れていた。(致死遺伝子W)

となると、道程に家も入れなければならないのか。
大通を経由して直接北海道大学までは行けないのか。少々タイムロスだ。
月寒中央駅から地下鉄東豊線で大通まで行くことにする。
本日は5日、よってエコキップが使える日だ。
使用予定は月寒中央から大通、大通から平岸、平岸から北12条、北12条から平岸だから
ウィズユーカードを行使するよりも、エコキップのほうが安い。購入して地下鉄に乗る。

調達しなければならない物は、家に行ってセンター試験の願書のおまけの出願用紙、
それと普通為替証書、そのためには銀行口座から資金を引き出さなければならない。
それと写真も撮影しなければならないな。以上也。

資金は都市銀行の口座に集中しているので、大通で降りねばならない。
東豊線大通駅で降りて一番近いと思われるのは東京三菱銀行。ATMで45000円を引き出す。
ここから一番近い郵便局は何処だろう?私の頭の中にある限りでは、丸井今井の9階の郵便局が該当する。
雪祭り初日の大通公園を駆け抜け、丸井今井に突入し、エレベーターで9階へ。

そうだ、郵便局に来たからには、情報処理技術者試験の願書も出しておくか。

春季試験は卯月二十日に実施され、システム監査技術者、テクニカルエンジニア(データベース)、
テクニカルエンジニア(エンベデッドシステム)、テクニカルエンジニア(システム管理)、
ソフトウェア開発技術者、基本情報技術者、初級システムアドミニストレーターの7種の試験がある。
秋季試験はシステムアナリスト、プロジェクトマネージャ、アプリケーションエンジニア、
テクニカルエンジニア(ネットワーク)、情報セキュリティアドミニストレーター、
基本情報技術者、初級システムアドミニストレーターで同じく7種である。
昨年、私は無理をして情報セキュリティアドミニストレーター試験を受けて見事に散った。
今回は無理はせずに、基本情報技術者試験を受けようと思う。

本来なら高度試験(情報処理技術者試験の内、基本情報技術者と初級システムアドミニストレーター以外)である
ソフトウェア開発技術者を受けようかとも思ったが、無理をして落ちては意味がない。
郵便局で使ったお金は約4万円。普通為替証書で34000円に手数料、
情報処理技術者試験の受験料は5100円、馬鹿にならないな受験料と言う香具師は。

まずは1つ入手、次は大通駅内の証明写真機で写真を撮影する。
これもすぐに完了。地下鉄南北線で平岸へ。

家に舞い戻って最後のパーツを手にし、その場で残りを完成させる。
全て書類は完成した時点で、時は残り40分といったところ。
後はこれをもって地下鉄南北線で北12条まで北上すればいい。

中の島駅で地下鉄に駆け込み乗車し、ここでちょっと休憩。
北12条で下車してからは、またまた走る。
西へ向かうと北大の入り口がある。入るとすぐに詰所があるので
そこの人に入試科の場所を聞いてみる。
すると、ここの道を突き当りまで行ってから、右に曲がって奥へ暫く行ったところだとか。
その通りに進んでみることにした。

入ってすぐに見えたのは北大医療短期大学部、まっすぐ行くと薬学部があり
右に曲がった後は、歯学部、そして医学部の隣を通る。
さっきから何度も北大生らしき人とすれ違っているが、そこら辺にいる人とさほど変わりはない。(当たり前)
定刻17時の少し前、やっと目的の建物に着いた。相変わらず広いキャンパスだ。
そこでも入り口の人に場所を尋ねる。ちょっと先に行ったところだという話。
で、一般入試と書かれているところに願書を持っていくと・・・・・・
「持ち込みでの受付はいたしておりません」

へ?

ということは・・・・・・。 早い話が・・・・・・ダメ? ここで私の思考モードは非常事態モードに切り替わる。 まず頭に浮かんだことは、郵便局員にここまできてもらうこと。もちろん、書留の印を持ってきてもらって。 と思ったのもつかの間、北大の施設の中には、公衆電話というものがなかなか見つからない。 近くにある何個かの建物の中を探してみた物の、発見することは出来なかった。 ならばこの作戦は没、次いこうか・・・・・・って、この時点で5時を回ってしまったぞ。 もう小細工は無理か・・・・・・?いや、1時間程度の遅れなら何とかなる可能性もある。 その僅かな可能性がある限りは、ありとあらゆる手段を使い尽くしてやる。 まずは一番近い郵便局に向かおう。と思ったが、5時で普通の郵便局は閉まるんでした。 となると、一番近い本局は、札幌駅付近の中央郵便局か。まずはそこまで全力疾走だ。 と、全力疾走中に脇に抱えていた願書を落としてしまった。 それに気付いた北大生が拾ってくれたから良かったが・・・・・・。 これからもきわどい行動があるだろうから、これは鞄にしまっておこう。 北大の敷地は広いから、ここの最寄り駅は北18条に変わっている。 はて、以前もこんなことをした記憶がある。それもそのはず。 昨年の神無月20日、情報セキュリティアドミニストレーター試験で、試験会場を間違えた時だ。 あの時は北大から飛び出して、苗穂駅のJR研修センターまで急いだ。 今回は中央郵便局、札幌駅まで行くところまでは変わらない。 北18条駅付近で信号待ちをしていると、車が何台か私の前を通っていく。 そんな物はどうでもいいと思っていたが、目の前をとある車が通っていった。 赤いボディーに白の〒のマーク、これは・・・・・・ 郵便の車だ、これを逃すわけにはいかん。なんとしてでも捉まえろ。 わたしは道路の状態も考えず、車道に乱入して〒の車を追う。 無酸素で走るには限界を超える時間、私は追いかけ続けた。 が、しかし、車に追いつけるはずもない。〒の車は少しずつ向こうへと姿を消していく。 しかしこっちも遊びでやっているわけではない。 私の少々逸脱した思考パターンをこういうときに利用せずにどうする。 もちろん車道の真ん中を走っていたわけだから、後ろの車は大迷惑なわけだが、 そのときの私の頭の中にそんな思考があろうはずもない。 郵便カーに追いついて何の意味があるのかはしらないが、ただ一心不乱に追いかけた。 途中、郵便カーの車が止まり、しめたと思った。がしかし、ただ左折しただけ。 その交差点を曲がってなおも追いかけ続け、さらに走ったところで郵便カーが見えなくなっていた。 そこで私の体力も尽き、酸素も足りなくなった。噎せこみ吐き気まで覚えた。 後もう少し走っていたら、胃の内容物が逆流してきただろうと思われる。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ さてと、少しは呼吸、心拍ともに落ち着いてきた。駅から大分離れてしまったようだ。 郵便カーも見失ったことだし・・・・・・予定通り中央郵便局にいこう。また走る。 地下鉄の駅まで再び駆け戻り、階段を下りて北18条駅へ。 情報セキュリティアドミニストレーター試験の日のフラッシュバックみたいな感じがするが 前とではまるっきり状況が違う。今回は、もう99%は不可能だ。 あの日は、30分遅れで試験に間に合い、受験することは出来た。(落ちたけどね) まだ地下鉄は来ていないみたいだ。ならば一旦休憩だ。 まだまだ体力が必要とするところは山ほどある。 スタミナは温存しておかなければならない。 ちょっと一呼吸おいてから、地下鉄南北線真駒内駅行きが入線。 ここから札幌までは二駅。ここと北12条駅共に北大生が乗ってくる。 普段、札幌駅に出かける時は、真駒内・平岸・大通方面からなので、ちょっと妙な感覚を覚える。 さっぽろ駅以北の麻生までの南北線は殆ど使わないしな。 まだ東豊線の栄町駅や、東西線の宮の沢駅の方が利用頻度が高いような気がする。 さっぽろ駅を降りたら、JR線乗り継ぎ用の黄色の階段を一番に駆け上がる。 後ろ側が黄色の階段というのも、なんか不思議な気分だ。(いつもは前が黄色の階段である) ここまで10行の文章、神無月二十日の日記からコピーして、細かい表現を変えたものである。 今回は改札突破はしなかった。それだけの体力が無かったから。 前はJRに乗り継ぐためにそのまま上へと上ったが、今回は東へ行く。 そのまま地下を通り、エスカレーターで上昇、ビックカメラの1階を駆け抜ける。 後は創成川を渡って左に曲がると、すぐに中央郵便局。 ただいまの時刻は5時半を少し回ったあたりだったろうか。 後はもう、人の持つ長所であり短所である融通に頼るしかない。 郵便の窓口に行き、私は次のような台詞を言う。 「速達書留、札幌市内なんですが今から1時間以内に届けてください」 すると係員、それだけで事情がわかっのたか、 「北大ですか?」 と。ほかにも同じような人がいたのだろうか?そして返ってきた答えは、 「1時間以内に届けるのは不可能ですし、それに北大はもう願書の受付を締め切っていると思いますが」 まあ、そうだろう。こっちはそれを承知で頼んでいるのだから。 次に私が言ったのは 「だったら郵便料金払いますから速達書留扱いにしてください。そうした物を私自身が持って行きますから」 もちろん、普通に考えるとこんなことが出来るはずが無いのはわかる。 何かあったら、受領書を出している関係上、郵便局が責任を負うことになってしまう。 だが、今日は確率0%でない方法は、全て試そうと思う。 もちろん当然のことながら、この方法も不可能らしい。つまり平和的に解決はできないようだな。 私は一度は諦めたふりをして、郵便局から去っていった。 少々気が遠くなってふらふらしている演技と、ショックで周りが見えず自動ドアにぶつかるという 意味のない演技までしておく。(特に意味はないし、逆にあやしいかも) そして郵便局を出て、右に曲がったところで元の私に戻る。 出来れば違法行為をせずに解決したかったが、それは叶わぬことがわかった。 しかしまだまだ実現可能と考えられる方法は両手の指に余るほどある。 全て羅列してみよう。刑法に抵触してつかまる可能性がある物も多々混ざっているが。 他の項目と類似する点があるのは勘弁。 α 速達書留の判を偽造し、郵便物に施し、自分で運ぶ β 郵便倉庫に侵入し、次に一番最初に送られる郵便に混入する γ 速達書留で郵便を出すふりをして、郵便局員が判を押した瞬間に取り返して逃走、そのまま自分で運ぶ δ 速達書留の判を盗み出し、それを自分で押して、郵便を自分で運ぶ ε 倉庫にある速達書留郵便から、速達書留の判の部分を切り取り、それを貼って持っていく ζ 郵便局員の制服を調達しそれを着て直接持っていく η 郵便局員に裏金を渡して、協力を要請する θ 郵便局員を脅迫し、速達書留の判を捺すよう強要し、さらに運転手にもさっさと運ぶよう強要する ι 郵便局を何らかの形で混乱状態に陥れ、その隙に速達書留扱いにして、郵便カーの鍵を拝借して運転 κ 速達書留を出した日付を如月一日あたりに書き換え、郵便局の責任問題をでっち上げる λ 速達書留分の切手を貼った状態で郵便倉庫に置き去り、郵便局のミス扱いになるように仕向ける μ 北大の係員に土下座して頼み込み、聞いてくれるまで帰らない ν 北大にすでに届いて開封済みのほかの願書に混ぜ合わせ、識別不能にする ξ 北大に届いた郵便を全て破棄し、データも一斉に消去し、もう1度願書を出しなおしにする ο こんなくだらないことが全て覆るような大事件を勃発させる とこんなもんでいいか。全て一応は実現可能な方法を抽出してみた。 もちろん、犯罪であったり、そこまでやる意味が無かったりするものばかりであるのは一目瞭然だろう。 しかし、どうせなら究極レベルまで考えるのが私のやり方だ。 考えるだけなら罪にはならない。(最後の項目が内乱の陰謀に当たるか?) こんなことを考えるくらいなら、最初からもっと余裕を持って願書を出せという意見もあるだろう。 御尤もである。その通りである。正論である。 しかし、今の状況になってしまったからには、その状況から考えなければならない。 ちなみに私が実際に実行まで考えたのは、αβγδの部分までである。 それ以上は実現できても、犯罪の色合いが濃かったり、リスクのほうが高かったりして得策ではない。 ということで、中央郵便局の裏側に回り込む。 郵便倉庫に入り込み、中の様子を探ってみる。ここまでは合法範囲だ。 中に入ると、地域別に仕分けられたゆうパックがあり、普通郵便もコンテナに積まれていた。 そして郵便局員がせわしなく仕分けに追われている。私は何食わぬ顔で中を徘徊する。 1周して大体どの種の郵便が何処においてあるのかは確定したが、特にセキュリティホールはない。 勝手に人の郵便を持ち出すことは容易だと思われるが、私の望む目的は達成されそうにない。 1周してから、さらにコンテナ内の郵便を覗いていると郵便局員が私に対して 「どうかされましたか?」 と尋ねてくる。流石に挙動不審だったか。中途半端な説明をしてから、さっさと出口に向かう、 わけではなく、さらに奥に入っていく。そして2階への階段を昇る。 2階にも、沢山のコンテナと郵便物。ひょんなことから郵便局内の構造を知ることになったな。 そのまま、3階、4階、5階、6階・・・・・・。 いったいここではどれだけの郵便物を扱っているんだ。 各階に郵便のコンテナが山がほどあるのだが・・・・・・。 そして7階は・・・・・・暗い。私は右ポケットからLEDライトを取り出す。 ボイラー室らしきものがあり、特有の低音が鳴り響く。外に出る扉もあったが、施錠されていた。 で、何しに来たんだっけ。えーと・・・・・・ ダメだな、万策尽きた。αは一朝一夕に出来る技術ではないし、 βは郵便倉庫に入ってみて、やっても無駄なことに気付いた。 δはカウンターの中に入って奪わなければならず、刑法236条を喰らいかねない。 刑法第236条 (強盗) 1 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。 2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。 となると、最後の望みをかけるのはγだな。一旦郵便倉庫から出よう。 階段を下りていると、郵便局員が上ってきた。そして、 「おつかれさまです」 と声をかけられた。また従業員(郵便局員)と間違えられたのか?それとも・・・・・・ 今度は別の出口からそそくさと退場する。そこは正規の、郵便局員の出入り口だった。 ふとみると、壁に達成目標のような物が貼られている。 目標取扱量と達成取扱量、そして達成率だ。 これを見ると、普通郵便、ゆうパックなどでは9割ほどの達成率のようだ。 郵便貯金部門では100%を超える達成率、保険分野は8割ほど。 今は時間が無いのでパッと見ただけだが、今度はじっくりデータを取らせてもらおう。 他にも、部署別無事故連続期間のような物も貼られていた。部署によって結構異なる物だな。 結局郵便局の周りを一周してしまった。正面玄関から再入場。 その後、現金を叩きつけて速達書留で依頼。 奪い返すタイミングは一瞬だ。郵便局員が速達書留の判を捺し終わってから箱に入れるまでの僅かな時間。 刹那の機会を逃したら、その瞬間ゲームオーバー。 郵便局員は代金を受理する。そして郵便を受け取る。 さあ、早く捺すんだ!!って、ちょっと。ハンコ捺さずに回収してしまったよ。 そして、少し向こうまで行ってから押印してようだ。 ・・・・・・やられた。ノーサイドの鐘が鳴った。 ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ 私は今までの一年間、一体なにをしていたのだろう。 定期テストは真面目にやらず、授業も寝ていたりサボタージュしたり、 資格試験も落ち続け、Webページの更新も怠業、 社会に貢献するわけでもなく、弱点は最後まで克服できないし 得意分野も磨かれたわけではなく、恋愛も0から進展せず。 私は今までの一年間、一体なにをしていたのだろう。 そう思うと、ただ札幌にいるのが不快でしかなくなってきた。 このまま敗北者として帰るのも、心の中で許すことが出来なくなっていた。 都合のいいことに、すぐそこは札幌駅。 そして私のポケットにはキャッシュカードが控えている。 行きたければ、稚内、根室、長崎、鹿児島、沖縄・・・・・・日本の殆どの場所には行ける。 今の感情を整理するためには、ただそのまま札幌の街にいるのは得策ではない。 さあ、旅に出よう。 その前に道端の自販機で缶ジュースを購入する。 そのジュースも一口飲んだ後、もうどうでも良くなって天高く放り投げた。 札幌駅到着時刻は18時20分。それに照らし合わせるように、私は時刻表を見る。 そしてそれぞれの路線で今日中に何処までいけるかを計算する。 腐っても鉄研会員である、時刻表を読み取るのは朝飯前だ。 夜行列車等を使わず、純粋に今日中に到着できるのはそれぞれ 函館本線上り   長万部 石勝線・根室本線  釧路 室蘭本線・函館本線 函館 宗谷本線      名寄 石北本線      上川 後の細かい路線は省略する。スーパーおおぞらとスーパー北斗はまだあるので、函館や釧路まではいけるが スーパー宗谷やオホーツクはもうないので、それぞれ名寄と上川止まりとなっている。 どちらにしろ、久々だな。久々の列車による旅だ。 まずは改札を通ろう。160円の切符を購入。列車はその後から選択すればよろしい。 私が選択したのは、19時ちょうど発のスーパーおおぞら11号である。 ちょっと時間があるので、5番線で毎回恒例の立ち食い蕎麦を食べる。 ホームからは沢山の客を乗せた快速エアポートが発車し、 しばらくしてスーパーおおぞらも入線してくる。 私は5号車に乗るが・・・・・・こんな時に腹痛に襲われてしまった。 乗ってすぐにトイレに入るとは、何たることだ。 でも、スーパーおおぞらでよかったよ。洋式のトイレが標準装備だから。 車椅子用のトイレだったので、なおさらよろし。 トイレで用をたしている間に、列車は札幌駅を発った。 あと4時間たたないうちに、列車は港町釧路へと到着する。 まだ腹が痛い。少しして、新札幌を過ぎたようだ。 ここでさらにもう2つ、重大なことを思い出した。 1つは、今日の私は時刻表を持っていない事。これでは予定も何も立てられない。 衝動的に乗ってしまったため、基本的なことを忘れていた。 海図無しで航海に出ているような物だ。 2つ目は、宿泊について何も考えていないということである。 当然、ホテルの予約はないし、深夜に高校生が1人で突然ウォークイン(予約無しでホテルに行くこと)したら 間違いなく不審に思われるに決まっている。 偽名を使おうにも、私の支払手段はデビットカード。 キャッシュカードには名前が入っているから、偽名は使えない。 そして下手すると家出と間違われて、親を巻き込んでの大騒動となりかねん。 さーて、困った困った・・・・・・。どうしよう・・・・・・。 そんなことで困っているうちに、私はトイレの中で寝てしまった。 不思議な場所で寝る物だと思われるだろうが、本当のことだ。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 目覚めたのは、寝てから1時間ほどたった後だろうか。暫く列車に揺られていたようだ。 トイレットペーパーを枕にして寝ていたようで、トイレットペーパーがへこんでいた。 時刻表が無いから、頼りになるのは時計と自分の勘だけ。 今列車は一体、何処を走っているのだろう? トイレから出て窓の外を見るも、外は真っ暗でわからない。 今一体何処なんだ、早く降りないと帰りは特急まりもだけになってしまうぞ。 そして、この極寒の雪の中、この装備では夜を過ごすことは出来ないだろう。 一体どうするべきなのか、私は考えた。 遠くに行く前にさっさと下りて、上り列車に乗り換えたいが、 もし折り返しの列車が無ければ、大変なことになる。 だからといって、ずっと乗っているのも得策とはいえない。 釧路で特急まりもに乗り換えられるか不安だし、もし無理なら釧路で夜を過ごすことになる。 先ほども行ったとおり、宿泊施設を使うことはできないし、釧路で野宿は自殺行為だろう。 以前の国道12号線を歩くことになった無計画旅行よりも最悪だ。 あんな精神状態で旅に出ようとしても、レールは受け入れてくれない。 何が最善策なのか判断することは私には出来なかった。 そのとき、列車はゆっくりとスピードを落とし、駅に停車した。 なぜか、列車のアナウンスは聞こえなかった。 降りるべきか、降りぬべきか・・・・・・。 ・・・・・・降りよう。このまま遠くへ行ってもいいことはない。 降りた駅は暗くてよくわからないが一面の雪景色のようだ、 すぐには駅名表示板を探すことが出来なかった。 だが、雰囲気からして、都会の中の駅ではない。時間的にも帯広まではつけないだろう。 となると、新夕張か、占冠か、トマムか、新得か・・・・・・。 列車を降りると、女性がやってきて 「ご宿泊の方ですか?」 と声をかけられた。その瞬間私は何処の駅だか確信した。 ここはトマムだ。 普段の私なら、降りた瞬間、向こうに見えるナイタースキー場の灯りと、長い弧線橋で気付いただろう。 今の私はそれだけ判断力が鈍っている。 私はこの時点で駅名は確信していたが、あえて女性に聞いてみる。 「トマムですけど」 と女性は答える。私は驚いたフリをして 「ええっ、トマムまで来てしまったのか。新夕張で降りる予定だったのに」 と言う。何故こんな演技をするのかはすぐわかるだろう。 折り返しの列車の時刻を尋ねると共に、ここで降りた理由を問われないためだ。 この台詞を言っておけば、普通に向こう側のホームにいける。 「折り返しの特急列車が何時来るかわかりますか?」 と尋ねるのも忘れない。もし、来ないのなら待ってもしかたない。 「えーと札幌行きの特急ですか?21時04分に来ますけど」 女性は続ける。 「今から30分くらいありますよ、あちらの事務所のほうでお待ちしてはいかがですか?」 ということだ。しかし、私は申し出を断る。 「30分くらいならホームで待ってますよ」 「そうですか、寒いですよ」 とのこと。寒いのは嫌だが、厄介なことは起こしたくないので。 弧線橋を通って、向こう側のホームに渡る。 先ほどまでは会話していたため気付かなかったが、本当に寒い。 弧線橋を渡ると、そこにあるのは標高の表示。 トマム駅  標高538m ・・・・・・藻岩山の頂上より高いのね、この地点は。 逓減率で単純計算しても平地より3℃以上は温度が低いことになる。 さらに山の中だから、海の近くより冷えやすい。 こんなところで今年一番の寒さを経験することになるとは。 温度計が無いから、温度はわからないが、体感温度はかなり冷たかった。 でもせっかく来たのだから写真を撮ろう。 そう思ってリュックからデジカメを取り出す。 スイッチを入れるものの、スマートメディアが入っていない。 ポケットの中から予備をだそう。ポケットからスマートメディアケースを取り出す。 そして、手袋を脱いでスマートメディアを取り扱うわけだが、いつもと全然勝手が違う。 指先は、周囲の寒さに熱を奪われ、通常通りに機能することが出来ない。 もたつく間にも、どんどん冷気は侵攻してくる。 時間にして2分もかかっていないはずだが、その間に末梢はすっかり冷え切ってしまった。 やることもないのでデジカメで周りの景色を撮っていると、空に星が瞬いていることに気がついた。 ここは札幌より暗く、空気も綺麗なので、星が良く見える。 以前、三国峠の頂上から見た星空よりは寂しいが。 まずは北の空を見て北極星を探そう。えーと札幌側が西、釧路側が東でいいのかな? となると北の空は・・・・・・曇っている・・・・・・。 さらには北のほうには、ナイターの灯りもあるので星が見えない。 南の空には明るく輝く星が数点、一番明るいのがシリウスだろうか? さらにはプロキオン、ベテルギウスだと思われる星も肉眼で観測できる。 私は天体はあまり趣味ではないので、大まかな星しかわからないのが残念だが。 星空を見ていると、心が澄むような感じがする。 都会の人間は、この星空を眺めることは出来ない。 そして寂れた田舎に住む人は、毎晩のように煌く星を眺めることが出来る。 便利さでは都会が勝てても、こればかりは田舎の勝利だ。 しかし、今の都会の子供は満天の星空を見て 「蕁麻疹みたいで気持ち悪い」 と言ったらしい。実に悲しいことだ。 光でさえ数年から数百万年かかるほど遠くにある恒星、そして宇宙。 こういう視点から考えると、地球の中で起こっている出来事など、どれだけちっぽけなことか。 1人で眺めるのもいいが、好きな人と、僅かな明かりもない闇夜の中で 満天の星空を眺めながら語り合うのもまたをかし。 人工的に作られた空間の何十倍もムードを作ってくれるだろう。 と、こんな私らしからぬ文章ばかり書いているが、実際問題今は無理だな。 夏ならいいかもしれないが、今は冬真っ盛りだ。こんなことしようものなら、 次の日に凍死体となって発見され、あの世で永遠に結ばれてしまうだけだ。 とくだらない屁理屈を唱えてみるが、それ以前に、私にこういうシチュエーションは向かないな。 例えば織姫と彦星の話が出たら、真っ先に『16光年』というロマンの欠片もないネタに持っていくだろう。 みなさんご存知だと思うが一応言っておくと、 織姫というのはこと座のベガ、彦星というのはわし座のアルタイルである。 この2つの星の間の距離は16光年、両方が光の速さで接近しても、八年かかる。 どう頑張ったって、1年に1度会うのは無理だと言うことだ。 まあ、七夕ネタというのも季節外れだが、星がらみで夢も欠片もない話の代表例なので。 大抵の女の子は、このネタにいい反応はしないだろうな。 と、星の話もいいのだが、本当に寒い。トマムに降り立ってから約20分が経過している。 以前私は、冬の寒い日に石狩当別まで言って、 そこでもこれと同じくらい折り返し列車を待っていたことがあるが 今日の寒さはそのときより数段強く感じられる。 寒さに震えながら、ひたすら列車が来るのを待つ。 待ち時間が、好きな人と会う約束をして、当日待っている時間の如く長く感じられる。 あたりは真っ暗闇、そして異様なほどの静寂。 時計は21時を回る。そろそろか・・・・・・。 ・・・・・・ ・・・・・・ 足の指先もかなり冷えている。痛いくらいだ。 さらに待つこと5分、突然アナウンスが流れ始めた。 「列車が到着します。ご注意ください」 それと共に、釧路側から4つの光が見えてきた。 その光は、結構のスピードでこちらに近づいてくる。 来た。札幌行きのスーパーおおぞらである。 普段は札幌駅に入線するところしか見る機会が無いが、 極寒の暗闇に現れるのも、なかなかいい構図である。 停車時間は30秒ほど。降りる客はなし。乗るのは私だけ。 私が乗ると扉は閉まり、列車はまたゆっくりと動き出した。 冷えて腹にきたので、またもやトイレに行くことにする。 本当は一番前の特等席を確保したいところでが、 こんな中途駅から参入しても、先客がいるだろう。 ちなみに、スーパーおおぞらの構造を知らない人の為に解説すると スーパーおおぞらの運転台は2階にあり、 そのため乗客は1階一番前の窓から前の景色を眺望することが出来るようになっているのだ。 トイレの中の話は、汚いだけなので省略する。 しかし、2、3回ほど、トイレのドアを叩いたり、ノブをガチャガチャする香具師がいた。 変な奴だ、別の車両にもトイレがあることを知らないのか? 今回は車椅子用じゃないから、車椅子の人が怒っているわけではないだろうし まあいいや、放って置こう。荒らしは放置で。(荒らしじゃないけど) お手数ですが、隣の車両までご足労願いますということで。 省略すること1時間。そろそろ南千歳ということは、電話をかけられる区間だ。 南千歳以東新得以西の山の中は、電波の状態が良くなくて電話をかけられないのだ。 念のため親に電話かけに言ってこようっと。 ガチャ、ん?なんですか?トイレの前に車掌が1人・・・・・・。しかも何か怒っている様子。 「あんたちょっと、何やってんの」 はぁ?何やってるのって、トイレですることくらいわかるでしょ。 まさかそう言うわけにはいかなかったので、 「トイレですが」 と、言っておく。すると車掌 「どうしてさっきからずっとトイレ入ってるの」 と、先ほどの香具師は車掌かい。まあいい、 「少々水様便が続く物で・・・・・・」 と。なんでこんなことを言わないとならないのかしらないが。 下痢だろうが便秘だろうがいいじゃないかという感じだが。 「あんた切符は?」 「ありませんが、何か?」 トマム駅は無人駅だ。私は事前に購入していないので当然だが切符があるはずもない。 「車内で購入できましたよね?」 「トマムからだよね」 「そうですが、何か?」 少々2ちゃんねる風の喋り方になっている。そこで何故か車掌がもう1人出てくる。 私は三井住友銀行のキャッシュカードを取り出す。 「キャッシュカードってあんた、今もうどこも閉まってるでしょ」 はぁ?何が閉まっているのだ?銀行が閉まっているということか? 銀行が閉まっていても、決済は出来るはずだが。Jデビットでお願いしますよ。 って、待てよ?そもそも車内でデビットの支払いが出来るのか?聞いてみる。 出来ないらしい。というか、車内での支払いは現金オンリーかい。 ちょっと待て、私はキャッシュカードの残高こそ、札幌〜西鹿児島間を往復するくらいはあるが、 私は必要以上の現金を保持しないので、現金の持ち合わせは殆ど無いんだぞ。 さっきおろした45000円も、願書等で殆ど使い切ってしまったし。 以前、鉄道研究同好会で苗穂工場見学に行った時も、 私はキャッシュカードしか持っていなくて買えるものも買えなかった。 以前、滝川で切符を買おうとした時も、キャッシュカードが使えなくて困ったことがあった。 長月二十二日の教訓が全く生かされていない・・・・・・。いくつかの意味でね。 トマムから札幌までの乗車券特急券で4480円、 普通の社会人なら常に携帯している程度の資金だろうけど、今の私の台所事情では微妙だ。 まず紙幣が3000円分、次に小銭が100円玉が9枚、50円玉が2枚、10円玉が30数枚・・・・・・。 あら、足りないではないか。さてどうしたものか。 新札幌までの切符に変更すれば、それくらい安くなるだろうか? と思ったら、ズボンのポケットを忘れていた。 ええと、ここに100円玉がひー、ふー、みー、よー・・・・・・。 おお、何とか足りたみたい。ということでなんとか支払い完了。心臓に悪いでっせ。 JR北海道さん、頼むから、キャッシュカードを使えるようにしてください。 (航空会社の航空料金の支払いにはJデビットが使えるのは知っている) さて、ちょうど電話のある車両まで来たことだし、当初の目的どおり電話するか。 親に電波が届くようになったので電話したというと、どこにいたのかと聞いてくる。 今恵庭くらいだろうか?、と答えると、何でそんなところにいるんだと驚いていた。 うーむ、私の行動で恵庭くらいなら驚くこともないと思うのだが。 電話し終わったので、またトイレに戻る。 今日はトイレばっかりだな。体調が良く無いから仕方ないが。 ちょっとすると、スピードを緩めて、駅に止まるようだ。 新札幌だな。エコキップを持っているからここで降りてもいいのだが 帰る時間が遅くなって親に面倒くさいことを言われるのもいやなので降りるのは札幌なのだ。 再び加速してそんなに時間がたたないうちにまたスピードを緩め駅に入る気配。 何度かポイント切り替えによる独特の揺れがくる。 やっと札幌駅に帰ってきたよ。ただいまの時刻は22時30分くらい。 列車が止まって、静かになってから列車を降りる。キヨスクも立ち食い蕎麦も閉まっている。 階段を降り、南北線方面に繋がる西改札口へ。 有人窓口を通り、切符に無効印を押してもらう。 そのまま南北線で中の島まで。折れ曲がったエコキップを改札に通すと 一瞬読み取れずにエラー、と思ったら読み取れた。 家に着いたのは23時になるほんの少し前。 もう今日は疲れたのでさっさと寝よう・・・・・・というわけにも行かないのだが 日記は知らず知らずのうちにかなり長くなっている。そろそろ締めないと。 私がいままで資格試験を受けようとする時は、ぎりぎりに申し込んでいた。 何故わざわざそんなことをするか?ただの怠慢ではない。ちゃんと理由がある。 資格試験はぎりぎりに申し込む香具師ほど、当日欠席しやすいというデータがあるからだ。 当日欠席ということは、余計に気を散らさなくて済むということだ。 皆さんは繋がっている机の隣の香具師が、がたがた机を揺らしたり、 消しゴムをかけていたりして、気が散ることはないだろうか? 遅く願書を出すということは、その可能性を多少だが軽減することが出来る。 だから、いつもは当日消印有効の最後の日に本局に出しに行く。 (最後の日なのでポストは危険です) つまり私の頭の中には、当日の最終の消印に間に合えばOKということが染み付いていたわけだ。 しかし、大学の願書は、資格試験と違い当日必着である。 上っ面では早く出したほうがいいということを理解していても、 いつもぎりぎりに出している物を早くすることはそう簡単には出来なかった。 ぎりぎりは、何らかのアクシデントがあったときに対処できない。 私には今まで、何らかのアクシデントという物は存在しなかっのだ。 そして、肝心な時に限ってアウト。センター試験の国語と同じ。 さてと、この話は担任に話すべきなんだろうか? 話したら、来年度以降悪い例として使われるだろうな。 ほっといて、ただ落ちたことにするのとどちらがいいだろうか? 実は4つの致死遺伝子TUVWのうち、どれか1つでも満たされなければ まだほんの少しながら可能性はあったかもしれなかったのが心残りだ。 なんか忘れてないか?そういえば、国に34000円寄付してしまったな・・・・・・。 これは税金の控除対象には・・・・・・ならないな。 今日の一言 何か辛いこと、悲しいことがあったら星空を眺めてみよう。 ただ俯いているより、何か答えが見つかるはずだ。